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「いいぞ!!④番ギャンプリン!!僕の読み通り、いいで出しだ。第二コーナーで3番手につけている。最高の好ポジションだ!!」

「そのようですね。ですがどうなることでしょうね?」

彼の言うとおり彼の賭けている馬はかなり好調だ。

反対に私の選んだ馬たちは出遅れ2頭としんがりという最悪のコンボ。

冷静に考えるともう勝ち目はない。

だが、


「お、おいどうしたギャンプリン……! 後退しているぞ!! 盛り返せ!! 君は差し馬だろう!!」

「慣れない先行をしたせいで、少し疲れたのでしょうかね?」

「い、いやそんなはずは……前走でも同じペースで似たような展開で勝利を掴んでいる……。って後方からすごい勢いで3頭上がってきているではないか、えっと……5、6、2番か。って君の選んだ馬じゃないか! そんなばかな!」

「しっかり分析して買いましたから、決して馬鹿なんかではありませんよ」

「だが、まだ先頭と4馬身差もある。勝てるはずもない。それに君は2を軸にしている。このまま彼らが先頭に追いついたとしても562の順だ。君に勝ち目は……ってアレ!?」

彼が興奮気味に話していると、2番の馬がすごい脚で上がってきた。

4馬身あった先頭に今や1馬身差まで近づいたのだ。

「--フフフ。それはどうでしょうね? 2番は追い込み馬ですよ」

「足を溜めてたというのか……。でも実力のない馬がどうしてこんなにも!!」

時計タイムを見てくださいよ。気づきませんか?」

「そうか。スローペースなんだ!!」

「そういうことです」

「2が先頭になった!!! そして、56もすごい勢いで差を詰めてきている。第四コーナー。残るは200mの直線勝負だ!」





「決まりましたね。2-5-6ですわ。3連単的中」

「お、オッズは何倍だ……487倍だって!?」

「ええ。そのようです。私は1000ルピスかけたので払い戻しは487000ルピスですわね」

「広い土地が買える額じゃないか! 少し僕にわけてくれよ。このとおり4番は5着だ。持ち金全額かけてしまったし……」

「はい? 貴方は慰謝料を払う側の人間ですよ??」

「だってこんなのおかしいじゃないか!! 穴馬だけでレースが決まるなんて八百長だ!!」

「今更何ケチをつけてますの? ギャンブルとはそういうものでしょう?」

「嘘だあああああ!!!!」

が、しかし本当に嘘なのだ。

事実は本物であるが、実力的には嘘だ。

このレースは地方競馬特有のヤラズ。

すなわち八百長レースなのだ。

最初からこのレースの結果は256になると決まっていた。

その情報を買収した私は、1点がけで無事に勝利を収めたというわけ。

売り上げの少ない地方では珍しくない話だ。

「この払い戻しで、貴方の城を買収します。貴方の住む家はもうありません」

「なんだって!?」

「当然でしょう。慰謝料も払わないクズ貴族なのですから。せっかくの資産だって競馬に溶かしてしまっているではありませんか。今の貴方は平民以下の財力でしょ??」

「僕が悪かったよ。今からでも遅くない婚約しなおそう!!」

「そんなのこちらから願い下げですわ。ざまぁみろですわ!! 金輪際私と関わらないでください」
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