9 / 9
私の勝ちです
しおりを挟む
私は、ライティングテーブルの引き出しに締まっていたものを取り出した。
ほんとうに、彼が来る前に先に回収していて良かった。そのことに心底安堵する。
書類は、二枚。
そのうちの一枚が離縁証明書で、もう一枚は。
「な、何を言ってるんだ?本気か」
先程、私が彼に問いかけた言葉だ。
もちろん、安易な気持ちからではない。脅しのつもりでもない。私は本気だ。
テーブルに二枚の紙を置いた。
ほんとうは、今のような寝る間際ではなく。昼間にでも時間を取ってもらい話す予定だった。
(ジェラルド様がこんな時間に訪ねてきたのは想定外だったけど。何事も計画が上手くいくことの方が少ないものね。早く話が出来て幸運だったと思うことにしましょう)
「これは、ルーゼン家の権利証明書です。よく記載事項をご確認ください」
「ルーゼンの……権利証明書、だと?」
「そこに、あなたが今まで増やした負債額が記載されてあります。私と離縁し、フェリアの支援がなければ早々にルーゼンは立ち行かなくなるでしょう」
「だ、だからなんだ!?僕はこんなの、承諾しないぞ!!」
妻に、離縁を切り出される。
プライドの高いジェラルド様は、納得しないだろうな、とも分かっていた。
なので。
「そうですか。では私は、ジェラルド様が承諾するまで実家に帰ります」
予め予想していた展開なだけに、用意してあった台詞とももに私は腰を上げた。ジェラルド様が焦った声を出す。
「は……!?」
「その間、フェリア家からの金銭援助はありませんので、後はよろしくお願いしますね」
「ま、待て……!なんだ、いきなり!?突然すぎるだろ。や、やっぱりあれだ。あれだろう!お前は嫉妬してるんだ!だから、僕の気をこうやって引こうと──」
と、旦那様が世迷いごとを仰るので。
私は、旦那様がのお顔を殴っていた。拳で。
ゴッ!と鈍い音がする。ジェラルド様は、ソファから落ち、そのまま壁際に転がっていった。思ったより力が入ってしまった。積年の恨みが重なったのかもしれない。
拳を握ったままそんなことを考えていると、ジェラルド様がよろよろと立ち上がった。お早い回復で、何よりだ。
「は、はにふるんだ……!」
「お話しても理解ていただけないようでしたので……」
実際、何度話してもまったく理解してもらえなかったし。暴力がいちばん手っ取り早かった。
今まで何度となく殴ってやろうかと思ったが、その度に堪えてきたのだ。我慢した方だと思う。
「私は、あなたを愛していません。何度、同じことを言わせるのですか」
私の言葉に、ジェラルド様は顔を赤く染めあげた。
「こ、このクソ暴力女……!!いいだろう!今すぐ婚約でも婚姻でも解消してやる!!お前みたいな攻撃的で恐ろしいバカ女!こっちから願い下げだ!!消え失せろ!!」
ジェラルド様の頬は、みるみるうちに腫れ上がってしまった。訓練時にもよく言われることだが、私の殴り方はかなり攻撃的らしい。
無意識なのだが、骨の当たり具合や角度。そういったものを調整し、いかに弱い力で強い攻撃を与えるか、を考え抜かれた殴り方なのだそう。
私は、握っていた拳を解いて手を下ろす。ジェラルド様は荒い息を吐き、ぎらぎらと私を睨みつけていた。
私は、彼の様子を注意深く見ながらもテーブルの上の書類を指さした。
「サインをお願いします」
「……いいだろう!!」
怒り心頭、完全に頭に血が上っている様子の彼はドスドスと歩き、座りもしないまま羽根ペンを手に取った。そうとう頭に来ているようだ。
そして彼はさっと素早く書類に視線を走らせて、また叫ぶ。
「どういうことだ!?ルーゼンの権利を全部お前が持っていく、だと!?」
「よくお読みください。私がルーゼン伯爵家の権利を所有するのと同時に、あなたの拵えた借金もすべて請け負う、と書いてあるはずです」
