290 / 764
第三章・傾国の王女
254.暗躍はお手の物です。
しおりを挟む
大公領に到着した日の夜は、特産品などを用いたご当地グルメのご馳走を振舞っていただき、実に楽しい晩餐となった。
どうやらフォーロイト家が大した護衛もつけずに大公領に来る事は別に珍しい事ではないようで(私の場合は王女だから、あんなにも口うるさく言われたのだろう)、私の連れが二人だけな事にもテンディジェル家の方々は理解を示してくれた。
というか、あの真剣勝負を見てもう、こりゃ確かに三人だけで大丈夫だな! と思ってくれたらしいのだ。何かやってる事が旅に出る前と同じ気もするんだけど……やはり力が全てを解決するのね。
現大公や、セレアード氏の奥さん──つまり、此度の内乱の原因の一つでありレオナードの母親である人とも挨拶した。
本当にいい人そうだった。セレアード氏も奥さんを心から愛しているようだったし…………彼等二人を取り巻く環境が少しでも違えば、きっとこれからも末永く幸せに暮らせるんだろうな。そう、思ってしまった。
だがゲームではそれが叶わず、内乱が発生した。彼等がどれだけ愛し合っていても。この地は、人々はそれを許せなかったんだ。
本当にやるせないったらありゃしない。
だからこそ私達でこれから起こる最悪の結末を食い止め、彼女等に幸せを届けるんだ。
「……──ルティ、イリオーデ。疲れてるだろうけどここからが本番よ」
月と夜空は暗雲に覆われ、外は吹雪に見舞われる。
暖炉の火が弾ける音が心地よい、静かな夜の部屋にて。
イリオーデとアルベルトを呼び出して計画始動の合図を告げる。これから二人にも、勿論私にもやる事があるのだ。
わざわざ着替えて呼び出しに応じてくれたアルベルトに、まずは指示を出す。
「ルティは打ち合わせ通り、例の地点でスコーピオンと合流して情報を共有してきて。スコーピオンの顔は割れてるわよね?」
「は、頭目のヘブン含め百名近い構成員全ての顔と名は頭に入っております」
「よし。それじゃあ今から頼むわ。合言葉は『鏡よ鏡、世界で一番悪辣なのは誰?』よ」
ちなみにこの合言葉はカイル発案だ。この後にヘブン側の『それはお前だよ』みたいな言葉が続く予定の、謎の合言葉。
「委細承知。帰還と報告は何時頃を目安にすればよろしいでしょうか?」
「そうね……私も作業があるから今日は遅くまで起きておくつもりだし、二時頃までには戻って来てちょうだい」
「畏まりました」
深く背を曲げて、いつもの執事服に身を包むアルベルトはどぷんっと影の中に飛び込んで消えた。
さて次は、とイリオーデの方を向き彼にも指示を出す。
「イリオーデは今から城内を偵察してきてちょうだい。各時間帯における兵の配置とかを、夜間勤務の兵士からそれとなく聞いて割り出してほしいの。多分、私が気にしているとか言えば怪しまれずに聞き出せると思うし……原因を追及されても、はぐらかせると思うわ。もしもの時は差し入れと偽って泥酔させてやればいいわ」
これはランディグランジュの名を持つイリオーデの方が怪しまれないと踏んだので、彼に頼む事としたのだ。
こくりと頷いてまず一つ目の命令を理解した彼に、立て続けで申し訳無いがもう一つ命じる。
「後は……そうね、兵の配置を調べるついでに城壁を見てきてくれる? 内乱でどうあの防壁を突破したのか、疑問が残るから。もしかしたら城主でさえも知らない抜け道とかがあるのかもしれない。だからその有無を確かめてくれると助かるわ。これについては内乱発生前までに分かればいいから」
「承知致しました。ランディグランジュの名を使ってでも成し遂げてみせます」
「それは心強いわ。でも、あくまでも無理はしないでね」
「お心遣い痛み入ります」
そう言って頭を小さく下げた後、イリオーデは口をもごもごとさせていた。
それに「どうかしたの?」と反応すると。
「王女殿下はこの部屋におられるのですね?」
「え?」
「私も、ルティもお傍を離れるので……少し心配で」
