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三章
変えられた男と、変わらなかった女 ※R18
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しかし、蛮勇と称されたのであれば、やはり私の向こう見ずな行動が原因か。ひとり暴走し、周囲に迷惑をかけてしまったのだろう。
記憶は無いものの、実に自分らしいと苦々しい気持ちになった。
なので、顔を上げてミュチュスカに謝罪する。
「あの……ごめんなさい、ミュチュスカ」
「メリューエル、きみは何を謝るの?」
「分からないけど、おそらく私の行動が原因なのでしょう?」
私の言葉に、ミュチュスカは目を見開いた。
そしてまた、痛みを覚えたような。苦しげな様子で、だけど歪んだ笑みを浮かべた。
「そうだよ。だからね、メリューエル。俺は決してきみを許さない」
「自分勝手に俺を振り回したかと思えば、勝手にあんな目にあって」とミュチュスカは続けた。
あんな目、とはどういう目なのか分からないが、振り回して、ということろには納得がいく。以前の私もやはりミュチュスカに魅入られ、惹かれて彼の周囲を付きまとったのだろう。
彼の手が、私の顎にかかった。
「もう何もかも、きみのせいだ。メリューエル」
それが、はじまりの合図だった。
ふわりと触れる口付けに思わず息を詰める。
ミュチュスカは私が苦しそうにしているのを見ると何度か角度を変えて、息継ぎのタイミングを与えてくれた。彼の手は私の頭の後ろに回り、私を逃がさない。もう片方の手は、私の手首を押さえつけていた。
「んっ……んん、ん~~……!」
「ふふ、呼吸の仕方も忘れちゃった?こうしてると、思い出すな。初めてきみに触れた時のことを」
ミュチュスカの手が胸元にのびた。
丈の長い寝着はあっという間に首元までたくしあげられた。寝着なのでコルセットはつけていない。すぐに膨らみが露わになって、あまりのみだらさに目を逸らした。
「ここは、覚えているかな。きみはここを触られるのが好きだったように思うけど」
ミュチュスカの手が膨らみにそっと触れた。
私の胸は、ミュチュスカの手にすっぽりと収まるほどで、とても大きいという訳では無いが貧乳と称されるものでもないだろう。
彼は柔らかく胸を揉んだ。ただ、それだけなのになぜか肌が、背筋が、ゾクゾクとしてあまりの心地良さ──気持ちよさに、涙が滲んだ。
私はミュチュスカに触れられることを喜んでいる。この体は、彼を受け入れている。
なのに、なぜ。
なぜ、私はこんなに悲しいと思っているのだろう。涙の飛沫をまつ毛が弾くと、ミュチュスカがそれを舐めとった。まるで獣の所作だ。
「怖い?」
「……ねえ、あなた、本当に私が好きなの?私だけを……?」
怖くて、どうしても肯定して欲しくて、そう聞いていた。ただの肉欲に過ぎないと言われたら、どうしようもなく傷ついてしまいそうだとわかっているのに、尋ねてしまった。
私の言葉に、ミュチュスカは少し驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかい微笑みになった。
彼は私を想ってくれていると、それがわかる表情だった。優しい瞳だった。性欲とはまた違う、柔らかさを帯びた視線だった。
彼の手が私の頬をなぞる。涙のあとを拭ったようだ。
彼を見て、また泣きたくなる。それはなぜ?記憶が戻れば、この寂寥感にも理由がつく?