「ふざっ……ふざけるな!!こんなの、呑めるはずがないだろう!!」
ジェラルド様は怒りのあまり書類をテーブルから叩き落とした。彼は怒りのあまり、正気を失っているように見えた。
だけど今から、また場を改めて、などめんどうなことをする気もなかった。
この場で、話をつける。
その思いで、私はさらにジェラルド様に尋ねた。
「では、記入するのは離縁証明書一枚だけで結構です。その場合、今後フェリアからの支援はありませんが──どちらが良いかは、ジェラルド様がお考えになられればよろしいかと」
「つまり……お前は、僕をばかにして笑っていると。そういうことだな!?たかが成り上がり者の汚い金の亡者が!由緒正しい、格式高い貴族の生まれである僕をばかにしていると!!そういうことなんだな!?」
「今そう言うお話はしておりません。私が提示した選択肢はふたつ。ひとつは、私と離縁し、旦那様だけでこの家を建て直されるか。あるいは──」
と、言ったところで。
実家から届いたばかりの剣が、彼の目に入ったようだった。すっかり激昂している彼は、私の話など耳に入らないようだ。
彼は、ツカツカと大股で歩き、剣を手に取ると勝ち誇った笑みを浮かべた。もう、彼の中では私の話よりも、私をどうにか負かしたいか、と思う感情の方が強いのだろう。
──激しやすく、ひとの話を聞かない。
こういう手合いはやはり、ぶちのめして血の気を抜く以外はないのだろう。実家の私兵団にも、そういった人間は多数いたので、よくわかる。私は、静かにジェラルド様を見つめた。
「ジェラルド様。私は、今、お話をしているのですが」
「先に手を出してきたのはお前だ。せいぜい後悔するといい」
(話が通じない……)
ひとまず、とりあえずは。
ジェラルド様を叩きのめしてかでないと、これ以上の話は難しいようだった。
ジェラルド様が、勢いよく足を踏み込んでくる、が。鍛え慣れていない彼はまず姿勢が悪い。彼の突撃を横にずれて躱した私は、そのまま彼の鳩尾を狙い、蹴り飛ばした。
彼と結婚してから、訓練に参加出来ていないのですこし心配だったが、慣れた動きだ。体は、自然に動いた。
つま先が彼の鳩尾に入り、ジェラルド様の体がくの字に曲がる。
どうも、勢いよく蹴り飛ばしてしまったようで、彼はそのまま壁にぶつかった。ジェラルド様の手から、剣が落ちる。私はそれを拾い上げると、彼が放り投げた鞘を回収し、それにしまった。
そのまま、鞘に収まった剣先を彼の腹に乗せる。
「……私の勝ちですね」
「くそ……!くそ、クソ女がァ……!!」
ジェラルド様はよっぽど悔しいのだろう。文字通り憤死してしまいかねない様子だった。
ほんとうに、彼が来る前に先に回収していて良かった。そのことに心底安堵する。
書類は、二枚。
そのうちの一枚が離縁証明書で、もう一枚は。
「な、何を言ってるんだ?本気か」
先程、私が彼に問いかけた言葉だ。
もちろん、安易な気持ちからではない。脅しのつもりでもない。私は本気だ。
テーブルに二枚の紙を置いた。
ほんとうは、今のような寝る間際ではなく。昼間にでも時間を取ってもらい話す予定だった。
(ジェラルド様がこんな時間に訪ねてきたのは想定外だったけど。何事も計画が上手くいくことの方が少ないものね。早く話が出来て幸運だったと思うことにしましょう)
「これは、ルーゼン家の権利証明書です。よく記載事項をご確認ください」
「ルーゼンの……権利証明書、だと?」
「そこに、あなたが今まで増やした負債額が記載されてあります。私と離縁し、フェリアの支援がなければ早々にルーゼンは立ち行かなくなるでしょう」
「だ、だからなんだ!?僕はこんなの、承諾しないぞ!!」
妻に、離縁を切り出される。
プライドの高いジェラルド様は、納得しないだろうな、とも分かっていた。
なので。
「そうですか。では私は、ジェラルド様が承諾するまで実家に帰ります」
予め予想していた展開なだけに、用意してあった台詞とももに私は腰を上げた。ジェラルド様が焦った声を出す。
「は……!?」
「その間、フェリア家からの金銭援助はありませんので、後はよろしくお願いしますね」
「ま、待て……!なんだ、いきなり!?突然すぎるだろ。や、やっぱりあれだ。あれだろう!お前は嫉妬してるんだ!だから、僕の気をこうやって引こうと──」
と、旦那様が世迷いごとを仰るので。
私は、旦那様がのお顔を殴っていた。拳で。
ゴッ!と鈍い音がする。ジェラルド様は、ソファから落ち、そのまま壁際に転がっていった。思ったより力が入ってしまった。積年の恨みが重なったのかもしれない。
拳を握ったままそんなことを考えていると、ジェラルド様がよろよろと立ち上がった。お早い回復で、何よりだ。
「は、はにふるんだ……!」
「お話しても理解ていただけないようでしたので……」
実際、何度話してもまったく理解してもらえなかったし。暴力がいちばん手っ取り早かった。
今まで何度となく殴ってやろうかと思ったが、その度に堪えてきたのだ。我慢した方だと思う。
「私は、あなたを愛していません。何度、同じことを言わせるのですか」
私の言葉に、ジェラルド様は顔を赤く染めあげた。
「こ、このクソ暴力女……!!いいだろう!今すぐ婚約でも婚姻でも解消してやる!!お前みたいな攻撃的で恐ろしいバカ女!こっちから願い下げだ!!消え失せろ!!」
ジェラルド様の頬は、みるみるうちに腫れ上がってしまった。訓練時にもよく言われることだが、私の殴り方はかなり攻撃的らしい。
無意識なのだが、骨の当たり具合や角度。そういったものを調整し、いかに弱い力で強い攻撃を与えるか、を考え抜かれた殴り方なのだそう。
私は、握っていた拳を解いて手を下ろす。ジェラルド様は荒い息を吐き、ぎらぎらと私を睨みつけていた。
私は、彼の様子を注意深く見ながらもテーブルの上の書類を指さした。
「サインをお願いします」
「……いいだろう!!」
怒り心頭、完全に頭に血が上っている様子の彼はドスドスと歩き、座りもしないまま羽根ペンを手に取った。そうとう頭に来ているようだ。
そして彼はさっと素早く書類に視線を走らせて、また叫ぶ。
「どういうことだ!?ルーゼンの権利を全部お前が持っていく、だと!?」
「よくお読みください。私がルーゼン伯爵家の権利を所有するのと同時に、あなたの拵えた借金もすべて請け負う、と書いてあるはずです」
「ふざっ……ふざけるな!!こんなの、呑めるはずがないだろう!!」
ジェラルド様は怒りのあまり書類をテーブルから叩き落とした。彼は怒りのあまり、正気を失っているように見えた。
だけど今から、また場を改めて、などめんどうなことをする気もなかった。
この場で、話をつける。
その思いで、私はさらにジェラルド様に尋ねた。
「では、記入するのは離縁証明書一枚だけで結構です。その場合、今後フェリアからの支援はありませんが──どちらが良いかは、ジェラルド様がお考えになられればよろしいかと」
「つまり……お前は、僕をばかにして笑っていると。そういうことだな!?たかが成り上がり者の汚い金の亡者が!由緒正しい、格式高い貴族の生まれである僕をばかにしていると!!そういうことなんだな!?」
「今そう言うお話はしておりません。私が提示した選択肢はふたつ。ひとつは、私と離縁し、旦那様だけでこの家を建て直されるか。あるいは──」
と、言ったところで。
実家から届いたばかりの剣が、彼の目に入ったようだった。すっかり激昂している彼は、私の話など耳に入らないようだ。
彼は、ツカツカと大股で歩き、剣を手に取ると勝ち誇った笑みを浮かべた。もう、彼の中では私の話よりも、私をどうにか負かしたいか、と思う感情の方が強いのだろう。
