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最後の夜 6

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「リーフェっ………」

「レイ、あっ………ん、ゃっ、ああっ………!」

レイルは私の左の太ももを掴むとそのまま持ちあげて激しく腰をぶつけてきた。レイルの瞳は情欲のためか少し濡れているように見える。見てるこちらがゾクゾクしてしまうくらい今のレイルは色っぽくて、凄艶な色気を滲ませていた。額にかかる前髪が鬱陶しいのかレイルは手荒にそれを後ろに払う。その仕草のせいでいつもは見えない白い額が目に入って、ますますドキドキした。
やっぱり、好きだ。すごく、好き。昔と何ら変わらない海のような瞳をした彼は、今はまっすぐ私を見ている。

ーーー本当は、この瞳に映るべき人は私ではない

わかっている。分かっているからこそ、これを最後にするから。それを免罪符に私はレイルにすがりついた。

「ぁっ……あァッ……ふ、あぁっ…!やっ……~~~~っ………!!イっちゃう、イっ………!」

「うん………何回でもイって。大丈夫、いくらでも気持ちよくさせてあげるから」

「やぁっ………!レイっ…ル、ぅっ………!深っ……これ、………ッ、ひ、ぅん、~~~~ッ………!!」

ぢゅぽぢゅぽと音がして弱い部分をぐりぐりと突かれて、目の前に星が散る。白か黒か分からない視界で私はそれでも目を開けていた。
最後くらいしっかりと彼の姿を刻みつけておきたい。時折彼の前髪が額に触れて、それがくすぐったい。焦れたようにレイルが突然唇を合わせてくる。当然舌を差し込もうとするから逆に私が啄むようなキスを彼に繰り出す。それに驚いたのだろう。僅かにレイルが息を飲む気配がした。だけどそれは一瞬で、なかを満たすそれの質量がぐっと増えた。その感触に喘ぐと、レイルがお腹の上の方をぐりぐりと擦り付けるようにそれを動かした。その刺激にめっぽう弱い私はさんざん昇りつめていたのもあって、あっという間に達してしまった。

「あっ………ァッ………ーーーッ………!」

「んっ………く、」

レイルにすがりついて絶頂に耐えると、レイルも続いて私の中に熱い飛沫を送り込んだ。お腹の奥に温度を感じて、それにまた私が喘ぐ。レイルは暫く私を抱きしめていたが、やがて深いため息とともに体を起こした。

「はー…………すごい、すっごい良かった」

「レイ………」

喘ぎすぎて既に少し声が枯れている私が見ると、レイルは先程よりも情交に濡れた瞳で私を見た。
背筋がゾワゾワする。レイルの色気に、あてられている。

レイルの容姿は男女問わず人を魅了する。以前、女性だけではなく男性にも迫られたこともあるとどこかで聞いたことがあった。
だけどそれもなるほどと、納得するほどの色気と、美貌と、綺麗すぎる瞳。この海面のような瞳に囚われる人は、なるほど。多すぎるほどだろう。実際私だって、彼の瞳に恋をしている。いつもは性交やそういった行為には全く興味が無いと言った様子のレイルが、今は情欲に溺れている。それが偽りだとしても、嬉しいと思ってしまう。きっと私は愚かだ。
清廉潔白な、美しい王太子殿下。白金の髪に薄い唇、前髪はいつもどちらか片耳にかけられていて、無造作に下ろされた髪はクセもなくサラサラだ。まぶたにかかりそうな前髪は彼の神秘的な美しさによくあっていて、目元のホクロもまた彼に色気を差し込んでいる。
どこか静かで、落ち着いていて、だけど少し高めな声をしている彼は、やっぱりとても綺麗で、美しいのだ。
初めてレイルに微笑まれた日は、驚きのあまり心臓が止まるかと思ったし、今でもドキドキしてしまう。

神域のような、不可侵とも言える彼の洗練された美に、人は堕ちてしまうのだ。

「んー…………まだ足りないな……。うん。全然足りない。リーフェ、まだ大丈夫?」

「えっ………あ………」

気づけば、レイルのそれはまだ高ぶっていて、私の腟内で存在を主張していた。私はそれに気づくと思わず顔が熱くなるのを知った。

「大丈夫なら、まだしたい。こんなんじゃ全然足らない。もっと、もっとリーフェを感じたい。ねぇ………ダメかな」

「……ダメ、じゃ、ない、です」

むしろ、最後がこんなに幸福であったことに、感謝するべきなのだろう。情事後の余韻なのか、少しかすれたレイルの声は酷く甘く、お腹の奥の方に響く。ぞくりとしてしまえばそれはすぐに気づかれてしまって、レイルは小さく笑った。

「リーフェは俺の声も好き?………嬉しいな。俺も、リーフェの声も、瞳の色も、顔も、匂いも、全部が好きだよ」

そう言ってまたひとつ抱きしめてくれたレイルは、どんな顔をして言ってるのだろう。見えないからこそ、わからなくて、不安になる。だけど私はその怖がる気持ちを隠して、私もまたレイルを抱きしめた。
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