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さんじゅーご

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「ご機嫌麗しく、シャーロット様」

来客はーーーシアだった。
なんだって今、この時会わなきゃいけないの。またタイミングが悪いわね、と内心歯噛みする。だけど顔には表さずにシアに向かって私は微笑みかけた。

「どうしたの、シア。突然わたくしに会いたい、だなんて」

「知らせを出していない来訪、申し訳ありません。ただーーーシャーロット様にご相談したいことがございまして」

「……何?」

まさかもうシアは国王陛下がなくなったことを知っている?
いや、これは箝口令が敷かれていることだ。それにあの殿下のことだし無闇やたらに話すことはおそらくーーーきっとない。いや、私は未だにシアと殿下の関係を疑っている。
関係によってはシアが既に国王陛下の崩御を知っていてもおかしくない。

「エヴァド公爵がお亡くなりになりました」

「………は?」

思わず王太子の婚約者として、貴族の娘として相応しくない声を出してしまう。だけどシアの言葉はそれほどまでに突拍子もないものだった。
エヴァド公爵ーーー。彼は対王政派の筆頭で、その旗頭である。表立った政争は起きてなかったものの水面下ではやはりどこも政権争いというものがある。
それはこの国とて同じ。そしてエヴァド公爵は王族から政権を奪おうとしたたかに躍起になっていたものだ。それはこの国の貴族であるならーーーある程度の教養があればみなが知っている。

だけどなぜこのタイミングで………?

そしてなぜ、シアはいきなりそれを私にいってきたーーー?

シアの意図をはかりかねて、私は目を眇めた。

「………そのご様子だとシャーロット様は何も知らなかったご様子。エヴァド公爵が昨日毒殺されたのはご存知ありませんか」

「……なぜそれをあなたが知っているのか、はかりかねているところよ」

「ご安心を。私は殿下によって遣わされた調和人です」

「……?」

「これから政争はより激しくなるでしょう。婚約管理委員会、でしたか」

「そのことも知っているのね」

「独自の情報網がございますので」

分からない。
シアが何をしようとしているのか。そして、エヴァド公爵が毒殺されたというのなら、その犯人は誰なのか。だけど順当に考えれば反王制派であらエヴァド公爵を忌々しく思っていたのは現王政派ーーー。つまり私の家を筆頭にした家々ということになる。
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