「愛してるよ。愛してるから、きみを抱くんだ」
「わ、私だけ……」
「そうだよ。メリューエル、きみだけだ。きみだけを、愛してる。それを絶対に忘れないで。俺は、きみが好きなんだ。だから、きみがいなくなったら……この世界に俺だけが取り残されたら、恐らく俺は壊れてしまう。ミュチュスカ・アリアンという男を壊したくなければ、きみは俺のそばにいて。いると、約束して」
「……大袈裟よ」
苦しいくらい嬉しくて、つい小さな声になってしまった。素直になれない私に、ミュチュスカがふ、と優しく笑った。私の手を持ち上げて、手の甲に口付けを落とすと指先ひとつひとつに唇を押し当てた。
縛られたままの、私の手に。
「大袈裟じゃない。本心だ」
彼の唇が胸の膨らみに落ちた。
胸元を撫でられるとぬるりとした熱が走り、小さな嬌声がこぼれる。
「ンぅっ……」
「声は我慢しないで。聞かせて」
ちゅ、と胸の先に口付けられた。
可愛い音が鳴り、彼の熱い口内に吸われた。
柔く甘噛みされて、思わず腰が跳ねた。
「やッ……ぁ、っ、あ、あっ……!」
歯を立てられて、鋭い痛みがかけ上った。
「きゃぅっ……!?や、ぁ、ミュチュ、ミュチュスカぁ……あっ」
甘ったるい、媚びた女の声。
噛まれたそこを労わるようにミュチュスカの舌が這う。もう片方の手でぐっと引っ張られたかと思えば、弾かれて、甘い快楽に腰が揺れた。
「やっ、それ、ゃっ……!ぁッ」
「嫌?そうは見えないけど。いま、きみがどんな顔してるか分かってる?そんなに髪を乱して、快楽にとろけて、熱にうかされて頬を赤く染めている。これでやめる男がいたら正気じゃない」
「あっ、やっ、いじわ、ぁア!」
ぢゅっと強く突起を吸われ、もう片方は緩やかに指で弾かれた。忙しない快楽に、何かが登り詰めた。怖い。このままだと、何かが弾けてしまいそうで。もう、これ以上の快楽を受け止めることは出来なさそうで、縛られたままミュチュスカに懇願した。必死で喘いでいるからか、知らない間に涙が溢れていた。
「や、いやァっ……!も、だめ……っあ、やだ、ミュチュスカ……ミュチュ……ッあ、~~~!!」
戒められた手首では、ミュチュスカを引き剥がすことすら出来ない。私の制止の声を無視して、ミュチュスカに強く吸われ、快楽に目が瞬いた。派手に腰が跳ねて、ぴんと足先に力が入った。ぎゅう、と胸の先をミュチュスカに摘まれたが、それは痛みよりも快楽の余韻を強くさせた。
「ひ、ぃアッ………っ!」
「偉いね、メリューエル。ここでも達することが出来るようになったね。きみの体をここまで変えたのが俺だと思うと、すごくゾクゾクするよ」
記憶は無いものの、実に自分らしいと苦々しい気持ちになった。
なので、顔を上げてミュチュスカに謝罪する。
「あの……ごめんなさい、ミュチュスカ」
「メリューエル、きみは何を謝るの?」
「分からないけど、おそらく私の行動が原因なのでしょう?」
私の言葉に、ミュチュスカは目を見開いた。
そしてまた、痛みを覚えたような。苦しげな様子で、だけど歪んだ笑みを浮かべた。
「そうだよ。だからね、メリューエル。俺は決してきみを許さない」
「自分勝手に俺を振り回したかと思えば、勝手にあんな目にあって」とミュチュスカは続けた。
あんな目、とはどういう目なのか分からないが、振り回して、ということろには納得がいく。以前の私もやはりミュチュスカに魅入られ、惹かれて彼の周囲を付きまとったのだろう。
彼の手が、私の顎にかかった。
「もう何もかも、きみのせいだ。メリューエル」
それが、はじまりの合図だった。
ふわりと触れる口付けに思わず息を詰める。
ミュチュスカは私が苦しそうにしているのを見ると何度か角度を変えて、息継ぎのタイミングを与えてくれた。彼の手は私の頭の後ろに回り、私を逃がさない。もう片方の手は、私の手首を押さえつけていた。
「んっ……んん、ん~~……!」
「ふふ、呼吸の仕方も忘れちゃった?こうしてると、思い出すな。初めてきみに触れた時のことを」
ミュチュスカの手が胸元にのびた。
丈の長い寝着はあっという間に首元までたくしあげられた。寝着なのでコルセットはつけていない。すぐに膨らみが露わになって、あまりのみだらさに目を逸らした。
「ここは、覚えているかな。きみはここを触られるのが好きだったように思うけど」
ミュチュスカの手が膨らみにそっと触れた。
私の胸は、ミュチュスカの手にすっぽりと収まるほどで、とても大きいという訳では無いが貧乳と称されるものでもないだろう。
彼は柔らかく胸を揉んだ。ただ、それだけなのになぜか肌が、背筋が、ゾクゾクとしてあまりの心地良さ──気持ちよさに、涙が滲んだ。
私はミュチュスカに触れられることを喜んでいる。この体は、彼を受け入れている。
なのに、なぜ。
なぜ、私はこんなに悲しいと思っているのだろう。涙の飛沫をまつ毛が弾くと、ミュチュスカがそれを舐めとった。まるで獣の所作だ。
「怖い?」
「……ねえ、あなた、本当に私が好きなの?私だけを……?」
怖くて、どうしても肯定して欲しくて、そう聞いていた。ただの肉欲に過ぎないと言われたら、どうしようもなく傷ついてしまいそうだとわかっているのに、尋ねてしまった。
私の言葉に、ミュチュスカは少し驚いたように目を見開いたが、すぐに柔らかい微笑みになった。
彼は私を想ってくれていると、それがわかる表情だった。優しい瞳だった。性欲とはまた違う、柔らかさを帯びた視線だった。
彼の手が私の頬をなぞる。涙のあとを拭ったようだ。
彼を見て、また泣きたくなる。それはなぜ?記憶が戻れば、この寂寥感にも理由がつく?
「愛してるよ。愛してるから、きみを抱くんだ」
「わ、私だけ……」
「そうだよ。メリューエル、きみだけだ。きみだけを、愛してる。それを絶対に忘れないで。俺は、きみが好きなんだ。だから、きみがいなくなったら……この世界に俺だけが取り残されたら、恐らく俺は壊れてしまう。ミュチュスカ・アリアンという男を壊したくなければ、きみは俺のそばにいて。いると、約束して」
「……大袈裟よ」
苦しいくらい嬉しくて、つい小さな声になってしまった。素直になれない私に、ミュチュスカがふ、と優しく笑った。私の手を持ち上げて、手の甲に口付けを落とすと指先ひとつひとつに唇を押し当てた。
縛られたままの、私の手に。
「大袈裟じゃない。本心だ」
彼の唇が胸の膨らみに落ちた。
胸元を撫でられるとぬるりとした熱が走り、小さな嬌声がこぼれる。
「ンぅっ……」
「声は我慢しないで。聞かせて」
ちゅ、と胸の先に口付けられた。
可愛い音が鳴り、彼の熱い口内に吸われた。
柔く甘噛みされて、思わず腰が跳ねた。
「やッ……ぁ、っ、あ、あっ……!」
歯を立てられて、鋭い痛みがかけ上った。
「きゃぅっ……!?や、ぁ、ミュチュ、ミュチュスカぁ……あっ」
甘ったるい、媚びた女の声。
噛まれたそこを労わるようにミュチュスカの舌が這う。もう片方の手でぐっと引っ張られたかと思えば、弾かれて、甘い快楽に腰が揺れた。
「やっ、それ、ゃっ……!ぁッ」
「嫌?そうは見えないけど。いま、きみがどんな顔してるか分かってる?そんなに髪を乱して、快楽にとろけて、熱にうかされて頬を赤く染めている。これでやめる男がいたら正気じゃない」
「あっ、やっ、いじわ、ぁア!」
ぢゅっと強く突起を吸われ、もう片方は緩やかに指で弾かれた。忙しない快楽に、何かが登り詰めた。怖い。このままだと、何かが弾けてしまいそうで。もう、これ以上の快楽を受け止めることは出来なさそうで、縛られたままミュチュスカに懇願した。必死で喘いでいるからか、知らない間に涙が溢れていた。
「や、いやァっ……!も、だめ……っあ、やだ、ミュチュスカ……ミュチュ……ッあ、~~~!!」
戒められた手首では、ミュチュスカを引き剥がすことすら出来ない。私の制止の声を無視して、ミュチュスカに強く吸われ、快楽に目が瞬いた。派手に腰が跳ねて、ぴんと足先に力が入った。ぎゅう、と胸の先をミュチュスカに摘まれたが、それは痛みよりも快楽の余韻を強くさせた。
「ひ、ぃアッ………っ!」
「偉いね、メリューエル。ここでも達することが出来るようになったね。きみの体をここまで変えたのが俺だと思うと、すごくゾクゾクするよ」
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