ああその事ね。
「この後は少し作業をしてから寝るつもりよ」
「そうですか、ならば安心です。もし何かあればすぐお呼び下さいませ」
そう言って、イリオーデはこの吹雪の中わざわざバルコニー伝いに自室へと戻って行った。間違ってもこんな時間に私の部屋に出入りする姿を見られたくないらしい。
さてそれじゃあ作業をしようと、鞄から書類を取り出して机の上に並べ作業に取り掛かった。それに少し時間を取られたが、まだアルベルトに伝えた二時までは時間がある。
ふむ……どうしたものか。既に寝る気満々で着替えていたけど、このまま別の作業にも着手しよう。
元々私は、いついかなる襲撃があろうと対応出来るよう、寝巻きらしい寝巻きを着ないタイプだった。
だってあれ動きずらいもの。そんな私が出先の泊まりで着ているのは膝にかかる大きさの、ワンピースみたいな大きいシャツ。その下には素足を隠す為のニーソックス。
基本誰の目も無いから、着替えるのを完全にサボっているだけである。
ニーソックスの上にお気に入りのズボンを履き、ヒールブーツを履いて、厚手のローブを羽織っては魔石灯片手に城内を散策する。
これの目的そのものは城内構造の把握だ。ちなみに、こんな事をしている姿を誰かに見られても『中々寝付けなくて……』と言い訳するつもりでいる。
マッピング等は見られたら流石に怪しまれるので、それはまた後でやるつもりだ。なのでここからは完全に記憶力勝負となる。
薄暗く寒い廊下を一人で歩く。
私がしなくてはならない事は今から五日以内にこの城内を具体的な構造を全て把握し、地図に起こす事。それを計画で城内に入るメンバーに共有し、少しでも計画失敗の可能性を減らす事だ。
地図を書く事自体は数年前にも一度やったし、あれから色々と勉強し知識をつけたからあの時よりもっと効率的にきちんとした、この世界のやり方での地図が書ける事だろう。
ちなみにこの事自体はイリオーデ達も知っているが、どうやら昼間にやると思われていたようだ。昼間には別にやる事があるのだから、夜にやるのは当然だよね。
人間意外と睡眠時間短くても問題無いからね!
実は私、この領主の城──ティニア城の建築様式を知っている。
何故ならハイラの授業で聞いたからだ。ハイラは本当に凄い。当時は『何でこんな事まで……?』と眉を顰めていたのだが、まさか数年後に役に立つなんて。
先見の明がありすぎるわよ、本当に。
そんなこんなでこの建築様式ならではの構造もある程度は分かるので、細かい部屋の内訳とか隠し通路等の捜索をする事がこの散策の主な目的となる。
そして最後にそれらを地図に起こすと。うむ、責任重大だ。
「ここ不自然ね。この系統の建築だと、この辺に大きな柱がある筈なんだけど……不自然に壁が広がってるわ」
暫く散策していると、明らかに不自然な場所があった。
この手の建築ならこの辺に大きな柱がある筈なのだが、何故かここには無い。少なくとも、ここまでは等間隔にあった柱がここには無いのだ。
そういうものなのだと言われてしまえばそれまでなんだけど、気になる。非っ常~~~に気になる。
「セオリー通りなら、こういう所には隠し通路とか秘密の部屋があるんだけど」
独り言を呟きながら目の前の壁をまさぐってみると、
「あっ」
ガコン! と音を立てて壁が動く。押し扉となって、中の隠し通路への道が開かれた。
マジかよ。ほんとにあるじゃん、隠し通路。
えーどうしようー……と悩むも、この壁、どう考えても中からしか閉じられないのでは? と気づいて軽く絶望する。
このままにしておいたら明日の朝確実に大騒ぎになるわよね。好奇心は猫をも殺すと言うけれど、まさか大公領到着当日の夜に隠し通路を発見して、探索せざるを得なくなるなんて。
「まぁ……なるようになれ、よね」
私は案外、あっさりと覚悟を決めた。何事も為せば成るし、なるようになるのだ。
