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じゅうに

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「ふむふむ、なるほど~!つまり、ミス シャーロットは王太子殿下の浮気を許容できず、自然な理論の上での婚約破棄を求めたと。ちなみにその事実が発覚したのは今で間違いありませんか?」

「じ、事実が発覚した………?というより、私が気づいたのは三ヶ月ほど前ですが………」

「さようですね!ではここからミス シャーロットを原告、王太子殿下を被告として、」

「それは不敬だと思いますわ」

つい口を挟んでしまう。流石に裁判のような物言いは良くないだろう。しかもこの場合、被疑者が王太子ということじゃないの。それは不敬の中でもトップオブ不敬。場所は玉座の間。最悪不敬罪が適用されてもおかしくない。だけどリーリアは特に慌てることなくすぐにかしかしこまって頭を下げた。ついでに頭に乗っている帽子も深く引き下げられる。彼女の身長が低いのも手伝ってほぼ表情がわからなくなった。

「失礼しました。つい、この間の公爵子息の婚約破棄騒動と混同してしまい………。ではここからは王太子殿下を甲、ミス シャーロットを乙として」

「婚約は確かに契約ではありますけど、そこまでビジネス的なものではありませんので」

確かに婚約は契約だけど!だけど何も甲乙を使わなくたっていいじゃないの。というか前の公爵子息の婚約破棄騒動では被告と原告呼びしていたということ!?どこの誰だか知らないけど、お気の毒すぎるわ………!

「ああ、そうですか!そうですね。ではここからはミスシャーロットを点A、王太子殿下を点B………」

「わたくしたちは動いたりしないのですけれど!?というより………あの、失礼ですけれどリーリアさんは何をされたいのですか?わたくしたちの婚約を一時預かりにすることは理解しました。ですが、この茶番は必要ですの?」

既に王太子は放っておいてリーリアと向き合う。
リーリアはくりくりとした目で私を見る。そして、人差し指を立てるとそれを振って応えた。

「チッチッチッ、茶番ではありません。呼び名を決めるのは大事なことです。ミス シャーロット」

なんでもいいけど、彼女の動作、いちいち癇に障るわね………。というより呼び名なんてもうミスシャーロットでいいじゃないの。ダメなの?呼び方変えないといけないのかしら?

「発言をいいだろうか、リーリア女史」

「王太子殿下の発言を許可します」

ここは議会か何かなの??
それと陛下が沈黙を守っているのだけどあれ、寝てない?起きてる?大丈夫?寝てません?


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