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21.所有者-2 *
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「陛下!?」
立ち上がったファルハードは、座り込んでいるシュルークの胸倉を掴み、腕の力だけで起き上がらせた。シュルークの手元に置かれていた杖が絨毯を転がる。
彼女を庇おうと腰を浮かせかけたキアーを、頭の片隅に残る冷静さが押しとどめた。視界の端では、腰に下げた剣の柄へ手をかけたオーランとサドリが目を光らせている。
「あっ」
短い悲鳴と共に、シュルークは寝台へ押し倒された。帽子が取れて、少し驚いた表情の素顔が露わになる。
「お前が今さら、まともな女の人生を、普通の幸福を掴めるとでも思ったのか!? 愛情すら理解できない狂人の分際で!」
寝台に膝で乗り上げたファルハードは、シュルークの胸倉を掴んだまま、覆いかぶさるように彼女を怒鳴りつけた。ファルハードがここまで声を荒げた姿を、キアーは見たことがない。おそらく、オーランとサドリも同じだろう。
ただ唯一、シュルークだけは彼の怒りに対し落ち着いていた。
「愛情……?」
この場においては能天気ですらある、シュルークの戸惑う様子。
続く言葉に、今度はキアーが困惑させられた。
「キアー様の求婚をお受けすることにしたのは、愛ではありません」
ファルハードでさえ、その返答には一瞬虚を突かれていた。
だが、すぐに酷薄な笑みで口元を歪める。
「そうか、お前はそんな女だったな……」
その昏い笑みは、彼の怒号以上にキアーをぞっとさせた。
一旦シュルークの胸元から手を離したファルハードは、今度は両手をそこにかけると、強引に彼女の服の帯から上をはだけさせた。
「何をなさるのです!」
キアーの制止の声は届かない。
中途半端にずり上げられた下着で形を歪めながらも、シュルークの白い乳房が零れ出る。
脚衣も、中の下着ごと剥ぎ取られて、この場の男たちに素足と下腹部が晒された。それでもシュルークは、悲鳴も上げない。ファルハードに任せている。
「キアー、お前が愛を誓った女の真の姿を、よく見ておけ」
シュルークはファルハードの膝に乗せられ、彼の脚をそれぞれ跨ぐように、寝台の足元にいるキアーに向けて股を開かされた。無毛の秘所が見せつけられる。先ほど交わったばかりのそこは、しっとりと潤んでいた。
ファルハードの人差し指と中指が、シュルークの膣口へずぬ、と押し入る。
「あ……」
湿り気を帯びた微かな声。
それを上回る音を立てるように、ぐちぐちと指は乱雑に出入りを始めた。
「んっ、う……、ふっ……」
シュルークは血の気の薄い頬を紅潮させ、遠くへ視線を移した。眼前の将来を約束した男を見ないためではない。視覚から意識を逸らし、他に受け取っている感覚へ集中するためだ。彼女はキアーだけでなく、オーランやサドリも見ているというのに、快感を得ている。
乱雑に感じたファルハードの指は、その実、的確にシュルークの弱点を突いていた。膣口からは透明な体液が溢れて、彼女を膝に乗せているファルハードの服を汚す。大きく開かれた腿が、閉じないよう押さえつけられているのに、びくびくと震えている。
シュルークの悦楽の呻き声や身悶え方は、程度を増していき、早々に絶頂の手前にまで来ていた。
「ん、くぅ……、んああっ――!」
堪えるような一瞬の前兆のあと、シュルークは甘い悲鳴を上げて絶頂を迎えた。あまりに呆気ない。
キアーは愕然として、胸を上下させ息をするシュルークを見つめていた。キアーでは、陰核を舐めてやりながらでなくては、手技で絶頂しないのだ。それが、ファルハード相手ではこうもいともたやすく。
