爆弾

第6章 最後の手紙

洒涙雨

涙が溢れて止まらなかった。
僕と同じ気持ちだった事への喜び、雅の爆弾に気づけなかった事への後悔。
様々な感情が合わさって、涙になって流れる。
あの日、彼女が僕に自分を好いているか聞いた時、それを生きる意味にしたかったのではないだろうか。
｢雅が好きだよ。｣
その一言で彼女はまだ生きていたかもしれない。
それを言えなかった僕は臆病者だ。
寂しそうに笑う雅の顔が浮かんだ。
あの時、彼女の中の爆弾が爆発してしまったのだろう。
もう耐えられないと思ったのだろう。
｢優しくなんて…、包んでないよ。いつも僕の爆弾を守ってくれてたのは、君だろ…。｣
僕の事を気づいていながら誰にも言わずに隠してくれた。
僕が自ら言うのを待ってくれていた。
何年もの間、両思いだと知っていながら、気付かないふりをしてくれた。
彼女の優しさに触れて、また涙が溢れる。
｢雅…、大好きだよ。だから帰ってきてよ…。｣
叶わない願いを呟き、最後の手紙を両手で抱きしめた。