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ぜろ

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私はやられたらやり返す女。
性格の悪さは自覚済みだ。

「いいんです。それを耐えられない私が悪いのだから……っ!」

「シャーロットさま……」

後ろから辛そうな声で侍女がいう。
彼女は優しい子だ。私とは違って純正の性格の良さだから、きっとこれも本心だろう。
周りの視線も哀れみがこもったものになる。民意というのは大事だ。今はここだけの話が、やがて侍従からその家族へ、その家族から知り合いへ、広がっていく。
やがてこの話も市井に回るはず。人の口に戸は立てられない。

お可哀想なシャーロット様、というイメージがつけば私の勝ちだ。王族といえど民衆を敵に回すことはしないだろう。
貴族が私の味方をしてくれないのなら、民衆を味方につければいい。
民衆が私を憐れみ、哀れめば私の勝ち!

「ふむ………つまり、シャーロットは息子の不貞を許せないということかな」

許せないって言うかもう勘弁してくれというか。私は首を振って答える。そう、あくまで悪いのは私というスタンスは崩してはいけない。

「違うのです。陛下。悪いのは全て私………」

そう言いつつも、思う。
んなこと一ミリたりとも思っていませんけれどね!
そして、私は涙が止まってしまったので声だけで涙声を再現しながら伝えた。

「ですので、わたくし、殿下との婚約を破棄していただきたく………」

緊張が走る。王太子の手がぴくりと動いた。
ふふん、早くからこうしていればよかったのよ。これてみんなハッピーエンド。私だって私を大切にしてくれない人と結婚だなんて冗談じゃないわ!
そう思って告げた時、玉座の間が突然開かれた。


ーーーバンッ!

「ストップ!その婚約破棄、妥当ですか?」

玉座の間を無礼にも開け放ち、そしてこちらを見る少女。幼そうに見えるものの、私とそう変わらない歳だろう。その栗色の髪はくるんくるとカールしている。大きなメガネは彼女の顔の大半を覆っていた。

………いや、あなた誰?


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