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08.初夜-4 *
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「ぐおっ」
死角から襲った顔面への重い衝撃に、思わずのけ反った。すぐ頭を戻せば、それは彼女の足だった。蹴られたらしい。
顔を押さえると、最も損害が大きい鼻から痛みが後追いしてくる。
「あ……! も、申し訳ございません……!」
鼻腔の奥がじわじわ湿気てきたので、出血しているようだ。
冷静に考えれば、挿入だけして終わっていると疑われる男たちとしか経験のない彼女に、いきなり秘所への舌での愛撫は驚かせてしまう可能性があると思慮すべきだった。
そこへ、部屋の扉を叩く音が割って入る。
「――陛下、いかがなさいましたか!」
部屋の前に立つ近衛兵だ。ヴィオラの悲鳴が届いてしまったのだろう。
「何でもない! 下がっていろ!」
イザークが廊下へ聞こえるよう声を張ると、それきり扉の向こうは静かになった。
顔を戻せば、ヴィオラは自分のしたことに青ざめている。
「落ち着け。大事ない」
手を取って握れば、ヴィオラは子供のようにこくこくと頷く。だがまだ表情は固いままだ。
「なるほど、見えているから足が悪さをするようだな」
イザークは先ほど彼女が希望したとおりにベッドのカーテンを引き、ランプの明かりを遮った。お互いの表情も分からないほど暗くなる。
イザークは半ば手探り状態でヴィオラの足を捉えると、再び股を開かせた状態で押さえ込んだ。
「陛下! これは――」
「任せてくれるのだろう?」
指で陰唇をなぞり、陰核の包皮を探り当てる。軽く引き上げて、そのすぐ下へ舌を伸ばせば、ぷくりとした肉の粒に触れた。
「やっ、なにを……! そんな、あっ……」
剥き出しの器官を舌のざらつきで擦られて、ヴィオラの足に力がこもる。だが先ほどの反省を活かしたイザークがしっかりと押さえ込んでいたので、抵抗できずされるがままになっていた。
既に指で高められていた場所だ。唾液と舌の刺激が、ヴィオラの戸惑いの声に、甘さを乗せていく。
「んっ、く、う……、陛下、あぁっ……」
ヴィオラの息遣いが荒くなっていく。身じろぎが抵抗のための意識的なものから、無意識の痙攣に移り変わる。
「こんな、こと……、んあっ、おかしく、なります……! ひっ――!」
雫を吐き出していた膣口へ指を潜り込ませると、ヴィオラから引きつった声が上がった。十分濡れているので、痛みではなく違和感の悲鳴だろう。
よく馴染むように、浅いところの腹側をやわやわと撫で、押して、刺激する。そして同時に、陰核へ口づけるかのように軽く吸うと、それに応じて中がぎゅっと締まった。
「だめ、です……! これ以上、は……!」
陰核は最初に比べて充血し固くなったように感じられた。膣口がひくひくと収縮する間隔も、短くなっている。
「あッ、だめ、んっ、く……! んああっ――!」
仕上げに、圧するように陰核を強く舐れば、ヴィオラはびくんと体を震わせ、硬直した。埋め込んだ指が、膣壁のざわめくような顫動に包まれる。
「は……、あ……。これ、なに……」
高みから少しずつ自分を取り戻したヴィオラは、体の力を抜きながら、戸惑いの言葉を漏らす。
一方のイザークは、体の中心の熱がもう抑えきれないほどになっていた。視界が悪くとも、ヴィオラの艶めかしい声や体の反応が欲望を駆り立てた。更に彼女は、絶頂も知らなかった。口づけどころか、絶頂も、ヴィオラの身に味わわせたのは、イザークが最初の男なのだ。
イザークはガウンを脱ぎ捨てて、腹に付きそうなほど硬く立ち上がった自分の逸物を取り出した。ことを終える前に果ててしまわないか、不安になりそうなほどの激しい滾りがある。
「ヴィオラ、すまない、もう……」
「あ、陛下っ、やっ……!」
できればもう一度して解してやりたかったが、もう我慢できない。
イザークは逸物をヴィオラのそこへ擦りつけた。先走りと彼女の体液が竿に塗り広げられる。
ヴィオラが驚いた声を上げる。しかしイザークは構わずに穂先を膣口へ含ませた。
この先は、もう他の男で知っている。そんな余計な考えが苛立ちを生み、逸る欲望を後押しした。隘路の奥へ、ぐっと腰を進める。
「ひ、いッ……!」
一番太いところへ力を込めて通すと、ずる、と一番奥まで入っていった。
柔らかい内側が、イザークの男根を強く締め付ける。動きたい。彼女に欲望を叩きつけたい。雄の本能が理性を奪い取ろうとした、その時。
「ひ、ひっ、ひぐ、ううぅ……」
聞いたことのない、しゃくり上げるような声。
イザークの熱は一瞬で霧散した。
「ヴィオラ? ヴィオラ!」
「うっ、ううっ」
イザークはすぐさまベッドのカーテンを開いた。ランプの明かりが射し込む。
ヴィオラは泣いていた。イザークに辛そうな姿を一度たりとも見せたことがない、彼女がだ。涙を流し、これ以上声を上げないようにと口元を押さえている。
それほどまでの痛みを与えてしまうとは思っていなかったイザークは、慌ててヴィオラの中から出ていった。そして二人が繋がっていた場所を見て、驚愕する。
「これは……!」
彼女の膣口から滲んで、シーツへ染みを作っているのは、間違いなく鮮血だった。
死角から襲った顔面への重い衝撃に、思わずのけ反った。すぐ頭を戻せば、それは彼女の足だった。蹴られたらしい。
顔を押さえると、最も損害が大きい鼻から痛みが後追いしてくる。
「あ……! も、申し訳ございません……!」
鼻腔の奥がじわじわ湿気てきたので、出血しているようだ。
冷静に考えれば、挿入だけして終わっていると疑われる男たちとしか経験のない彼女に、いきなり秘所への舌での愛撫は驚かせてしまう可能性があると思慮すべきだった。
そこへ、部屋の扉を叩く音が割って入る。
「――陛下、いかがなさいましたか!」
部屋の前に立つ近衛兵だ。ヴィオラの悲鳴が届いてしまったのだろう。
「何でもない! 下がっていろ!」
イザークが廊下へ聞こえるよう声を張ると、それきり扉の向こうは静かになった。
顔を戻せば、ヴィオラは自分のしたことに青ざめている。
「落ち着け。大事ない」
手を取って握れば、ヴィオラは子供のようにこくこくと頷く。だがまだ表情は固いままだ。
「なるほど、見えているから足が悪さをするようだな」
イザークは先ほど彼女が希望したとおりにベッドのカーテンを引き、ランプの明かりを遮った。お互いの表情も分からないほど暗くなる。
イザークは半ば手探り状態でヴィオラの足を捉えると、再び股を開かせた状態で押さえ込んだ。
「陛下! これは――」
「任せてくれるのだろう?」
指で陰唇をなぞり、陰核の包皮を探り当てる。軽く引き上げて、そのすぐ下へ舌を伸ばせば、ぷくりとした肉の粒に触れた。
「やっ、なにを……! そんな、あっ……」
剥き出しの器官を舌のざらつきで擦られて、ヴィオラの足に力がこもる。だが先ほどの反省を活かしたイザークがしっかりと押さえ込んでいたので、抵抗できずされるがままになっていた。
既に指で高められていた場所だ。唾液と舌の刺激が、ヴィオラの戸惑いの声に、甘さを乗せていく。
「んっ、く、う……、陛下、あぁっ……」
ヴィオラの息遣いが荒くなっていく。身じろぎが抵抗のための意識的なものから、無意識の痙攣に移り変わる。
「こんな、こと……、んあっ、おかしく、なります……! ひっ――!」
雫を吐き出していた膣口へ指を潜り込ませると、ヴィオラから引きつった声が上がった。十分濡れているので、痛みではなく違和感の悲鳴だろう。
よく馴染むように、浅いところの腹側をやわやわと撫で、押して、刺激する。そして同時に、陰核へ口づけるかのように軽く吸うと、それに応じて中がぎゅっと締まった。
「だめ、です……! これ以上、は……!」
陰核は最初に比べて充血し固くなったように感じられた。膣口がひくひくと収縮する間隔も、短くなっている。
「あッ、だめ、んっ、く……! んああっ――!」
仕上げに、圧するように陰核を強く舐れば、ヴィオラはびくんと体を震わせ、硬直した。埋め込んだ指が、膣壁のざわめくような顫動に包まれる。
「は……、あ……。これ、なに……」
高みから少しずつ自分を取り戻したヴィオラは、体の力を抜きながら、戸惑いの言葉を漏らす。
一方のイザークは、体の中心の熱がもう抑えきれないほどになっていた。視界が悪くとも、ヴィオラの艶めかしい声や体の反応が欲望を駆り立てた。更に彼女は、絶頂も知らなかった。口づけどころか、絶頂も、ヴィオラの身に味わわせたのは、イザークが最初の男なのだ。
イザークはガウンを脱ぎ捨てて、腹に付きそうなほど硬く立ち上がった自分の逸物を取り出した。ことを終える前に果ててしまわないか、不安になりそうなほどの激しい滾りがある。
「ヴィオラ、すまない、もう……」
「あ、陛下っ、やっ……!」
できればもう一度して解してやりたかったが、もう我慢できない。
イザークは逸物をヴィオラのそこへ擦りつけた。先走りと彼女の体液が竿に塗り広げられる。
ヴィオラが驚いた声を上げる。しかしイザークは構わずに穂先を膣口へ含ませた。
この先は、もう他の男で知っている。そんな余計な考えが苛立ちを生み、逸る欲望を後押しした。隘路の奥へ、ぐっと腰を進める。
「ひ、いッ……!」
一番太いところへ力を込めて通すと、ずる、と一番奥まで入っていった。
柔らかい内側が、イザークの男根を強く締め付ける。動きたい。彼女に欲望を叩きつけたい。雄の本能が理性を奪い取ろうとした、その時。
「ひ、ひっ、ひぐ、ううぅ……」
聞いたことのない、しゃくり上げるような声。
イザークの熱は一瞬で霧散した。
「ヴィオラ? ヴィオラ!」
「うっ、ううっ」
イザークはすぐさまベッドのカーテンを開いた。ランプの明かりが射し込む。
ヴィオラは泣いていた。イザークに辛そうな姿を一度たりとも見せたことがない、彼女がだ。涙を流し、これ以上声を上げないようにと口元を押さえている。
それほどまでの痛みを与えてしまうとは思っていなかったイザークは、慌ててヴィオラの中から出ていった。そして二人が繋がっていた場所を見て、驚愕する。
「これは……!」
彼女の膣口から滲んで、シーツへ染みを作っているのは、間違いなく鮮血だった。
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