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エルト王国編
Report44. 異世界の監視者
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「なんだよ……何も映ってねえじゃねえか。」
羽倉は目を細めてイサミモニターを凝視したが、その画面は真っ白な背景を映すだけであった。
「結局これどういう状況なんだ?イサミの意識はあんのかよ?」
羽倉の問いにも、日比谷は首をかしげることしかできない。
「わからない。通信が途切れているのならモニターはブラックアウトするはずだ。だが、今現在モニターは何も映しこそしないものの正常に作動はしている……。この状況には何かしらの意味があるはずだ。イサミから私たちに何か伝えたいことがあるのかもしれない。もう少し様子をみてみよう。」
日比谷たちが静観を決め込もうとしたその時、
ザ…ザザ……
「な…なんだ!?」
モニターの音声にノイズが入る。
「しっ!静かに!何か聞こえるぞ!」
『も……き…ま……すか…?』
「女性の声……?」
明らかにイサミのものではない、女性の声がモニターから聞こえてくる。
ノイズまじりの音声は少しずつ明瞭になっていき、やがてはっきりとした女性の声が聞き取れるようになった。
『もしもし?聞こえておりますか?』
どこか優しさを感じる女性の声だ。
日比谷は直感的にそう感じた。
そしてこれはイサミ自身ではなく、恐らく画面越しの我々に話しかけているのだろう。
そう判断した日比谷は毅然とした態度で、画面の向こうにいる女性に応える。
「はい、あなたの声はこちらに届いております。私はイサミの産みの親である日比谷 恭二と申します。」
見知らぬ相手にいきなり本名を名乗った日比谷を見て、羽倉は目を丸くする。
しかし、そんなことはお構いなしにと日比谷はさらに続ける。
「これはイサミのシステムに組み込まれている私とイサミだけをつなぐ通信です。その通信に介入することができるあなたは一体何者なのですか?」
『……そうですね。なんと言えば良いのでしょうか?あなたたちが異世界と呼んでいる、世界の監視者とでも言っておきましょうか。』
「異世界の…監視者?」
日比谷は昂ぶる気持ちを押さえつけるように、呼吸を整える。
「異世界の監視者がなぜ私たちに通信を?」
『イサミを救って欲しいからです。その為に私はあなたにコンタクトを取りました。』
「何故…?あなたにとって、イサミを救うことに何かメリットがあるのですか?」
『はい……彼は世界を平和に導く力を秘めています。だから救ってほしいのです。』
「世界の監視者であるあなたが、こんな個人に肩入れをするような真似をして良いのですか?」
『正直……危険な賭けです。他の監視者に見つかったら、恐らく私の存在は消されてしまうでしょう。』
彼女の声色からも事態は逼迫していることがうかがえる。
自身の存在をかけて発信をしている彼女の誠意に応えない訳にはいかない。
「わかりました、必ずイサミを救います。」
日比谷は、そう力強く応えた。
イサミを救いたいという気持ちは日比谷自身も負けてはいない。
「まずは、どうしたら良いですか?」
『イサミの破損データをそちらに転送します。そのデータを24時間以内に修復してください。』
「24時間以内だって!?何でタイムリミットがあんだよ!?」
羽倉はたまらず画面越しの女性に苦言を呈す。
『申し訳ございません。今現在異世界の時を止めていて、その限界が24時間までと定められているのです。』
「流石に24時間でなんて、いくら日比谷でも……!」
そう言いかけた羽倉を日比谷は手で制する。
「……わかりました、やってみせます。すぐにデータを送ってください。」
『ありがとうございます。それでは今からデータをお送りします。』
そう言った後、日比谷所有のパソコンに一通の通知が届く。
『今、お送りしたのがイサミの破損データです。修復が完了したらモニターに声をかけてください。修復データを私が吸い上げるように致します。それではよろしくお願いしますよ、日比谷 恭二。』
そう言い終わると、女性の声はプツンと途切れる。
そして、白いままだったはずのモニターには、とある数字が浮かびあがるのであった。
23:59:48
その数字は刻々と減り続けている。
「あれがタイムリミットを表してるって訳か……!おい、日比谷!大きく出たはいいがちゃんと時間内に修復できるんだろーな!?」
その羽倉の問いに日比谷は愚問だと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる。
「何遍も言わすなよ……この私を誰だと思っている。自他とも認める天才科学者の日比谷 恭二だぞ!イサミは私が必ず救う!それが分かったら羽倉、今すぐエナジードリンクを箱で買ってこい!ダッシュでな!」
イサミを救える道がある。
そしてそれは自分の手に委ねられている。
先程まで死んでいた日比谷の眼には輝かしい希望の光が宿っていた。
「ふっ……やっぱお前はそうじゃなくっちゃな。」