何よりオセロマイト王国の地下大洞窟に単身乗り込んだ経験からすると、多分この隠し通路は大丈夫だ。少なくともあの大洞窟よりかは幾分もマシだ。
一度深くため息をついて、隠し通路へと足を踏み入れた。
内側から扉を押して、壁を元通りにしてから隠し通路を進む。当然だが人の気配など欠片もなく、寒い風に晒され肌寒さを覚える。
隠し通路は序盤から下りの階段になっていて、魔石灯の揺れる音と足音が狭い空間の中に響く。
階段を下れば下る程、肌寒さは加速する。もしかしたらここは、外に繋がっている隠し通路なのかもしれない。
もし本当に外に繋がっていたらどうしましょう。今の私、どう考えても吹雪の中で活動出来るような格好ではないのだけど。
かと言ってもう後戻りはできないし。前門の虎後門の狼とはこの事を言うのね。
どうやらフォーロイト家が大した護衛もつけずに大公領に来る事は別に珍しい事ではないようで(私の場合は王女だから、あんなにも口うるさく言われたのだろう)、私の連れが二人だけな事にもテンディジェル家の方々は理解を示してくれた。
というか、あの真剣勝負を見てもう、こりゃ確かに三人だけで大丈夫だな! と思ってくれたらしいのだ。何かやってる事が旅に出る前と同じ気もするんだけど……やはり力が全てを解決するのね。
現大公や、セレアード氏の奥さん──つまり、此度の内乱の原因の一つでありレオナードの母親である人とも挨拶した。
本当にいい人そうだった。セレアード氏も奥さんを心から愛しているようだったし…………彼等二人を取り巻く環境が少しでも違えば、きっとこれからも末永く幸せに暮らせるんだろうな。そう、思ってしまった。
だがゲームではそれが叶わず、内乱が発生した。彼等がどれだけ愛し合っていても。この地は、人々はそれを許せなかったんだ。
本当にやるせないったらありゃしない。
だからこそ私達でこれから起こる最悪の結末を食い止め、彼女等に幸せを届けるんだ。
「……──ルティ、イリオーデ。疲れてるだろうけどここからが本番よ」
月と夜空は暗雲に覆われ、外は吹雪に見舞われる。
暖炉の火が弾ける音が心地よい、静かな夜の部屋にて。
イリオーデとアルベルトを呼び出して計画始動の合図を告げる。これから二人にも、勿論私にもやる事があるのだ。
わざわざ着替えて呼び出しに応じてくれたアルベルトに、まずは指示を出す。
「ルティは打ち合わせ通り、例の地点でスコーピオンと合流して情報を共有してきて。スコーピオンの顔は割れてるわよね?」
「は、頭目のヘブン含め百名近い構成員全ての顔と名は頭に入っております」
「よし。それじゃあ今から頼むわ。合言葉は『鏡よ鏡、世界で一番悪辣なのは誰?』よ」
ちなみにこの合言葉はカイル発案だ。この後にヘブン側の『それはお前だよ』みたいな言葉が続く予定の、謎の合言葉。
「委細承知。帰還と報告は何時頃を目安にすればよろしいでしょうか?」
「そうね……私も作業があるから今日は遅くまで起きておくつもりだし、二時頃までには戻って来てちょうだい」
「畏まりました」
深く背を曲げて、いつもの執事服に身を包むアルベルトはどぷんっと影の中に飛び込んで消えた。
さて次は、とイリオーデの方を向き彼にも指示を出す。
「イリオーデは今から城内を偵察してきてちょうだい。各時間帯における兵の配置とかを、夜間勤務の兵士からそれとなく聞いて割り出してほしいの。多分、私が気にしているとか言えば怪しまれずに聞き出せると思うし……原因を追及されても、はぐらかせると思うわ。もしもの時は差し入れと偽って泥酔させてやればいいわ」
これはランディグランジュの名を持つイリオーデの方が怪しまれないと踏んだので、彼に頼む事としたのだ。
こくりと頷いてまず一つ目の命令を理解した彼に、立て続けで申し訳無いがもう一つ命じる。
「後は……そうね、兵の配置を調べるついでに城壁を見てきてくれる? 内乱でどうあの防壁を突破したのか、疑問が残るから。もしかしたら城主でさえも知らない抜け道とかがあるのかもしれない。だからその有無を確かめてくれると助かるわ。これについては内乱発生前までに分かればいいから」
