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第3章 携帯越しに止まった時間
私はここにいる
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私たちは親友と会う約束をしていた学校の校門へと着いた。
周りをキョロキョロと探してみる。
「それっぽい子はいないみたいね。」
「どの子か分かるの?」
「親友よ!面影くらいで何となく分かるわよ!」
「ふーん。」
その興味無さそうな反応に、私は頬を膨らませ、女の子に対して不機嫌さを伝えたがあまり気にしていないようだ。
あまり女の子ばかり見ていると、親友とすれ違う事に気づかないかもしれないから、今はこの辺でやめとく。
私は女の子から一旦目を離して、また周りをキョロキョロし、親友を探し始めた。
すると、
「あ!絶対あの子だわ!」
目に止まったのは、私と同じように周りを見渡している1人の女子。
眼鏡をかけていて、三つ編みをし、いかにも地味って感じの子。
顔も小さい頃のままで直ぐに親友だということが分かった。
「日向!」
私は親友の名前を大きな声で呼びながら、彼女の元へと走った。
でも、こんなに大きな声で名前を呼んでも気づかないなんて、どういうこと?
なんならもう日向の目の前にいるんですけど。
日向の目の前で手を振っても気が付かない。
そんなに目が悪いの?
何のための眼鏡なのよ、とか思っていたら女の子の言葉で一気に思い出した。
「あのねぇ、あんた死んでるんだよ?相手からは見えないの。」
・・・・・・・・・。
そっか、私死んでたんだ。
彼女の言葉は冷たく、私は近くに親友がいるのに言葉を交わすことも、お互いを見合うことも出来ないことに涙が出る。
親友の日向は周りを見渡し、まだ私を探している。
ここだよ、と言うことも出来ずにただ日向の目の前に立つだけ。
やっと会えたのに・・・。
やっと・・・。
「日向・・・、私・・・、ここにいるよ。ここに・・・、いるんだよ。」
届かない声を彼女に向けて、泣きながら必死に出そうとする。
でも、どんなに必死に言葉を出しても、泣いても、私は死んでいる。
涙で視界が霞んだ目で、親友がカバンから何かを取り出そうとしているのが見える。
「携帯・・・?」
私から何か連絡が無いか見ているのかもしれない。
でも・・・、そんなことしても、私たちは会えない、二度と。
「ごめんね。」
それだけを言い残し、私はその場を立ち去ることにした。
ドアを担いでいる女の子は肩を落とした私の様子を、後ろから見ている。
そんな気がした。
まるで、無駄だったねと言っているかのような気がした。
周りをキョロキョロと探してみる。
「それっぽい子はいないみたいね。」
「どの子か分かるの?」
「親友よ!面影くらいで何となく分かるわよ!」
「ふーん。」
その興味無さそうな反応に、私は頬を膨らませ、女の子に対して不機嫌さを伝えたがあまり気にしていないようだ。
あまり女の子ばかり見ていると、親友とすれ違う事に気づかないかもしれないから、今はこの辺でやめとく。
私は女の子から一旦目を離して、また周りをキョロキョロし、親友を探し始めた。
すると、
「あ!絶対あの子だわ!」
目に止まったのは、私と同じように周りを見渡している1人の女子。
眼鏡をかけていて、三つ編みをし、いかにも地味って感じの子。
顔も小さい頃のままで直ぐに親友だということが分かった。
「日向!」
私は親友の名前を大きな声で呼びながら、彼女の元へと走った。
でも、こんなに大きな声で名前を呼んでも気づかないなんて、どういうこと?
なんならもう日向の目の前にいるんですけど。
日向の目の前で手を振っても気が付かない。
そんなに目が悪いの?
何のための眼鏡なのよ、とか思っていたら女の子の言葉で一気に思い出した。
「あのねぇ、あんた死んでるんだよ?相手からは見えないの。」
・・・・・・・・・。
そっか、私死んでたんだ。
彼女の言葉は冷たく、私は近くに親友がいるのに言葉を交わすことも、お互いを見合うことも出来ないことに涙が出る。
親友の日向は周りを見渡し、まだ私を探している。
ここだよ、と言うことも出来ずにただ日向の目の前に立つだけ。
やっと会えたのに・・・。
やっと・・・。
「日向・・・、私・・・、ここにいるよ。ここに・・・、いるんだよ。」
届かない声を彼女に向けて、泣きながら必死に出そうとする。
でも、どんなに必死に言葉を出しても、泣いても、私は死んでいる。
涙で視界が霞んだ目で、親友がカバンから何かを取り出そうとしているのが見える。
「携帯・・・?」
私から何か連絡が無いか見ているのかもしれない。
でも・・・、そんなことしても、私たちは会えない、二度と。
「ごめんね。」
それだけを言い残し、私はその場を立ち去ることにした。
ドアを担いでいる女の子は肩を落とした私の様子を、後ろから見ている。
そんな気がした。
まるで、無駄だったねと言っているかのような気がした。
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