爆弾

ボブえもん工房

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第6章 最後の手紙

雅の手紙

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樹へ
貴方がこの手紙を読んでいるという事は、私はきっとこの世には存在していないでしょう。
こんな形で想いを伝える事になってしまってごめんなさい。
この手紙に辿り着くまで、不安や恐怖、混乱があったと思います。
隠さず全てを話します。

私はある爆弾を抱えています。
それは貴方の父親を殺した事です。
遺体をバラバラにして血山に埋めた事です。
貴方の悲しそうな顔を見たくなくて、許されない事をしました。
ごめんなさい。
私は樹が好きでした。
友達としても、女性としても。
そして、貴方の心が男性であるという事も知っていました。
だからこそ、いつか貴方と一緒になれる事を子どもながら夢見ていました。
でも父親がいる以上、その願いは叶いません。
私が貴方に好意を向けても、私を傷つけまいと突き放すでしょう。
それが嫌で、怖くて、結果的に父親を殺してしまいました。
許されない事をしたと思っています。
でも後悔はしていません。
だって、貴方があんなに幸せそうに笑うのだから。
少しの微力でも爆発してしまいそうな私の爆弾を、いつも貴方が優しく包んでくれていました。
貴方を救おうと思っていたのに、救われていたのは私です。
樹、男性である事を隠さないで。
貴方の爆弾は爆弾じゃない。
隠す必要が無いものだよ。
むしろ綺麗に咲き誇る事が出来る花火だよ。
2人で一緒に見たいつかの花火のように、貴方も綺麗に咲く事が出来る。
そんな爆弾を持っている。
樹は女性だろうと、男性だろうと心の優しい1人の人間なのだから、無理に隠さないで。
貴方の生きたいように生きて欲しい。
私は自分の爆弾に耐えられず死を選んだけど、少しでも貴方を幸せにする事が出来たのなら、それが私の幸せ。
それが私の救いだよ。
どんなに辛い事があっても、これだけは忘れないで。
私はいつだって樹の味方だよ。
大好き、樹。
                                                          雅より
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