「承知致しました。ランディグランジュの名を使ってでも成し遂げてみせます」
「それは心強いわ。でも、あくまでも無理はしないでね」
「お心遣い痛み入ります」
そう言って頭を小さく下げた後、イリオーデは口をもごもごとさせていた。
それに「どうかしたの?」と反応すると。
「王女殿下はこの部屋におられるのですね?」
「え?」
「私も、ルティもお傍を離れるので……少し心配で」
ああその事ね。
「この後は少し作業をしてから寝るつもりよ」
「そうですか、ならば安心です。もし何かあればすぐお呼び下さいませ」
そう言って、イリオーデはこの吹雪の中わざわざバルコニー伝いに自室へと戻って行った。間違ってもこんな時間に私の部屋に出入りする姿を見られたくないらしい。
さてそれじゃあ作業をしようと、鞄から書類を取り出して机の上に並べ作業に取り掛かった。それに少し時間を取られたが、まだアルベルトに伝えた二時までは時間がある。
ふむ……どうしたものか。既に寝る気満々で着替えていたけど、このまま別の作業にも着手しよう。
元々私は、いついかなる襲撃があろうと対応出来るよう、寝巻きらしい寝巻きを着ないタイプだった。
だってあれ動きずらいもの。そんな私が出先の泊まりで着ているのは膝にかかる大きさの、ワンピースみたいな大きいシャツ。その下には素足を隠す為のニーソックス。
基本誰の目も無いから、着替えるのを完全にサボっているだけである。
ニーソックスの上にお気に入りのズボンを履き、ヒールブーツを履いて、厚手のローブを羽織っては魔石灯片手に城内を散策する。
これの目的そのものは城内構造の把握だ。ちなみに、こんな事をしている姿を誰かに見られても『中々寝付けなくて……』と言い訳するつもりでいる。
マッピング等は見られたら流石に怪しまれるので、それはまた後でやるつもりだ。なのでここからは完全に記憶力勝負となる。
薄暗く寒い廊下を一人で歩く。
私がしなくてはならない事は今から五日以内にこの城内を具体的な構造を全て把握し、地図に起こす事。それを計画で城内に入るメンバーに共有し、少しでも計画失敗の可能性を減らす事だ。
地図を書く事自体は数年前にも一度やったし、あれから色々と勉強し知識をつけたからあの時よりもっと効率的にきちんとした、この世界のやり方での地図が書ける事だろう。
ちなみにこの事自体はイリオーデ達も知っているが、どうやら昼間にやると思われていたようだ。昼間には別にやる事があるのだから、夜にやるのは当然だよね。
人間意外と睡眠時間短くても問題無いからね!
実は私、この領主の城──ティニア城の建築様式を知っている。
何故ならハイラの授業で聞いたからだ。ハイラは本当に凄い。当時は『何でこんな事まで……?』と眉を顰めていたのだが、まさか数年後に役に立つなんて。
先見の明がありすぎるわよ、本当に。
そんなこんなでこの建築様式ならではの構造もある程度は分かるので、細かい部屋の内訳とか隠し通路等の捜索をする事がこの散策の主な目的となる。
そして最後にそれらを地図に起こすと。うむ、責任重大だ。
「ここ不自然ね。この系統の建築だと、この辺に大きな柱がある筈なんだけど……不自然に壁が広がってるわ」
暫く散策していると、明らかに不自然な場所があった。
この手の建築ならこの辺に大きな柱がある筈なのだが、何故かここには無い。少なくとも、ここまでは等間隔にあった柱がここには無いのだ。
そういうものなのだと言われてしまえばそれまでなんだけど、気になる。非っ常~~~に気になる。
「セオリー通りなら、こういう所には隠し通路とか秘密の部屋があるんだけど」
独り言を呟きながら目の前の壁をまさぐってみると、
「あっ」
ガコン! と音を立てて壁が動く。押し扉となって、中の隠し通路への道が開かれた。
マジかよ。ほんとにあるじゃん、隠し通路。
