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よんじゅーご
しおりを挟む「ここです」
「石階段………?」
「はい。ここは脱出専用の裏口となってまして、万一こちらから入られそうになったら上から水を流すんですよ」
き、鬼畜………。
石造りの扉を開くと目の前には見下ろすような石階段が広がっている。今から私、この階段を降りるのか……。登るよりはマシだけど降りるのも結構きつそうな高さだ。
カティの言うようにもしこの階段を昇ってる途中で水なんて流されたら一溜りもないだろう。そのまま足を滑らせて落ちるか、水流に押されて落ちるか。
この男の職が職だけに万一追われるという可能性は0ではない。むしろ高い。
きっとこういった仕掛けは他にもいろいろと施されているのだろう。今更ながらにカティが裏商売をしているということを自覚する。
「でもそんなこと私に知らせてもいいの?」
「メアリー様はお得意様ですので」
「………恩を仇で返すとは思わないの?」
「さあ?とてもそんな方には見えませんでしたので」
相変わらず読めない男である。
私とカティは二人で石階段を降りていく。
かなりの段差を降りて、ようやく目に入ったのは光が漏れでる石造りの扉だった。恐らく、この扉が外につながっている………。
石造りの扉の前で止まるとカティは振り返った。そして相変わらず胡散臭そうな笑みを口元に湛えている。
「さて、私がご案内できるのはここまで。ここからはメアリー様おひとりでどうぞ」
「………分かったわ」
「ここはロティア通り一番地に通じています。そして、こちらがメゾネリアへの道順。お気をつけて」
「………ありがとう」
隠せてるとは思わなかったけど、やっぱり私の行き先がメゾネリアだと気づいていたのね。
せっかくの好意、どうせなら受け取っておくべきだろう。
私は差し出されたカティの紙を手に、石造りの扉のノブを回した。
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