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「すまないアリシア、僕は君ではなく君の妹のアルカが好きなんだ。だから婚約は解消させてもらう」

婚約者のタルト様が伝えにくそうに言い放った。

とうとうフラれてしまうのですね……なんとなく察しはついていました。

こうなれば致し方ありません。私だって引くわけにはいきませんから。

「そうだったんですね……でもそんなの不当ですよ。ここは公平にいきましょう」

「公平に……とはどういう?」

本当にわからないといった顔をされてますね。

ふふふ……

「実は私もタルト様じゃなく、タルト様の弟のライト様が好きなんです」

「ええええええ……マジすかぁ……」

名高い貴族とは思えないコミカルな反応ですこと。

「ええ。大真面目ですよ」

「なるほど。なら交換条件といこうじゃないか。今宵のパーティーには二人も参加していることだし、呼んでくるとしようか」

タルト様は、私の元を離れると二人を連れて戻ってきた。

「というわけなんだがどう思う?」

アルカとライト様にも事情を話すと、二人は納得したように目を合わせた。

「実は僕はアリシアさんのことが好きでした」

とライト様。

「実は私は、タルト様のことが好きでした」

とアルカ。

「いやいや待て待てそんなことあるか! アルカだけにね。なんちって」

「つまらない冗談は辞めてください。タルト様。でも、本当に信じられないことですね」

「アリシアだってそう思ってるんじゃないか」

「ですが、二人とも嘘はついていないみたいですし、この際、ダブル婚約ですね」

「ああ。それしかないな」


「僕と婚約してくれないかアルカ」

「ええ、喜んでタルト様」

「私と結婚をしましょうライト様」

「はい。僕でよろしければ」


「「「「やったぜ!」」」」
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