えーどうしようー……と悩むも、この壁、どう考えても中からしか閉じられないのでは? と気づいて軽く絶望する。
このままにしておいたら明日の朝確実に大騒ぎになるわよね。好奇心は猫をも殺すと言うけれど、まさか大公領到着当日の夜に隠し通路を発見して、探索せざるを得なくなるなんて。
「まぁ……なるようになれ、よね」
私は案外、あっさりと覚悟を決めた。何事も為せば成るし、なるようになるのだ。
何よりオセロマイト王国の地下大洞窟に単身乗り込んだ経験からすると、多分この隠し通路は大丈夫だ。少なくともあの大洞窟よりかは幾分もマシだ。
一度深くため息をついて、隠し通路へと足を踏み入れた。
内側から扉を押して、壁を元通りにしてから隠し通路を進む。当然だが人の気配など欠片もなく、寒い風に晒され肌寒さを覚える。
隠し通路は序盤から下りの階段になっていて、魔石灯の揺れる音と足音が狭い空間の中に響く。
階段を下れば下る程、肌寒さは加速する。もしかしたらここは、外に繋がっている隠し通路なのかもしれない。
もし本当に外に繋がっていたらどうしましょう。今の私、どう考えても吹雪の中で活動出来るような格好ではないのだけど。
かと言ってもう後戻りはできないし。前門の虎後門の狼とはこの事を言うのね。
15
お気に入りに追加
620
あなたにおすすめの小説
破滅回避の契約結婚だったはずなのに、お義兄様が笑顔で退路を塞いでくる!~意地悪お義兄様はときどき激甘~
狭山ひびき@バカふり160万部突破
恋愛
☆おしらせ☆
8/25の週から更新頻度を変更し、週に2回程度の更新ペースになります。どうぞよろしくお願いいたします。
☆あらすじ☆
わたし、マリア・アラトルソワは、乙女ゲーム「ブルーメ」の中の悪役令嬢である。
十七歳の春。
前世の記憶を思い出し、その事実に気が付いたわたしは焦った。
乙女ゲームの悪役令嬢マリアは、すべての攻略対象のルートにおいて、ヒロインの恋路を邪魔する役割として登場する。
わたしの活躍(?)によって、ヒロインと攻略対象は愛を深め合うのだ。
そんな陰の立役者(?)であるわたしは、どの攻略対象ルートでも悲しいほどあっけなく断罪されて、国外追放されたり修道院送りにされたりする。一番ひどいのはこの国の第一王子ルートで、刺客を使ってヒロインを殺そうとしたわたしを、第一王子が正当防衛とばかりに斬り殺すというものだ。
ピンチだわ。人生どころか前世の人生も含めた中での最大のピンチ‼
このままではまずいと、わたしはあまり賢くない頭をフル回転させて考えた。
まだゲームははじまっていない。ゲームのはじまりは来年の春だ。つまり一年あるが…はっきり言おう、去年の一年間で、もうすでにいろいろやらかしていた。このままでは悪役令嬢まっしぐらだ。
うぐぐぐぐ……。
この状況を打破するためには、どうすればいいのか。
一生懸命考えたわたしは、そこでピコンと名案ならぬ迷案を思いついた。
悪役令嬢は、当て馬である。
ヒロインの恋のライバルだ。
では、物理的にヒロインのライバルになり得ない立場になっておけば、わたしは晴れて当て馬的な役割からは解放され、悪役令嬢にはならないのではあるまいか!
そしておバカなわたしは、ここで一つ、大きな間違いを犯す。
「おほほほほほほ~」と高笑いをしながらわたしが向かった先は、お兄様の部屋。
お兄様は、実はわたしの従兄で、本当の兄ではない。
そこに目を付けたわたしは、何も考えずにこう宣った。
「お兄様、わたしと(契約)結婚してくださいませ‼」
このときわたしは、失念していたのだ。
そう、お兄様が、この上なく厄介で意地悪で、それでいて粘着質な男だったと言うことを‼
そして、わたしを嫌っていたはずの攻略対象たちの様子も、なにやら変わってきてーー
※タイトル変更しました
転生幼女は幸せを得る。
泡沫 ウィルベル
ファンタジー
私は死んだはずだった。だけど何故か赤ちゃんに!?