──激しやすく、ひとの話を聞かない。
こういう手合いはやはり、ぶちのめして血の気を抜く以外はないのだろう。実家の私兵団にも、そういった人間は多数いたので、よくわかる。私は、静かにジェラルド様を見つめた。
「ジェラルド様。私は、今、お話をしているのですが」
「先に手を出してきたのはお前だ。せいぜい後悔するといい」
(話が通じない……)
ひとまず、とりあえずは。
ジェラルド様を叩きのめしてかでないと、これ以上の話は難しいようだった。
ジェラルド様が、勢いよく足を踏み込んでくる、が。鍛え慣れていない彼はまず姿勢が悪い。彼の突撃を横にずれて躱した私は、そのまま彼の鳩尾を狙い、蹴り飛ばした。
彼と結婚してから、訓練に参加出来ていないのですこし心配だったが、慣れた動きだ。体は、自然に動いた。
つま先が彼の鳩尾に入り、ジェラルド様の体がくの字に曲がる。
どうも、勢いよく蹴り飛ばしてしまったようで、彼はそのまま壁にぶつかった。ジェラルド様の手から、剣が落ちる。私はそれを拾い上げると、彼が放り投げた鞘を回収し、それにしまった。
そのまま、鞘に収まった剣先を彼の腹に乗せる。
「……私の勝ちですね」
「くそ……!くそ、クソ女がァ……!!」
ジェラルド様はよっぽど悔しいのだろう。文字通り憤死してしまいかねない様子だった。
619
お気に入りに追加
970
この作品の感想を投稿する
あなたにおすすめの小説
年に一度の旦那様
五十嵐
恋愛
愛人が二人もいるノアへ嫁いだレイチェルは、領地の外れにある小さな邸に追いやられるも幸せな毎日を過ごしていた。ところが、それがそろそろ夫であるノアの思惑で潰えようとして…
しかし、ぞんざいな扱いをしてきたノアと夫婦になることを避けたいレイチェルは執事であるロイの力を借りてそれを回避しようと…
【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。
五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」
婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。
愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー?
それって最高じゃないですか。
ずっとそう思っていた私が、王子様に溺愛されるまでの物語。
この作品は
「婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。」のスピンオフ作品となっています。
どちらの作品から読んでも楽しめるようになっています。気になる方は是非上記の作品も手にとってみてください。
【完結】醜いと王太子に言われ婚約破棄された私が悪の女王になるまで
久留茶
恋愛
「お前のような醜い女は私の妃に相応しくない」
婚約披露パーティーで、婚約者であるジョルジュ王太子から罵声を浴びせられ、婚約破棄を告げられたローズマリー公爵令嬢。
密かに王太子と恋仲であった義妹であるイザベラが王太子の婚約者へと成り代わり、人生に絶望したローズマリーは部屋の窓からその身を投げる。
しかし奇跡的に一命を取り留めたローズマリーは代々一族に伝わる不思議な能力に目覚める。
世間から悪名高い令嬢と言われたローズマリーはその力を使って新たな人生をスタートさせるのであった。
*恋愛色やや薄めの復讐劇的なお話です。
*前半ヒロイン、後半は王太子目線となっております。
*全11話完結です。話数は順次掲載していきます。
*誤字脱字ありましたらご報告して頂けるととてもありがたいです(*-ω人)
→R6.6/10誤字脱字修正しました。