完全復活を果たした日比谷を見て、羽倉は優しく微笑む。
そして日比谷の要望通り、ダッシュでエナジードリンクを買いに向かうのであった。
羽倉は目を細めてイサミモニターを凝視したが、その画面は真っ白な背景を映すだけであった。
「結局これどういう状況なんだ?イサミの意識はあんのかよ?」
羽倉の問いにも、日比谷は首をかしげることしかできない。
「わからない。通信が途切れているのならモニターはブラックアウトするはずだ。だが、今現在モニターは何も映しこそしないものの正常に作動はしている……。この状況には何かしらの意味があるはずだ。イサミから私たちに何か伝えたいことがあるのかもしれない。もう少し様子をみてみよう。」
日比谷たちが静観を決め込もうとしたその時、
ザ…ザザ……
「な…なんだ!?」
モニターの音声にノイズが入る。
「しっ!静かに!何か聞こえるぞ!」
『も……き…ま……すか…?』
「女性の声……?」
明らかにイサミのものではない、女性の声がモニターから聞こえてくる。
ノイズまじりの音声は少しずつ明瞭になっていき、やがてはっきりとした女性の声が聞き取れるようになった。
『もしもし?聞こえておりますか?』
どこか優しさを感じる女性の声だ。
日比谷は直感的にそう感じた。
そしてこれはイサミ自身ではなく、恐らく画面越しの我々に話しかけているのだろう。
そう判断した日比谷は毅然とした態度で、画面の向こうにいる女性に応える。
「はい、あなたの声はこちらに届いております。私はイサミの産みの親である日比谷 恭二と申します。」
見知らぬ相手にいきなり本名を名乗った日比谷を見て、羽倉は目を丸くする。
しかし、そんなことはお構いなしにと日比谷はさらに続ける。
「これはイサミのシステムに組み込まれている私とイサミだけをつなぐ通信です。その通信に介入することができるあなたは一体何者なのですか?」
『……そうですね。なんと言えば良いのでしょうか?あなたたちが異世界と呼んでいる、世界の監視者とでも言っておきましょうか。』
「異世界の…監視者?」
日比谷は昂ぶる気持ちを押さえつけるように、呼吸を整える。
「異世界の監視者がなぜ私たちに通信を?」
『イサミを救って欲しいからです。その為に私はあなたにコンタクトを取りました。』
「何故…?あなたにとって、イサミを救うことに何かメリットがあるのですか?」
『はい……彼は世界を平和に導く力を秘めています。だから救ってほしいのです。』
「世界の監視者であるあなたが、こんな個人に肩入れをするような真似をして良いのですか?」
『正直……危険な賭けです。他の監視者に見つかったら、恐らく私の存在は消されてしまうでしょう。』
彼女の声色からも事態は逼迫していることがうかがえる。
自身の存在をかけて発信をしている彼女の誠意に応えない訳にはいかない。
「わかりました、必ずイサミを救います。」
日比谷は、そう力強く応えた。
イサミを救いたいという気持ちは日比谷自身も負けてはいない。
「まずは、どうしたら良いですか?」
『イサミの破損データをそちらに転送します。そのデータを24時間以内に修復してください。』
「24時間以内だって!?何でタイムリミットがあんだよ!?」
羽倉はたまらず画面越しの女性に苦言を呈す。
『申し訳ございません。今現在異世界の時を止めていて、その限界が24時間までと定められているのです。』
「流石に24時間でなんて、いくら日比谷でも……!」
そう言いかけた羽倉を日比谷は手で制する。
「……わかりました、やってみせます。すぐにデータを送ってください。」
『ありがとうございます。それでは今からデータをお送りします。』
そう言った後、日比谷所有のパソコンに一通の通知が届く。
『今、お送りしたのがイサミの破損データです。修復が完了したらモニターに声をかけてください。修復データを私が吸い上げるように致します。それではよろしくお願いしますよ、日比谷 恭二。』
そう言い終わると、女性の声はプツンと途切れる。
そして、白いままだったはずのモニターには、とある数字が浮かびあがるのであった。
23:59:48
その数字は刻々と減り続けている。
「あれがタイムリミットを表してるって訳か……!おい、日比谷!大きく出たはいいがちゃんと時間内に修復できるんだろーな!?」
その羽倉の問いに日比谷は愚問だと言わんばかりに不敵な笑みを浮かべる。
「何遍も言わすなよ……この私を誰だと思っている。自他とも認める天才科学者の日比谷 恭二だぞ!イサミは私が必ず救う!それが分かったら羽倉、今すぐエナジードリンクを箱で買ってこい!ダッシュでな!」
イサミを救える道がある。
そしてそれは自分の手に委ねられている。
先程まで死んでいた日比谷の眼には輝かしい希望の光が宿っていた。
「ふっ……やっぱお前はそうじゃなくっちゃな。」
完全復活を果たした日比谷を見て、羽倉は優しく微笑む。
そして日比谷の要望通り、ダッシュでエナジードリンクを買いに向かうのであった。
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