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第3回 「ギックリ腰? マッサージに行ったら?」 ←これは罠なのか? という話
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罠です。
-完-
としてしまうと非常に不誠実なので、今回の近況ノートでは「なぜ罠なのか」を詳しく述べていこうかと思います。
◆ギックリ腰とはそもそも何?
ケガです。
-完-
としてしまうとこれまた不誠実ですが、いちおう回答として間違いではありません。
もう少し細かく説明しますと、ギックリ腰は、
①筋肉・筋膜の損傷
②靭帯の損傷
③椎間関節の損傷
④椎間板の損傷
⑤筋肉が持続的に攣縮している(=つっている)
⑥その他
などが原因であると言われています。
一般的には、①②といった軟部組織の損傷や③④といった関節のトラブルが原因により、激しい炎症が生じて痛みを引き起こしていることが多いとされています。
外から目で見たときに、痛い場所は皮膚が裂けているわけでもなく、色が変わっているわけでもありません。
ですが組織の損傷ですので、それはつまり『外傷』ということになります。
⑤⑥のような例外はもちろんあるわけですが、
ギックリ腰は外傷、つまり『ケガ』である――
基本的にはそのような認識でよいと思います。
(※保険絡みの話では外傷認定してもらえないことがあるようですが、それはまた違う話でございます)
◆ケガを揉む人はいないはず
で。
ケガを揉む人っていませんよね?
切り傷や刺し傷、打撲、骨折、捻挫などを、グリグリ揉んで治そうという人はいないと思います。
揉んだら悪化することを皆さんは知っているためですね。
それと同じことが、ギックリ腰においても言えます。
基本的に揉んではいけません。
組織が壊れているわけですので揉んでも治りませんし、逆に揉んだら炎症が酷くなって余計に痛くなります。
これが、表題に対するきちんとした答えになります。
◆マッサージは『急性の痛み』には不向き
もっと踏み込んで書きますと、マッサージ(あん摩マッサージ指圧)という治療は、そもそも急性の痛みへの対処には向いていません。
と書くと、急性とは何ぞや? となりそうですが。
①急性の痛み
ギックリ腰、寝違い、捻挫、肉離れ、関節炎 など
②慢性の痛み
肩こり、首こり、慢性腰痛 など
ざっくりですが、こんな感じで覚えておけば大丈夫です。
前者はマッサージが不向きです。むしろ炎症が酷くなって悪化します。
同じ「痛い」でも大違いなのです。
◆四十肩・五十肩はどっちやねん
ちなみに。四十肩・五十肩は急性・慢性のどちらなのか? という疑問を持たれるかたがいらっしゃるかもしれません。
あれは急性期→慢性期→回復期という経過をたどりますので、実はどちらにも当てはまります。
・急性期(数週間~)
とにかく痛くて動かせない。寝ていても痛い。夜も痛くて眠れない。
・慢性期(半年間~)
痛みは弱まるが慢性化。安静時はさほどではないが、腕を挙げると痛い。
前者であれば激しい炎症が起きていることがあるため、下手にマッサージやリハビリをすると悪化することもあります。
ですが後者に移行したあとならば、関節拘縮・可動域低下などを防ぐため、マッサージやリハビリが推奨されます。
閑話休題。表題の件に戻ります。
◆ではギックリ腰はどうすればよいのか
ギックリ腰は揉んではダメ。
これで終わらせてしまうのも、またまた少々不誠実です。
ではどうすればよいのか? ということまで説明が必要です。
結論としては、こうです。
骨折などの可能性がないと思われる場合は、
『ひとまずシップでも貼って、横向きに寝て、数日は安静にしていましょう』
揉んだりストレッチしたりという余計なことはせずに、ひたすら腰を休ませ、改善されるのを待ちます。
そうすれば数日で痛みは和らいで、動けるようになります。
これが、最善解とされています。
そしてこれにて「-完-」となっている資料やパンフレットが非常に多いわけです。
……が。
「いや、そう言われても。仕事休めねーよ!!」
と叫びたい御人が非常に多いと思います。
といいますか、そのような人のほうが多いと思います。
そのような人は、こうやって会社に行くとよいのではないでしょうか。
①コルセットの着用
ドラッグストアに売っています。腰が安定するので安静に近い効果が得られます。