嫉妬がキアーの身の内を焼いていく。だがそんなキアーに構わず、ファルハードは自身の服を寛げ、そそり立つ凶器を取り出した。
立ち上がったファルハードは、座り込んでいるシュルークの胸倉を掴み、腕の力だけで起き上がらせた。シュルークの手元に置かれていた杖が絨毯を転がる。
彼女を庇おうと腰を浮かせかけたキアーを、頭の片隅に残る冷静さが押しとどめた。視界の端では、腰に下げた剣の柄へ手をかけたオーランとサドリが目を光らせている。
「あっ」
短い悲鳴と共に、シュルークは寝台へ押し倒された。帽子が取れて、少し驚いた表情の素顔が露わになる。
「お前が今さら、まともな女の人生を、普通の幸福を掴めるとでも思ったのか!? 愛情すら理解できない狂人の分際で!」
寝台に膝で乗り上げたファルハードは、シュルークの胸倉を掴んだまま、覆いかぶさるように彼女を怒鳴りつけた。ファルハードがここまで声を荒げた姿を、キアーは見たことがない。おそらく、オーランとサドリも同じだろう。
ただ唯一、シュルークだけは彼の怒りに対し落ち着いていた。
「愛情……?」
この場においては能天気ですらある、シュルークの戸惑う様子。
続く言葉に、今度はキアーが困惑させられた。
「キアー様の求婚をお受けすることにしたのは、愛ではありません」
ファルハードでさえ、その返答には一瞬虚を突かれていた。
だが、すぐに酷薄な笑みで口元を歪める。
「そうか、お前はそんな女だったな……」
その昏い笑みは、彼の怒号以上にキアーをぞっとさせた。
一旦シュルークの胸元から手を離したファルハードは、今度は両手をそこにかけると、強引に彼女の服の帯から上をはだけさせた。
「何をなさるのです!」
キアーの制止の声は届かない。
中途半端にずり上げられた下着で形を歪めながらも、シュルークの白い乳房が零れ出る。
脚衣も、中の下着ごと剥ぎ取られて、この場の男たちに素足と下腹部が晒された。それでもシュルークは、悲鳴も上げない。ファルハードに任せている。
「キアー、お前が愛を誓った女の真の姿を、よく見ておけ」
シュルークはファルハードの膝に乗せられ、彼の脚をそれぞれ跨ぐように、寝台の足元にいるキアーに向けて股を開かされた。無毛の秘所が見せつけられる。先ほど交わったばかりのそこは、しっとりと潤んでいた。
ファルハードの人差し指と中指が、シュルークの膣口へずぬ、と押し入る。
「あ……」
湿り気を帯びた微かな声。
それを上回る音を立てるように、ぐちぐちと指は乱雑に出入りを始めた。
「んっ、う……、ふっ……」
シュルークは血の気の薄い頬を紅潮させ、遠くへ視線を移した。眼前の将来を約束した男を見ないためではない。視覚から意識を逸らし、他に受け取っている感覚へ集中するためだ。彼女はキアーだけでなく、オーランやサドリも見ているというのに、快感を得ている。
乱雑に感じたファルハードの指は、その実、的確にシュルークの弱点を突いていた。膣口からは透明な体液が溢れて、彼女を膝に乗せているファルハードの服を汚す。大きく開かれた腿が、閉じないよう押さえつけられているのに、びくびくと震えている。
シュルークの悦楽の呻き声や身悶え方は、程度を増していき、早々に絶頂の手前にまで来ていた。
「ん、くぅ……、んああっ――!」
堪えるような一瞬の前兆のあと、シュルークは甘い悲鳴を上げて絶頂を迎えた。あまりに呆気ない。
キアーは愕然として、胸を上下させ息をするシュルークを見つめていた。キアーでは、陰核を舐めてやりながらでなくては、手技で絶頂しないのだ。それが、ファルハード相手ではこうもいともたやすく。
嫉妬がキアーの身の内を焼いていく。だがそんなキアーに構わず、ファルハードは自身の服を寛げ、そそり立つ凶器を取り出した。
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