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しおりを挟む結局のところ、阿賀野と真柴は本当に一ヶ月以上も会わないまま、電話だけでどうにか日々をやり過ごした。
「夕飯はなに食べた?」
『今日は肉じゃがといんげんにマヨネーズをあえたものです。阿賀野さんはもう食べましたか』
「俺もさっき食べた。カレーを作ったんだけど、分量間違えたな。多分明後日までカレーだ」
『わかります、俺もついうっかり大量に作ります。明日の夕飯はカレーうどんにするとかでバリエーション増やすと飽きないですよ』
話題は様々だ。料理の話をするときもあれば、会社であったことを面白おかしく話すときもある。真柴からは、育てている野菜の事や、最近は昼間にも村の方に顔を出すように、自分で心がけるようにしているといった日々の変化を聞かせてもらっていた。
話せば話すだけ、真柴と阿賀野はまったく違う場所で生きている人間だった。
阿賀野は無数のビルがそびえ立つ中を縦横無尽に人が行き交う中を生きているが、真柴はたった一人で山奥にこもり、田畑の世話をして静かに生きている。
あの時諏訪園から話を聞かなければ、須藤がタグを持ち帰らなければ、絶対に遇う事は出来なかった。だからこそ運命なのだろうかと聞いてみた日があったが、真柴はしばらく黙りこんで、でも、と言った。
『運命のつがいっていうのは、…俺は正直よくわかりません。でも、運命でも偶然でも必然でも、色んなイエスとノーがあったと思うんです。どれがそうだったかはわからないけど、選択肢の果てに今があるんですよね。………俺はよかったって思います』
難しいですね、と電話口で真柴は少し笑ったようだった。
声だけの逢瀬を重ねて、何気ない話から、眠りのふちに落ちるぎりぎりまで考えるような話まで語り合う。顔が見られないのは確かに寂しくもあったし、仕事がどうしても立て込んで電話をすることも出来ないまま一日が終わった日は、ため息が止まらなかった。
そんな風に過ごして約束をしたあの日から、一ヶ月と一週間が経った今朝の事だった。。
『体温もちょっとあがってる感じがして……その…き、きそうです』
「発情期?」
『はい……』
いつもは夜に、大体は阿賀野から電話をかけていたのに珍しく朝からかかってきた電話になにかあったかと思わず構えたが、おそらくは電話口で真っ赤になっているであろう真柴の言葉に、瞬時に思考を切り替えた。
もしかしたら早くなるかもしれないし、遅くなるかもしれないと考えて、会食や会議は極力入れないようにしていたので、幸いにもこの先一週間は前もっての予定はない。先週のうちに地方店舗の視察に行っておいてよかったと胸を撫でおろしながら、開いたタブレットで秘書室の共有ツールを開いた。
「どのくらいで始まりそう?」
『確実じゃないんですけど、早ければ今日ぐらいには…』
「わかった。遅くなるかもしれないけど、夜にそっちに行く」
『えっ、今日ですか? 会社は…』
「仕事はためないようにしてるし、来週までは予定を弄れるように調整してあるから大丈夫。着く前に連絡するから、それまで抑制剤を飲んでてくれるかな」
『わかりました』
スケジュールツールに調整休暇のタグをつけて休みを入れる。五日でいいだろうかとも思ったが、念のため六日先までタグを引っ張った。
そうして、スケジュールアプリで調整休暇を知って一日にやつく顔を隠しもしなかった須藤にいじられながらもどうにか業務をこなし、終業するなりそのまま阿賀野は家に戻らずに真柴宅を目指していた。
悪路でガタガタと揺れるトランクからは、買いこんだ2リットルのペットボトル6本入一ダース分がゴンゴンと当たっている音がする。その横には一緒に買った栄養補助食品を一ダースも入れたはずだったが、もしかしたら砕けてしまったかもしれなかった。
まさか約束した日からすぐに発情期に入ったりはしないだろうと思いつつも、阿賀野はあの日から一週間もたたないうちに、Tシャツを五枚とラフなワーキングパンツとジーンズとルームパンツを一本ずつ、それに下着を数日分とアメニティ類を新しく買い込んでキャリーケースに詰め、玄関の脇に置いていた。
出番がないまま一か月放置されていたキャリーケースは、後部座席で揺られている。まるで小旅行を兼ねたキャンプにでも行くような装備ではあったが、下手をしたらこれから一週間近くは人里離れた場所に籠るのだ。簡単につまめるクラッカーなども買うべきだっただろうかと思いつつ、多馬村の集落が見えてきたころ、阿賀野は車を路肩に停めた。
ほとんど毎日電話をするものだから、連絡帳よりは通話履歴から辿った方が早い。数タッチでコールが始まり、すぐにそれは受話音になった。
『ぅう…はい……』
聞こえたのは、熱のこもった声だった。
いつも聞いている真柴の声に間違いないが、熱と艶と欲が複雑に入り混じった声音はまるで雰囲気が違う。
「もうすぐ多馬村に入る。そっちまでは…三十分くらいかな。体は動かせる?」
『らぁ…ら、だ、だい、じょぶ、です……』
ろれつも回っていない。本人からの申告通り、発情期が始まっているようだった。
「抑制剤を飲んで、消臭剤も撒いといてくれ。もちろん君にもかけて、出来るだけ平常に近くしてほしい。あと、首輪も」
『わかりました…』
語尾さえも蕩けるように消える。ふつりと通話の切れたスマートフォンをしまい、再び車を走らせながら、助手席に置いた革製の小さなケースをちらりと見やった。
煙草の箱より少し細長い程度のそれには、病院に行かなければもらえないような効果の強い抑制剤が数本入っている。これを打てば五、六時間はオメガから放たれるフェロモンに反応する神経が麻痺し、理性を保ちやすくなる。
すれ違う車はおろか、街灯もない林道を走り、やがて数カ月ぶりに見る真柴宅に到着した阿賀野は、いつも車を停めていたぎりぎり真柴家の敷地ではない林道の端ではなく、玄関脇のスペースに駐車した。
阿賀野が来ることがわかっていたためか、玄関の近くにある外灯はこうこうとした明かりがついている。その明かりを頼りに抑制剤のケースを開けた阿賀野は、スタンプ式の注射を一本、二の腕に押した。
無痛針が使われているおかげで痛みもなければ、薬剤を打ったという自覚があるような目覚ましい変化があるわけでもない。
けれど、この変化のなさこそが大切だ。
おそらく屋内は真柴の発情期であふれたフェロモンで満ち溢れている。そんな中で、阿賀野はどうしても理性を保った状態でいなければならなかった。
阿賀野が処方してもらったスタンプ注射は、錠剤とは違って薬液を直接注入するため、即効性がある。それでも数分は時間を置いた方がいいだろうと、とりあえず車から出た阿賀野は車に積んでいた水や食物を玄関先に降ろし、キャリーケースも出したところで、再度真柴に電話をかけた。
『はい』
言ったとおりに抑制剤を服用してくれたのか、さっきよりは声がはっきりとしている。それでも滲むような甘さは完全に消えてはいなかった。
「俺だ。ついたよ。入っていいかな」
『はい。……玄関、開いてます』
「わかった」
ぷつんと電話が切れて、尻ポケットにスマートフォンをしまった阿賀野は、相変わらず立てつけの悪い戸を引いた。
あんなに警戒心が強かった真柴なのに、本人が言っていたように鍵がかかっていなかった。
不用心だと怒るべきなのか、阿賀野が来るからと信頼してくれているのか、それとも真柴なりの誘い方なのか考えながら一歩玄関へ入ると、やはり屋内は甘い匂いが漂っていた。
一瞬ずくりと下腹のあたりが催しかけたが、その衝動はすぐさまなりをひそめて、理性に抑え込まれた。
わざと物音を立てて荷物を廊下に置く。
台風の日にもらったメモには『ここには入らないでください』と注意書きがされていたドアは少し開いており、その奥には明かりがついた廊下が見えた。
荷物は置いたまま、その廊下へ踏み込んだ。
人が一人しか通れないほどの細い廊下だった。
庭に面した側には窓がついているが、嵌め殺しだった。廊下の突き当たりには扉があり、そこは閉まっていたが、ドアノブを回すと簡単に開く。そろりと覗き込むと、奥に続く廊下も明かりがついており、突き当りには同じように扉があった。
一歩一歩近付くと、匂いが濃くなっていく。けれども香水をじかに嗅いでしまったような鼻をつく匂いではなく、自分を包む空気にどんどん匂いがついていくような、不思議な感覚だった。
体温が上がっているのか、ワイシャツの下はうっすらと汗をかいている。鼓動もどこか早くなっている気はしたが、まだ大丈夫だ。前のように頬を自分で噛み切るようなことにはならないといいと考える余裕さえある。
一歩踏み出すたびに、阿賀野が向かっているのを知らせるように床板が軋む。
部屋にいる真柴からは、どう聞こえているだろう。
自分を暴くアルファが近付いていると思うのか、それとも真柴を求める男が来たと思うのか。
扉の前に立って深呼吸をする。
きしりと床が鳴った。
「真柴くん」
自分でも驚くほど、静かな屋内に声が響いた。
上擦りはしなかったものの、変に大きな声を出してしまったかと思わず目をむいたが、扉の向こうの床は歩み寄るように二度軋んだ。
「……はい」
声がふつりと消えるのを追うようにドアノブを回す。鍵はかかっていない。そろりと押すと、かちゃりとわずかな金属音を立ててが開いた。
まず目に映ったのは、封の開けられたスタンプ注射が転がるちゃぶ台と、向かいの壁際に置かれたチェストだった。室内はしんと静まり返っていて、声が返ってきたのは幻聴だったのではと思うほどだったが、視線を巡らせると、扉とは対角線の部屋の隅に真柴がいた。
正座をしている真柴は俯いていたが、阿賀野が一歩踏み込むと、そろりと視線をあげた。
顔は赤いが、目は泳いでいない。呼吸も落ち着いていて、以前のように悶えてもいない。そして、首にはあの首輪が嵌っていた。
性欲を薬で封じ込め、契約を交わすための場所を首輪で守り、運命どころか本能さえ退ける。阿賀野にはやらなければならないことがあった。
物が少ない部屋の中央に置かれたちゃぶ台を周って、真柴に歩み寄る。正座をした男は隅から動かず、近付いてくる阿賀野に熱心な視線を送っていた。
早すぎず、遅すぎず、一歩一歩歩み寄って、阿賀野はとうとう真柴の前まで来た。床に座っている真柴との視線の距離は一メートル。その距離も、阿賀野がしゃがんで視線の高さを同じにしてしまうと、ものの数十センチになった。
「単刀直入に言うよ」
本当ならもっと余裕が欲しかった。スマートに話を切り出して、まずは久しぶりに会えてうれしいと伝えたかった。少しでも紳士的にふるまいたかった。
けれど、阿賀野の目の前にいるのは真柴だ。運命のつがいであり、オメガであり、恋をした相手だ。虚栄心にも似た自尊心は、もはや一瞬浮かんだだけですぐに消え去った。
「俺は今日、君をつがいにするために来た」
かすかに息を飲んだ真柴が、小さく身じろぐ。閉じたままの口がぐっと更に引き結ばれたあと、薄く開いて、おそるおそると言ったように浅く息を吐いた。
「…だけど、俺は、君の匂いに屈するつもりはないし、君が運命だからつがいにするわけじゃない」
「……それ、は……どういう…?」
「回りくどくてごめん。……色々考えたんだ。君は俺の運命のつがいだ。これは間違いない。運命だから見つけられたし、絶対につがいたいと思った。それは事実だから否定しない。だけど、俺はアルファで君はオメガだけど、俺は一人の男として、君を好きになった。運命だなんだは、ただのきっかけだ。正直、もうどうでもいい。君の匂いが今すぐ消えても、君が突然変異でオメガじゃなくなっても、君が好きなんだ。真柴くん。俺に抱かれてください」
人に頭を下げるなど、どのくらいぶりだかわからない。けれど、惚れた弱みは圧倒的に阿賀野にある。
真柴に向き合って、同じように正座をして頭を下げた阿賀野は、言いきったのだと、渇いたのどに無理やり唾を飲み込ませた。
こんな告白をするのは初めてだった。口説くことでそれなりの愛を囁いているつもりでいたが、そんなものは非じゃなかった。
胸の内に巣食う思いは形にもならなければ目に見えるものにはならない。けれど、その温度や輪郭や色や熱量を出来る限り伝えなければと思った。
おおよそ、真柴も憎からず思ってくれているのだろうという自負はある。それでも返事が気になっていると、おもむろに真柴が立ちあがった。
阿賀野が部屋に来る前から正座をしていたのか、ぎこちなく立ち上がった真柴は、背後にあった襖をすらりと開けると、押し入れになっているそこから踏み台を出した。
なにをするのかと眺めていると、踏み台に乗った真柴が長い腕を伸ばして天袋を開ける。つま先立ちをしてごそごそとなにかを探ると、やがて奥の方から小さな貯金箱を出した。
昔どこかで見たようなうさぎのキャラクターを模した古い貯金箱を両手に持った真柴は元いた場所に腰を下ろすと、貯金箱を逆さまにしてぱくんと蓋を開けた。
上下に振ると、チャリチャリと音がする。見ていると、小さな鍵が飛び出て真柴の手のひらにのった。
「…阿賀野さん」
ぎゅっと真柴が鍵を握りこむ。見覚えのあるそれは、真柴に嵌めた首輪の解錠に使うものだった。
鍵を握った手を胸のあたりで握りしめたまま、落ち着かなく視線を左右に振った真柴は結局少し俯きがちになったが、声はしっかりと阿賀野に届いた。
「へん…返事です。返事って言うのも変か…あ、あの…俺は、俺は厄介な体質です。本当は、バルに行くのも怖かったです。都心に行くのも、一週間悩みました。それに、あんなに遠いと思わなかったです。すぐに会える距離じゃない。俺は畑を放っておけないし、阿賀野さんも忙しいです。なにもかも面倒なやつだと思います。自分だったら絶対選べない。でも」
まるで関節が錆びついてしまったようにぎこちなく動いて、真柴が手のひらを開く。よほど強く握っていたのか、手のひらには鍵の跡がついていた。
「でも、噛んでくれますか」
鍵をのせた手のひらは震えている。少しの怯えで、すぐに閉じて引っ込んでしまいそうですらあった。
小さな鍵を、阿賀野はそっと指先で摘んだ。
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