上 下
2 / 34
1章

に。

しおりを挟む
隣国につくと、すぐに部屋に通された。
やったー!自由だ!
面倒なお祓いごともしなくていいのね!
嬉しくなってベッドに腰かけるとすぐ皇帝がやってきた。なぜか狐の面を被っていた。少し変わった趣味なのかもしれない。髪は白金。背は高い。彼と戦闘になったら顔を殴るより脛を蹴った方が効くかもしれない。

「妙なことは考えるな。怪しい真似をしたらすぐに首をはねる」

つまり何もしなくていいということ!?
なにが怪しいと判定されるか分からないから、動こうにも何も出来ないものね。面倒な王妃業務も免れるらしい。何もしないでダラダラしていいなんてなんて最高なの。
私はお礼の意志を伝えるために彼にとっておきを教えた。

「かしこまりました。…………ところで陛下、陛下はとても猫に思われていたのですね。肩にいらっしゃいますわ」

その言葉にぴしりと陛下は固まった。
陛下の肩には白い猫又が一匹。猫又は寿命を全うし、飼い主に恩を返すために修行を積んでなった姿と言われている。皇帝はこの猫にとても愛されているのだ。きっといいひとなのだろう。

「な、ね、猫だと?」

「はい。白猫で…………首にサファイアのついたリボンを結んでいます。ずっと陛下のことを見ていますわ」

「そ、そんな…………何がいけなかったんだ…………?ブラッシングのしすぎで毛が薄くなってしまったことを根に持ってるのか?だけどブラッシングしないとお前は長毛種だからすぐに毛玉になって吐いてしまうと………」

何やらブツブツ言い出した。ちょっと怖い。
しかしブラッシングのしすぎで毛が薄くなってしまったのか。手巾を被った白猫を見ると毛がフサフサしていた。良かった。薄くないわね。

「僕は帰る………」

陛下は来た時に比べてすごく意気消沈としていた。もうそろそろ雨が降りそうだから、気圧にやられたのかしら。かわいそうに。


しおりを挟む
感想 67

あなたにおすすめの小説

くだらない毎日に終止符を

ごろごろみかん。
恋愛
公爵令嬢フランチェスカ・ヴィヴィアナは既に何回目かの婚約破棄騒動に挑んでいた。この流れは既に知っているものである。なぜなら、フランチェスカは何度も婚約破棄を繰り返しているからである。フランチェスカから婚約破棄しても、王太子であるユーリスから婚約破棄をされてもこのループは止まらない。 そんな中、フランチェスカが選んだのは『婚約を継続する』というものであった。 ループから抜け出したフランチェスは代わり映えのない婚姻生活を送る。そんな中、ある日フランチェスカは拾い物をする。それは、路地裏で倒れていた金髪の少年でーーー

公爵令嬢は婚約破棄を希望する

ごろごろみかん。
恋愛
転生したのはスマホアプリの悪役令嬢! 絶対絶対断罪なんてされたくありません! なのでこの婚約、破棄させていただき…………………できない!なんで出来ないの!もしかして私を断罪したいのかしら!? 婚約破棄したい令嬢と破棄したくない王太子のじゃれつきストーリー。

婚約破棄された王女が全力で喜びましたが、何か問題でも?

yukiya
恋愛
 ファントム王国の第一王子、アスロンから、夜会で婚約破棄を叫ばれたエルステーネ(隣国であるミリガン王国の第二王女)だが。 「それ、ほんとうですか!?」  喜ぶエルステーネにアスロンが慌てて問いかける。 「え、何故喜んでいるか?そりゃ、馬鹿なこの国の馬鹿な王子に婚約破棄されたら嬉しいでしょ」

王子様の呪い

ごろごろみかん。
恋愛
「お前との婚約を破棄する!!リーゼロッテ!!」 突如告げられたのは婚約破棄を告げる言葉だった。しかしリーゼロッテは動じず、むしろこの状況を喜ばしく思っていた。なぜなら彼女には、やりたいことがあったから。 *ざまぁから始まるあっさり恋愛小説です。短くおわる

最後に報われるのは誰でしょう?

ごろごろみかん。
恋愛
散々婚約者に罵倒され侮辱されてきたリリアは、いい加減我慢の限界を迎える。 「もう限界だ、きみとは婚約破棄をさせてもらう!」と婚約者に突きつけられたリリアはそれを聞いてラッキーだと思った。 限界なのはリリアの方だったからだ。 なので彼女は、ある提案をする。 「婚約者を取り替えっこしませんか?」と。 リリアの婚約者、ホシュアは婚約者のいる令嬢に手を出していたのだ。その令嬢とリリア、ホシュアと令嬢の婚約者を取り替えようとリリアは提案する。 「別にどちらでも私は構わないのです。どちらにせよ、私は痛くも痒くもないですから」 リリアには考えがある。どっちに転ぼうが、リリアにはどうだっていいのだ。 だけど、提案したリリアにこれからどう物事が進むか理解していないホシュアは一も二もなく頷く。 そうして婚約者を取り替えてからしばらくして、辺境の街で聖女が現れたと報告が入った。

いつまでも変わらない愛情を与えてもらえるのだと思っていた

奏千歌
恋愛
 [ディエム家の双子姉妹]  どうして、こんな事になってしまったのか。  妻から向けられる愛情を、どうして疎ましいと思ってしまっていたのか。

【完結】恋人との子を我が家の跡取りにする? 冗談も大概にして下さいませ

水月 潮
恋愛
侯爵家令嬢アイリーン・エヴァンスは遠縁の伯爵家令息のシリル・マイソンと婚約している。 ある日、シリルの恋人と名乗る女性・エイダ・バーク男爵家令嬢がエヴァンス侯爵邸を訪れた。 なんでも彼の子供が出来たから、シリルと別れてくれとのこと。 アイリーンはそれを承諾し、二人を追い返そうとするが、シリルとエイダはこの子を侯爵家の跡取りにして、アイリーンは侯爵家から出て行けというとんでもないことを主張する。 ※設定は緩いので物語としてお楽しみ頂けたらと思います ☆HOTランキング20位(2021.6.21) 感謝です*.* HOTランキング5位(2021.6.22)

<完結> 知らないことはお伝え出来ません

五十嵐
恋愛
主人公エミーリアの婚約破棄にまつわるあれこれ。

処理中です...