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第14回 筋肉痛ってマッサージしていいの? という話

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今回は、筋肉痛をマッサージしてよいのかどうか、という話です。


◆まだけっこう聞こえてくる「筋肉痛にマッサージはNG」説

むかしは「筋肉痛になったときはマッサージを受けないほうがいい」という意見も多かったと思います。マッサージによって筋肉がさらに痛み、筋肉痛の治りが遅くなってしまうだろうという話が多く聞かれていました。

今は問題ないよという施術者が多いと思います。
実際、筋肉痛ですと言ってマッサージ店を訪ねても、嫌な顔をされることはあまりないのではないかと思います。

ただ、肌感覚ではだいぶ減った気がするものの、今でも筋肉痛でマッサージはいかんとおっしゃるかたが世間にいらっしゃることもまた事実。
そうなると混乱するのは皆さまの側です。
いったいどっちやねん、となりますよね。


◆ 令和5年現在の結論:筋肉痛はマッサージしてよいどころか、積極的にすべき

今回の話の結論を申し上げますと、令和5年現在のところは、
・筋肉痛をマッサージしても問題はない。
・それどころか数ある筋肉痛ケアの中でマッサージは非常に優秀で、むしろやるべき。
ということになります。

これは割と最近の話で、
2011年のRui Torresらの論文
(https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/22498151/)
や、
2017年のJianmin Guoらの論文
(https://www.ncbi.nlm.nih.gov/pmc/articles/PMC5623674/)
により、マッサージは筋肉痛による痛みや疲労感の改善に対し、非常に効果的であることが報告されているのです。

筋肉痛のアフターケアには、クールダウンの軽い運動、ストレッチ、アイシング、温冷交互浴、加圧などのさまざまな方法が存在しますが、それらの中でマッサージが最も効果的と言ってもよいくらいの結果が出ているとされているのです。

ちなみに上記の論文では、ストレッチは筋肉痛に対してほとんど効果がないという結論にもなっています。
「え?」と、意外に思うかたもいらっしゃるのではないでしょうか。


◆ただし強いマッサージは×

ということで、令和5年現在の手技療法界での常識は、筋肉痛になったらマッサージすべしということでした。

ただし一点重要なことは、強いマッサージは避けるべきだということです。

特に、筋肉痛の症状が強い場合は注意が必要です。グリグリと筋肉を切るような強いマッサージは、症状を一時的に悪化させる可能性もあると思います。
あくまでも筋肉を傷つけないような優しいマッサージで血行促進を図ることが大切です。

ご自身でやられる場合は、「揉む」というよりは「手でなでる」「手で包む」というようなイメージで施術するとよいかもしれないですね。
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