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1章
じゅーご。
しおりを挟むお姉様からお手紙が来た。
お父様が危篤だから帰ってきて欲しいと書かれていた。
筆跡が荒いから本当にまずい状態なんだろうな。
あんなに呪いをつけてたら体調を崩すのも当然だと思う。
だけどお父様はそれを知ってたしあえてその状態にしていたようだから、私たちがすることはないんじゃないかな。
お姉様は知らないのかな?
私は返信用封筒を手に取って返事を書いた。
『存じ上げています』
うん。これだけでいいかな。
急いでるようだからとりあえずこれだけ送ろう。
お姉様はお父様と話していないみたい。
お父様があえてその状態にしてること知らないのかも。
ちゃんと話し合ってくれたらいいんだけど。
そういえばお父様に憑いてた件という妖怪は、疫病とか災害が起こる前触れに現れると言われている。
皇太子殿下もカレンさんが憑いてるし、長くは持たないかも。
そうなったら王族は誰もいなくなる。
そしたら誰が国を引き継ぐんだろう。
件はそれを予知していたのかもしれない。
国は混乱に陥るだろうから。
あと、お父様の死霊の悪い気に引きずられたっていうのもあるのかな。
お父様、何であのままにしてるんだろう。
少し気になった。
お姉様から返信が来た。
手紙には罵詈雑言が書かれていた。
「この人殺し!」って書いてあったから、多分お姉様はお父様に呪いをかけたひとに送ろうとして間違って私に送ってしまったんだろう。
この手紙、なかったら困るだろうな。
戻してあげよう。
私は新しい封筒を用意して中にお姉様の手紙を入れた。
私からの手紙はないけど、中身を見たら間違えて私に送ってしまったってきっと気付いてくれるよね。
お姉様ったらうっかり屋さんだ。
一章 完
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