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後編
35.一年後-8
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「これから、最後まで、して構わないか」
確かな決意と情欲の乗った眼差しに、イリスの背筋は期待にぞくりと震える。
「ええ。あなたと、したい……っ」
体に密着していたアルヴィドの陰茎が、ぴく、と反応したように感じた。
返事を聞き届けた彼は、必死に落ち着こうとしながら、だが性急に、体を起こしてイリスの膝を抱え上げる。
股に挟み込むように沿わされた男根が、秘裂に擦りつけられた。
先ほど中もほぐされ、常に薬の興奮でじくじくと責められ続けていたその場所は、溢れる蜜で腿まで濡れぞぼっていた。
その体液を竿へ纏わせると、アルヴィドは先走りを滲ます先端を蜜口へ宛がう。
「最初はっ……、痛いと、思う。だが、すまない、う……、我慢、してくれ」
歯を食いしばって、欲求を堪えてイリスへ声をかけるアルヴィド。
だが限界なのはイリスも同じだ。宛がわれた熱を、早くその内側へ受け入れたかった。
「あぁ……、大丈夫、きて……。あっ、あああっ……!」
指よりも太く固いものが、イリスの中へ一息に押し込まれた。
たまらずイリスは喉を反らして悲鳴を上げる。
その体を、アルヴィドが呻きながら、繋がったまま掻き抱いた。
密着した下半身に、ひりひりと痛む浅い場所。そして胎内から感じるアルヴィドの熱。二人の汗と鼓動が混じりあう。
イリスは浮遊感のようなものでぼやける思考の中、本当に一つになったのだと実感した。
その思考をはっきりさせたのは、アルヴィドがイリスの背にまわした腕だった。力が強まって、少し痛いほどになる。
アルヴィドは顔をイリスの肩口へ伏せ、奥まで挿入したそのままで動かないようにしていた。だがそれはイリスに気遣ってのことで、辛そうな浅い息を吐いている。
「アルヴィド……」
「つらく、ないか」
「だい、じょうぶ」
「すまない……」
弱ったような返事になってしまい、それが苦痛からと思ったのか、アルヴィドがまた謝る。
しかしそれはイリスの思うところではない。
「大丈夫。痛いけど、少しだけ」
申し訳なく思う必要などないと、イリスはたどたどしく、感じた全てを口に出していく。
「それより……、すごく、嬉しい」
肩へ伏せられたアルヴィドの頭へ手を伸ばし、くすんだ金色の髪へ指を絡ませる。
顔を上げたアルヴィドと、間近で目が合う。
「一生したくないと思っていたこと、あなたと、したくなって、ちゃんとできたから」
昔の、痛くて恐ろしい行為とは全く違う。
アルヴィドのイリスへの愛情と情欲の伝わってくる、そして彼への思いが溢れてくる、双方向の深い交わりだ。
「今も、怖い?」
「まだ……」
「それでいいの。向き合い始めたばかりだから」
それで正常だ。不安な状況へ身を置き始めた時は、恐怖がある。そのまま身を置き続けることで、恐怖が低減されるのだから。
イリスの方からアルヴィドへ口づけると、唇を舐め返される。
痛みはほとんど治まっていて、それよりも、押し広げられ、圧迫されるだけの内側がひどくもどかしい。
「大丈夫……。不安がなくなるまで、たくさん、しましょう」
それを契機に、アルヴィドの腰がゆるゆると動きだす。
「ふ、うあ、あぁ、あっ、す、ごい……!」
肉壁を擦られるだけで、割り開かれた膝が勝手に跳ねるほど気持ちがいい。
そして先ほど指で達せられた中の上側の一点を、彼の剛直の先端が抉ってから進んでいく。その都度、次で絶頂を迎えてしまうのではないかと思うほどの、強烈な快感に貫かれた。
薬で高められてから溜まるばかりだった疼きが、ようやく満たされようとしている。
「イリス、教えてくれ、痛く、ないか」
アルヴィドはイリスの顔の横へ腕をついて、必死に繋ぎとめている僅かな冷静さで、表情に苦痛がないか見落とすまいとしている。