今度こそ、幸せになろうと誓ったはずなのに、求められてたのは魔法の素質がある跡取りの男の子だった。私は4歳で家を出され、森に捨てられた!?幸せなんてきっと無いんだ。そんな私に幸せをくれたのは王太子だった−−
ヤンデレお兄様に殺されたくないので、ブラコンやめます!(長編版)
夕立悠理
恋愛
──だって、好きでいてもしかたないもの。
ヴァイオレットは、思い出した。ここは、ロマンス小説の世界で、ヴァイオレットは義兄の恋人をいじめたあげくにヤンデレな義兄に殺される悪役令嬢だと。
って、むりむりむり。死ぬとかむりですから!
せっかく転生したんだし、魔法とか気ままに楽しみたいよね。ということで、ずっと好きだった恋心は封印し、ブラコンをやめることに。
新たな恋のお相手は、公爵令嬢なんだし、王子様とかどうかなー!?なんてうきうきわくわくしていると。
なんだかお兄様の様子がおかしい……?
※小説になろうさまでも掲載しています
※以前連載していたやつの長編版です
異世界でお取り寄せ生活
マーチ・メイ
ファンタジー
異世界の魔力不足を補うため、年に数人が魔法を貰い渡り人として渡っていく、そんな世界である日、日本で普通に働いていた橋沼桜が選ばれた。
突然のことに驚く桜だったが、魔法を貰えると知りすぐさま快諾。
貰った魔法は、昔食べて美味しかったチョコレートをまた食べたいがためのお取り寄せ魔法。
意気揚々と異世界へ旅立ち、そして桜の異世界生活が始まる。
貰った魔法を満喫しつつ、異世界で知り合った人達と緩く、のんびりと異世界生活を楽しんでいたら、取り寄せ魔法でとんでもないことが起こり……!?
そんな感じの話です。
のんびり緩い話が好きな人向け、恋愛要素は皆無です。
※小説家になろう、カクヨムでも同時掲載しております。
弱すぎると勇者パーティーを追放されたハズなんですが……なんで追いかけてきてんだよ勇者ァ!
灯璃
BL
「あなたは弱すぎる! お荷物なのよ! よって、一刻も早くこのパーティーを抜けてちょうだい!」
そう言われ、勇者パーティーから追放された冒険者のメルク。
リーダーの勇者アレスが戻る前に、元仲間たちに追い立てられるようにパーティーを抜けた。
だが数日後、何故か勇者がメルクを探しているという噂を酒場で聞く、が、既に故郷に帰ってスローライフを送ろうとしていたメルクは、絶対に見つからないと決意した。
みたいな追放ものの皮を被った、頭おかしい執着攻めもの。
追いかけてくるまで説明ハイリマァス
※完結致しました!お読みいただきありがとうございました!
処刑された人質王女は、自分を殺した国に転生して家族に溺愛される
葵 すみれ
恋愛
人質として嫁がされ、故国が裏切ったことによって処刑された王女ニーナ。
彼女は転生して、今は国王となった、かつての婚約者コーネリアスの娘ロゼッタとなる。
ところが、ロゼッタは側妃の娘で、母は父に相手にされていない。
父の気を引くこともできない役立たずと、ロゼッタは実の母に虐待されている。
あるとき、母から解放されるものの、前世で冷たかったコーネリアスが父なのだ。
この先もずっと自分は愛されないのだと絶望するロゼッタだったが、何故か父も腹違いの兄も溺愛してくる。
さらには正妃からも可愛がられ、やがて前世の真実を知ることになる。
そしてロゼッタは、自分が家族の架け橋となることを決意して──。
愛を求めた少女が愛を得て、やがて愛することを知る物語。
※小説家になろうにも掲載しています
義母に毒を盛られて前世の記憶を取り戻し覚醒しました、貴男は義妹と仲良くすればいいわ。
克全
ファンタジー
「カクヨム」と「小説家になろう」にも投稿しています。
11月9日「カクヨム」恋愛日間ランキング15位
11月11日「カクヨム」恋愛週間ランキング22位
11月11日「カクヨム」恋愛月間ランキング71位
11月4日「小説家になろう」恋愛異世界転生/転移恋愛日間78位
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる