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エピローグ
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「今日も暑いね。」
蝉の声に掻き消されそうな声で呟くのは、墓の前で手を合わせる23歳の僕だ。
雅の残した遺書から始まった中学生の夏は、無事に幕を閉じ月日が経った。
おばさんやお母さん、僕の傷は時間が解決してくれた。
完璧ではないが、少しずつ癒えてはいる。
彼女の生きた時間を忘れる事は、この先一生無い。
でも僕の中にいるのはいつだって温かい彼女だ。
今の僕は新社会人だ。
仕事場の人には、心が男だという事を就職試験の時点で伝えている。
伝えるのは勇気のいる事だったが、雅の言葉を信じて話した。
最初は驚いている様子だったが、今の時代当たり前の事だから大丈夫だと言ってくれた。
僕の爆弾はその瞬間、爆発する事無く火花を消した。
涙が出そうなのを堪えて、頭を下げ、
「一生懸命頑張ります!」
震える声で、でも相手に伝わるように大きな声で言う。
今の僕は自分らしく生きている。
スカートに足は通さなくなった。
曇りがちな目も、今は前を向いて輝かせている。
全て雅の残した最後の手紙のおかげだ。
手を合わせて雅にお礼を伝えると、僕は墓に背中を向けて、その場をすぐに離れた。
あまり長くいると彼女に心配されてしまう。
歩き出した瞬間、真夏とは思えない涼しい風が僕の頬を撫でた。
そして懐かしい香りを感じた。
「忘れないで、私は貴方の味方。」
気のせいではあるだろうが、優しい声が聞こえた気がする。
「うん、ありがとう。」
それに小さく返事をする僕。
いないはずの彼女が優しい風に声を乗せて、僕を応援している。
そう思う事にしよう。
都合の良い解釈をしてしまう自分が可笑しくて、1人で肩をすくめながら笑い、再び足を進める。
僕の足はしっかりと未来に向かって歩いている。
僕は爆弾を抱えている。
しかし、その爆弾は爆発する事は無い。
いつか爆発してしまう事があるのならば、それは花火になって夜空を綺麗に咲かせる。
僕の抱えているモノは、綺麗な火薬だ。
蝉の声に掻き消されそうな声で呟くのは、墓の前で手を合わせる23歳の僕だ。
雅の残した遺書から始まった中学生の夏は、無事に幕を閉じ月日が経った。
おばさんやお母さん、僕の傷は時間が解決してくれた。
完璧ではないが、少しずつ癒えてはいる。
彼女の生きた時間を忘れる事は、この先一生無い。
でも僕の中にいるのはいつだって温かい彼女だ。
今の僕は新社会人だ。
仕事場の人には、心が男だという事を就職試験の時点で伝えている。
伝えるのは勇気のいる事だったが、雅の言葉を信じて話した。
最初は驚いている様子だったが、今の時代当たり前の事だから大丈夫だと言ってくれた。
僕の爆弾はその瞬間、爆発する事無く火花を消した。
涙が出そうなのを堪えて、頭を下げ、
「一生懸命頑張ります!」
震える声で、でも相手に伝わるように大きな声で言う。
今の僕は自分らしく生きている。
スカートに足は通さなくなった。
曇りがちな目も、今は前を向いて輝かせている。
全て雅の残した最後の手紙のおかげだ。
手を合わせて雅にお礼を伝えると、僕は墓に背中を向けて、その場をすぐに離れた。
あまり長くいると彼女に心配されてしまう。
歩き出した瞬間、真夏とは思えない涼しい風が僕の頬を撫でた。
そして懐かしい香りを感じた。
「忘れないで、私は貴方の味方。」
気のせいではあるだろうが、優しい声が聞こえた気がする。
「うん、ありがとう。」
それに小さく返事をする僕。
いないはずの彼女が優しい風に声を乗せて、僕を応援している。
そう思う事にしよう。
都合の良い解釈をしてしまう自分が可笑しくて、1人で肩をすくめながら笑い、再び足を進める。
僕の足はしっかりと未来に向かって歩いている。
僕は爆弾を抱えている。
しかし、その爆弾は爆発する事は無い。
いつか爆発してしまう事があるのならば、それは花火になって夜空を綺麗に咲かせる。
僕の抱えているモノは、綺麗な火薬だ。
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