「んあっ、い、たくないっ……」
だがこれでは、薬で乱れているのか、痛みを我慢しているだけなのか、分からないだろう。
だからイリスは、快楽に侵されつつある頭で、懸命に言葉を紡ぐ。
「きもち、いいっ、すごく……! あなたが、あぁっ、熱くて……、上の、ところ、――あッ! そこ、うっ、あ、あああ、もっと……!」
杭のように固くなったもので、いいと伝えた場所を集中的に穿たれる。
いつの間にかアルヴィドの動きに遠慮はなくなってきたが、イリスはもう快楽が受け止めきれないほどになってしまっていて、気がつかない。
それより縋るものを探して手を伸ばす。
するとアルヴィドが体を寄せてくれたので、その首に縋りついた。
「はぁっ、ああっ。あ、おく……、奥も、しらなかった、気持ち、いい……!」
目を閉じて感じ入るイリスに、アルヴィドは望むとおりに官能を与えてくれる。
これまでの指による愛撫では届かなかった最奥に、受け止めれば果てしなく欲しくなる場所があった。
「うぅ、あぅっ、もう、くるっ、きちゃう……!」
「く、はっ……、イリス、僕も、もう……」
「ふ、う、んっ、くぅ、あああぁッ――!」
何かが決壊するように、快楽の波にさらわれて頭が真っ白になる。
イリスは我慢できず、腕と、足でアルヴィドにしがみついた。
びくびくと全身が痙攣する。
「うっ……」
アルヴィドもうめき声を漏らして達し、絶頂でうねるイリスの中へ精を吐き出した。
締めつけたそれが跳ね、白濁を放ち、中にじわりと広がっていく感触に、イリスは身震いする。それ自体は僅かな刺激だというのに、ひどく情欲を掻き立てられる。
「アルヴィド……」
まわした腕を少し緩めて名前を呼べば、アルヴィドは汗を滴らせながらイリスを見つめて、何も言わずに唇を合わせた。舌の温度と感触は、体が興奮すると同時に何故か心を落ち着かせもする。
「ん、はぁ、……ふ。もっと、しましょう」
「ああ。不安が、なくなるまで……」
中に埋め込まれた陰茎が、また熱を巡らせ、固くなる。
そしてそれはまたイリスの奥深くまで暴き、上り詰めさせ、二人を溶かし合わせていった。
確かな決意と情欲の乗った眼差しに、イリスの背筋は期待にぞくりと震える。
「ええ。あなたと、したい……っ」
体に密着していたアルヴィドの陰茎が、ぴく、と反応したように感じた。
返事を聞き届けた彼は、必死に落ち着こうとしながら、だが性急に、体を起こしてイリスの膝を抱え上げる。
股に挟み込むように沿わされた男根が、秘裂に擦りつけられた。
先ほど中もほぐされ、常に薬の興奮でじくじくと責められ続けていたその場所は、溢れる蜜で腿まで濡れぞぼっていた。
その体液を竿へ纏わせると、アルヴィドは先走りを滲ます先端を蜜口へ宛がう。
「最初はっ……、痛いと、思う。だが、すまない、う……、我慢、してくれ」
歯を食いしばって、欲求を堪えてイリスへ声をかけるアルヴィド。
だが限界なのはイリスも同じだ。宛がわれた熱を、早くその内側へ受け入れたかった。
「あぁ……、大丈夫、きて……。あっ、あああっ……!」
指よりも太く固いものが、イリスの中へ一息に押し込まれた。
たまらずイリスは喉を反らして悲鳴を上げる。
その体を、アルヴィドが呻きながら、繋がったまま掻き抱いた。
密着した下半身に、ひりひりと痛む浅い場所。そして胎内から感じるアルヴィドの熱。二人の汗と鼓動が混じりあう。
イリスは浮遊感のようなものでぼやける思考の中、本当に一つになったのだと実感した。
その思考をはっきりさせたのは、アルヴィドがイリスの背にまわした腕だった。力が強まって、少し痛いほどになる。
アルヴィドは顔をイリスの肩口へ伏せ、奥まで挿入したそのままで動かないようにしていた。だがそれはイリスに気遣ってのことで、辛そうな浅い息を吐いている。
「アルヴィド……」
「つらく、ないか」
「だい、じょうぶ」
「すまない……」
弱ったような返事になってしまい、それが苦痛からと思ったのか、アルヴィドがまた謝る。
しかしそれはイリスの思うところではない。