よく「コルセットを着けると筋肉が衰えるのでよくない」という声も耳にしますが、数日~1週間くらいの着用期間で問題になるほど筋肉が衰えてしまうことはありません。安心して大丈夫です。
②痛み止めの服用
これも飲みたくない人は多いと思いますが、背に腹は代えられません。飲みましょう。
ただしこれで痛みが消えたとしても患部は治っていないということをお忘れなく。なるべく動かさないようにしましょう。
◆どこかに駆け込む必要がある場合は、“この順番”
最後にもう一つ。
『ただのギックリ腰かどうか疑わしい場合は?』
ということについても述べたいと思います。
何かを持ち上げようとしてピキっとギックリ腰になった――というようなわかりやすい理由であれば前述の対応でよいと思うのですが、そうでない場合もまれにあると思います。
・高いところから落ちてギックリ腰になった
・特に何もしていないのに激しい痛みが出た
・もともと骨粗しょう症持ち
・安静にしているけど何日経っても収まらない。むしろ酷くなっている
・足のシビレや痛みが取れない
・足の感覚がなくなった
このようなときは、骨折や腫瘍、椎間板ヘルニアなど、何か裏に隠れている場合があります。
専門家に診てもらわなければなりません。
その場合ですが、真っ先に整骨院やマッサージ院に行くのはやめましょう。(重要)
順番としては――
整形外科
が一番先です。
なぜなら、レントゲンやMRIを撮れるのは病院だけだからです。
まずは重大な病気が隠れていないかどうかを明らかにしなければなりませんので、画像診断が必要になります。
整骨院などには、医師の診断を受け、病院でしか治療できないような病気がないと判明してから行くようにしてください。
◆【おまけ】実際のところ、ギックリ腰の患者が来た場合、プロのマッサージ師はどうしているのか
蛇足ながら、ギックリ腰の患者が来た場合、プロのマッサージ師はどうしているのかも紹介します。
ネットの普及で「ギックリ腰にマッサージは×」という情報がだいぶ広まり、数としては少なくなりましたが、今でもギックリ腰を何とかしてくださいという患者さんの来院はあると思います。
その場合に「帰れ」というような対応はしていないはずです。
私の施術所でも、何もせずに帰すようなことは基本的にしていません。いくらなんでも酷すぎますので。
うちの場合は、まずは患者さんにヒアリングをして、病院に行ってもらうようなものでないかどうかを確認します。
そこで危険と思ったら「まずは病院に」と言うこともあります。
施術しても大丈夫だと判断すれば、施術します。
もちろんその場合は、うつぶせにして腰をグリグリ揉んだりはしません。そんなことをしたら死にます。
あくまでも私の場合ですが、横向きや、膝を立てた仰向けで、腹部や下肢の施術をすることがほとんどです。
実は、腹部・腸腰筋の施術や、臀部の施術、内転筋の施術などで、ギックリ腰の痛みが多少改善することは多いです。
(けっこう有名なのでご存じのかたも多いかもしれません)
喜んでくださるかたもいらっしゃるのですが、やはりそれでも患部が治ったわけではありません。
「治ったわけではありませんので、安静にしてくださいね」
必ず一言そう付け加えるようにしています。
-完-
としてしまうと非常に不誠実なので、今回の近況ノートでは「なぜ罠なのか」を詳しく述べていこうかと思います。
◆ギックリ腰とはそもそも何?
ケガです。
-完-
としてしまうとこれまた不誠実ですが、いちおう回答として間違いではありません。
もう少し細かく説明しますと、ギックリ腰は、
①筋肉・筋膜の損傷
②靭帯の損傷
③椎間関節の損傷
④椎間板の損傷
⑤筋肉が持続的に攣縮している(=つっている)
⑥その他
などが原因であると言われています。
一般的には、①②といった軟部組織の損傷や③④といった関節のトラブルが原因により、激しい炎症が生じて痛みを引き起こしていることが多いとされています。
外から目で見たときに、痛い場所は皮膚が裂けているわけでもなく、色が変わっているわけでもありません。
ですが組織の損傷ですので、それはつまり『外傷』ということになります。
⑤⑥のような例外はもちろんあるわけですが、
ギックリ腰は外傷、つまり『ケガ』である――
基本的にはそのような認識でよいと思います。
(※保険絡みの話では外傷認定してもらえないことがあるようですが、それはまた違う話でございます)
◆ケガを揉む人はいないはず
で。
ケガを揉む人っていませんよね?
切り傷や刺し傷、打撲、骨折、捻挫などを、グリグリ揉んで治そうという人はいないと思います。
揉んだら悪化することを皆さんは知っているためですね。
それと同じことが、ギックリ腰においても言えます。
基本的に揉んではいけません。
組織が壊れているわけですので揉んでも治りませんし、逆に揉んだら炎症が酷くなって余計に痛くなります。
これが、表題に対するきちんとした答えになります。
◆マッサージは『急性の痛み』には不向き
もっと踏み込んで書きますと、マッサージ(あん摩マッサージ指圧)という治療は、そもそも急性の痛みへの対処には向いていません。
と書くと、急性とは何ぞや? となりそうですが。
①急性の痛み
ギックリ腰、寝違い、捻挫、肉離れ、関節炎 など
②慢性の痛み
肩こり、首こり、慢性腰痛 など
ざっくりですが、こんな感じで覚えておけば大丈夫です。
前者はマッサージが不向きです。むしろ炎症が酷くなって悪化します。
同じ「痛い」でも大違いなのです。
◆四十肩・五十肩はどっちやねん
ちなみに。四十肩・五十肩は急性・慢性のどちらなのか? という疑問を持たれるかたがいらっしゃるかもしれません。
あれは急性期→慢性期→回復期という経過をたどりますので、実はどちらにも当てはまります。
・急性期(数週間~)
とにかく痛くて動かせない。寝ていても痛い。夜も痛くて眠れない。
・慢性期(半年間~)
痛みは弱まるが慢性化。安静時はさほどではないが、腕を挙げると痛い。
前者であれば激しい炎症が起きていることがあるため、下手にマッサージやリハビリをすると悪化することもあります。
ですが後者に移行したあとならば、関節拘縮・可動域低下などを防ぐため、マッサージやリハビリが推奨されます。
閑話休題。表題の件に戻ります。
◆ではギックリ腰はどうすればよいのか
ギックリ腰は揉んではダメ。
これで終わらせてしまうのも、またまた少々不誠実です。
ではどうすればよいのか? ということまで説明が必要です。
結論としては、こうです。
骨折などの可能性がないと思われる場合は、
『ひとまずシップでも貼って、横向きに寝て、数日は安静にしていましょう』
揉んだりストレッチしたりという余計なことはせずに、ひたすら腰を休ませ、改善されるのを待ちます。
そうすれば数日で痛みは和らいで、動けるようになります。
これが、最善解とされています。
そしてこれにて「-完-」となっている資料やパンフレットが非常に多いわけです。
……が。
「いや、そう言われても。仕事休めねーよ!!」
と叫びたい御人が非常に多いと思います。
といいますか、そのような人のほうが多いと思います。
そのような人は、こうやって会社に行くとよいのではないでしょうか。
①コルセットの着用
ドラッグストアに売っています。腰が安定するので安静に近い効果が得られます。
よく「コルセットを着けると筋肉が衰えるのでよくない」という声も耳にしますが、数日~1週間くらいの着用期間で問題になるほど筋肉が衰えてしまうことはありません。安心して大丈夫です。
②痛み止めの服用
これも飲みたくない人は多いと思いますが、背に腹は代えられません。飲みましょう。
ただしこれで痛みが消えたとしても患部は治っていないということをお忘れなく。なるべく動かさないようにしましょう。
◆どこかに駆け込む必要がある場合は、“この順番”
最後にもう一つ。
『ただのギックリ腰かどうか疑わしい場合は?』
ということについても述べたいと思います。
何かを持ち上げようとしてピキっとギックリ腰になった――というようなわかりやすい理由であれば前述の対応でよいと思うのですが、そうでない場合もまれにあると思います。
・高いところから落ちてギックリ腰になった
・特に何もしていないのに激しい痛みが出た
・もともと骨粗しょう症持ち
・安静にしているけど何日経っても収まらない。むしろ酷くなっている
・足のシビレや痛みが取れない
・足の感覚がなくなった
このようなときは、骨折や腫瘍、椎間板ヘルニアなど、何か裏に隠れている場合があります。
専門家に診てもらわなければなりません。
その場合ですが、真っ先に整骨院やマッサージ院に行くのはやめましょう。(重要)
順番としては――
整形外科
が一番先です。
なぜなら、レントゲンやMRIを撮れるのは病院だけだからです。
まずは重大な病気が隠れていないかどうかを明らかにしなければなりませんので、画像診断が必要になります。
整骨院などには、医師の診断を受け、病院でしか治療できないような病気がないと判明してから行くようにしてください。
◆【おまけ】実際のところ、ギックリ腰の患者が来た場合、プロのマッサージ師はどうしているのか
蛇足ながら、ギックリ腰の患者が来た場合、プロのマッサージ師はどうしているのかも紹介します。
ネットの普及で「ギックリ腰にマッサージは×」という情報がだいぶ広まり、数としては少なくなりましたが、今でもギックリ腰を何とかしてくださいという患者さんの来院はあると思います。
その場合に「帰れ」というような対応はしていないはずです。
私の施術所でも、何もせずに帰すようなことは基本的にしていません。いくらなんでも酷すぎますので。
うちの場合は、まずは患者さんにヒアリングをして、病院に行ってもらうようなものでないかどうかを確認します。
そこで危険と思ったら「まずは病院に」と言うこともあります。
施術しても大丈夫だと判断すれば、施術します。
もちろんその場合は、うつぶせにして腰をグリグリ揉んだりはしません。そんなことをしたら死にます。
あくまでも私の場合ですが、横向きや、膝を立てた仰向けで、腹部や下肢の施術をすることがほとんどです。
実は、腹部・腸腰筋の施術や、臀部の施術、内転筋の施術などで、ギックリ腰の痛みが多少改善することは多いです。
(けっこう有名なのでご存じのかたも多いかもしれません)
喜んでくださるかたもいらっしゃるのですが、やはりそれでも患部が治ったわけではありません。
「治ったわけではありませんので、安静にしてくださいね」
必ず一言そう付け加えるようにしています。
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