*小説家になろうにも掲載しています。
*沢山の方に読んで頂けたことに感謝を込めて、全11話後にエピローグを一話追加しました。その後の様子が王太子視点でもう少しだけ詳しく描かれています。良かったらお読み下さい(^-^)v
私の婚約者が、記憶を無くし他の婚約者を作りました。
霙アルカ。
恋愛
男爵令嬢のルルノアには、婚約者がいた。
ルルノアの婚約者、リヴェル・レヴェリアは第一皇子であり、2人の婚約は2人が勝手に結んだものであり、国王も王妃も2人の結婚を決して許さなかった。
リヴェルはルルノアに問うた。
「私が王でなくても、平民でも、暮らしが豊かでなくても、側にいてくれるか?」と。
ルルノアは二つ返事で、「勿論!リヴェルとなら地獄でも行くわ。」と言った。
2人は誰にもバレぬよう家をでた。が、何者かに2人は襲われた。
何とか逃げ切ったルルノアが目を覚まし、リヴェルの元に行くと、リヴェルはルルノアに向けていた優しい笑みを、違う女性にむけていた。
円満婚約破棄をしたらゆるい王妃様生活を送ることになりました
ごろごろみかん。
恋愛
死霊を祓うことのできる霊媒師・ミシェラは皇太子から婚約破棄を告げられた。だけどそれは皇太子の優しさだと知っているミシェラは彼に恩返しの手紙を送る。
そのまま新興国の王妃となったミシェラは夫となった皇帝が優しい人で安心する。しかもゆるい王妃様ライフを送ってもいいと言う。
破格の条件だとにこにこするミシェラはとてつもないポジティブ思考の持ち主だった。
勘違いものです
ゆるゆる更新で気が向いた時に更新します
公爵令嬢は婚約破棄を希望する
ごろごろみかん。
恋愛
転生したのはスマホアプリの悪役令嬢!
絶対絶対断罪なんてされたくありません!
なのでこの婚約、破棄させていただき…………………できない!なんで出来ないの!もしかして私を断罪したいのかしら!?
婚約破棄したい令嬢と破棄したくない王太子のじゃれつきストーリー。
最後に報われるのは誰でしょう?
ごろごろみかん。
恋愛
散々婚約者に罵倒され侮辱されてきたリリアは、いい加減我慢の限界を迎える。
「もう限界だ、きみとは婚約破棄をさせてもらう!」と婚約者に突きつけられたリリアはそれを聞いてラッキーだと思った。
限界なのはリリアの方だったからだ。
なので彼女は、ある提案をする。
「婚約者を取り替えっこしませんか?」と。
リリアの婚約者、ホシュアは婚約者のいる令嬢に手を出していたのだ。その令嬢とリリア、ホシュアと令嬢の婚約者を取り替えようとリリアは提案する。
「別にどちらでも私は構わないのです。どちらにせよ、私は痛くも痒くもないですから」
リリアには考えがある。どっちに転ぼうが、リリアにはどうだっていいのだ。
だけど、提案したリリアにこれからどう物事が進むか理解していないホシュアは一も二もなく頷く。
そうして婚約者を取り替えてからしばらくして、辺境の街で聖女が現れたと報告が入った。
【完結】元妃は多くを望まない
つくも茄子
恋愛
シャーロット・カールストン侯爵令嬢は、元上級妃。
このたび、めでたく(?)国王陛下の信頼厚い側近に下賜された。
花嫁は下賜された翌日に一人の侍女を伴って郵便局に赴いたのだ。理由はお世話になった人達にある書類を郵送するために。
その足で実家に出戻ったシャーロット。
実はこの下賜、王命でのものだった。
それもシャーロットを公の場で断罪したうえでの下賜。
断罪理由は「寵妃の悪質な嫌がらせ」だった。
シャーロットには全く覚えのないモノ。当然、これは冤罪。
私は、あなたたちに「誠意」を求めます。
誠意ある対応。
彼女が求めるのは微々たるもの。
果たしてその結果は如何に!?
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる