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第二章 第一次〈ムーン〉制圧作戦編

第5話 ごめんよ。

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コピーというのは、他のある物をそっくりそのまま写すという意味だと、ホスロに聞いたことがある。だけども、実際に目で見たことはないので、良くは分からなかった。周辺諸国では、重要書類を長期間保管するのに使うらしいのだが…

とにかく、コピー魔法がどんなものかを試すために、僕は魔法を使役するのが得意なマージを王宮の中庭に呼び出した。


「タール殿、一体どうされたのです?急に私を呼び出したりして。」

「いやいや、ちょっと試したいことがあってね。」

「?」


マージは怪訝な顔をしている。そりゃあそうだ。お付きの大臣ではなく、僕とは普段関わりのないような人物を呼び出したのだ。クビにされるのかと疑っているのだろう。僕はそんなことしないけど。


「単刀直入に聞こう。――コピー魔法って、知ってる?」


マージが少し怪しみながらも僕の質問に答える。


「……ああ。西方の国々が、空間魔法を応用して開発したと聞いたことがあります。なんでも、見たもの全てをそっくりそのまま作ることができるらしいです。……急にそんなこと聞いてどうしたんですか?」


見たもの全てをそっくりそのまま作れる……


「マージ、僕、その魔法習得しちゃった☆」

「……………………ええええええええっ!?」


事情説明中…


「な、なるほど。ギフト使いも使役できる魔法でしたか。で、その威力を試したくて私をここに呼んだんですね?………事情も言わず。」


マージはキレていた。さっきも言ったけど、普段そばにいない人を急に呼び出すのは、クビを宣告するとき位だ。いや、そんなわけがねぇだろと思う人もいるかもしれないが、この国は本当にそうなのだ。現に、統治時代以前の豪族のリーダーは、同じやり方で30人のクビをきっている。

昨日、伝者伝いに僕が呼んでいると聞いて、最悪の想定をしたらしい。

以前、大大不祥事を起こしたのにも関わらず、そのまま召し抱え続けた僕が愛想を尽かしたと思ってしまったらしいのだ。その日は徹夜で、魔除けの魔法と加護の魔法を自分自身にかけつづけ、神に祈り続けていたらしい。

そして、今日になって、僕が呼んだ理由が…魔法を試したいから。

心中穏やかではないだろう。今にも嵐が来そうだ。


「あ、あっはは。………どうもすみませんでした。」


僕は頭を地面につける勢いで謝った。

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