「大丈夫。痛いけど、少しだけ」
申し訳なく思う必要などないと、イリスはたどたどしく、感じた全てを口に出していく。
「それより……、すごく、嬉しい」
肩へ伏せられたアルヴィドの頭へ手を伸ばし、くすんだ金色の髪へ指を絡ませる。
顔を上げたアルヴィドと、間近で目が合う。
「一生したくないと思っていたこと、あなたと、したくなって、ちゃんとできたから」
昔の、痛くて恐ろしい行為とは全く違う。
アルヴィドのイリスへの愛情と情欲の伝わってくる、そして彼への思いが溢れてくる、双方向の深い交わりだ。
「今も、怖い?」
「まだ……」
「それでいいの。向き合い始めたばかりだから」
それで正常だ。不安な状況へ身を置き始めた時は、恐怖がある。そのまま身を置き続けることで、恐怖が低減されるのだから。
イリスの方からアルヴィドへ口づけると、唇を舐め返される。
痛みはほとんど治まっていて、それよりも、押し広げられ、圧迫されるだけの内側がひどくもどかしい。
「大丈夫……。不安がなくなるまで、たくさん、しましょう」
それを契機に、アルヴィドの腰がゆるゆると動きだす。
「ふ、うあ、あぁ、あっ、す、ごい……!」
肉壁を擦られるだけで、割り開かれた膝が勝手に跳ねるほど気持ちがいい。
そして先ほど指で達せられた中の上側の一点を、彼の剛直の先端が抉ってから進んでいく。その都度、次で絶頂を迎えてしまうのではないかと思うほどの、強烈な快感に貫かれた。
薬で高められてから溜まるばかりだった疼きが、ようやく満たされようとしている。
「イリス、教えてくれ、痛く、ないか」
アルヴィドはイリスの顔の横へ腕をついて、必死に繋ぎとめている僅かな冷静さで、表情に苦痛がないか見落とすまいとしている。
「んあっ、い、たくないっ……」
だがこれでは、薬で乱れているのか、痛みを我慢しているだけなのか、分からないだろう。
だからイリスは、快楽に侵されつつある頭で、懸命に言葉を紡ぐ。
「きもち、いいっ、すごく……! あなたが、あぁっ、熱くて……、上の、ところ、――あッ! そこ、うっ、あ、あああ、もっと……!」
杭のように固くなったもので、いいと伝えた場所を集中的に穿たれる。
いつの間にかアルヴィドの動きに遠慮はなくなってきたが、イリスはもう快楽が受け止めきれないほどになってしまっていて、気がつかない。
それより縋るものを探して手を伸ばす。
するとアルヴィドが体を寄せてくれたので、その首に縋りついた。
「はぁっ、ああっ。あ、おく……、奥も、しらなかった、気持ち、いい……!」
目を閉じて感じ入るイリスに、アルヴィドは望むとおりに官能を与えてくれる。
これまでの指による愛撫では届かなかった最奥に、受け止めれば果てしなく欲しくなる場所があった。
「うぅ、あぅっ、もう、くるっ、きちゃう……!」
「く、はっ……、イリス、僕も、もう……」
「ふ、う、んっ、くぅ、あああぁッ――!」
何かが決壊するように、快楽の波にさらわれて頭が真っ白になる。
イリスは我慢できず、腕と、足でアルヴィドにしがみついた。
びくびくと全身が痙攣する。
「うっ……」
アルヴィドもうめき声を漏らして達し、絶頂でうねるイリスの中へ精を吐き出した。
締めつけたそれが跳ね、白濁を放ち、中にじわりと広がっていく感触に、イリスは身震いする。それ自体は僅かな刺激だというのに、ひどく情欲を掻き立てられる。
「アルヴィド……」
まわした腕を少し緩めて名前を呼べば、アルヴィドは汗を滴らせながらイリスを見つめて、何も言わずに唇を合わせた。舌の温度と感触は、体が興奮すると同時に何故か心を落ち着かせもする。
「ん、はぁ、……ふ。もっと、しましょう」
「ああ。不安が、なくなるまで……」
中に埋め込まれた陰茎が、また熱を巡らせ、固くなる。
そしてそれはまたイリスの奥深くまで暴き、上り詰めさせ、二人を溶かし合わせていった。
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