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ブラのホックが外せない

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 僕が出かけた先はキョウちゃんの家だ。
 チャイムを押すと、すぐに応答がある。

 名前を告げると、比奈ちゃんが出迎えてくれた。

「比奈ちゃんに会ったのも久しぶりじゃないかな?」

「そうだねえ、でも、まだ一週間しか経ってないよ」

「今日は仕事無いの?」

「うん。今日の仕事はもう終わったかな。後はちょっとパソコン入力が残ってるくらい」

「そう。それじゃあ気兼ねしないで良いね」

 僕はキョウちゃんの家に上がると、ソファに腰を下ろす。

 僕がキョウちゃんの家に来たのに特別な理由は無い。
 ただ、比奈ちゃんと話したいなあ、なんて考えただけだった。

「ねえ、比奈ちゃん。今日もキョウちゃんは番長として不良たちの相手をする事になったみたいだけど、そろそろどうにかしないと大変な事になるかもよ」

「響なら平気だと思うけどねえ。簡単には死なないよ」

「まあ、さすがに殺したりはしないだろうね。けど、骨を折られてもおかしくないんじゃないかな?」

「骨なんて一本や二本折れても平気だよ。知ってる? 骨ってくっつくんだよ」

「それは知らなかったなあ」

 比奈ちゃんは僕にお茶と茶菓を用意してくれる。
 茶菓はカステラで、お茶は紅茶だ。

「んー。素晴らしいダージリンだね」

「残念だねぇ。これはアールグレイだよ」

「何が違うの?」

「葉っぱじゃないかな?」

「葉っぱって言うと、なんだか怖いね」

「君もラリって来たかな?」

「僕は普段から頭がおかしいって言われてるよ」

「確かにねえ。君、女の子に興味ないでしょ?」

「そんな事ないよ。僕は比奈ちゃんが大好きだしさ」

「でも、恋愛感情とは違うでしょ?」

「どうだろうね」

 僕はカステラも口にする。
 フワフワとして美味しいのは、上等のカステラだからかもしれない。

 この家で出されるものは、大体自分の家では口に出来ないようなものばかりだ。

「そうだ。一週間ぶりに会ったんだしさ、お酒でも飲む?」

「高校生にお酒を勧めるのは犯罪らしいよ」

「そうなの?」

「詳しくは知らないけどね」

「じゃあ、君の判断に委ねるよ」

「それなら、もらおうかな」

 比奈ちゃんが冷蔵庫から持ってきたビールを、僕は口にする。
 ビールは普通に売っているもので、特別なものではない。

 比奈ちゃんもビールを開けて口にする。

「ぷはあ! とか言うと年寄り臭い?」

「それくらい、年寄りじゃなくても言うんじゃないかな?」

「君が居ると楽しいね。響はあんなで真面目だから、お酒に付き合ってくれないし」

「真面目なキョウちゃんが今では番長だけどね」

「どっかで育て方間違えたと思う?」

「育て方は間違えてないよ。間違いがあったとするなら、育ち方に問題があったんじゃないかな?」

 それにしてもキョウちゃんの帰りは遅かった。

 まあ、高校生にもなって真っ直ぐ家に帰るとも言い切れないのだけれど、キョウちゃんはたくさんの不良に絡まれているだろうから、多少心配になったりもする。

「君は、家でもお酒を飲むの?」

「さすがに家では飲まないかな。僕にも一応両親が居るしね」

「君が高校生だっていうの、忘れそうになるね」

「比奈ちゃんが三十路を越えてるのも忘れそうになるよ」

「年齢を言わないでもらえるかな? 結構、デリケートゾーンだよ」

「そうなの? 比奈ちゃんみたいに可愛ければ、年齢なんて関係ないと思うけど」

「君は、どんな時にお酒飲む?」

「比奈ちゃんと一緒に居る時しか飲まないかな」

「そうだったんだ。無理して飲まなくても良いよ」

「無理してでも飲むよ。その方が比奈ちゃんとの話も弾むしね」

「へえ、私に合わせてくれてたんだ」

「まあ、酒が嫌いなわけじゃないよ」

「でも、ご褒美をあげないとなあ」

「何がもらえるのか楽しみだね」

 比奈ちゃんは何か考えるような仕草をする。

 僕は熟女好きというわけでも無いのだけれど、その仕草はクラスメイトには無い色っぽさを含んでいる。
 まあ、比奈ちゃんが好きだからって『熟女好き』なんて言ったら、比奈ちゃんには失礼すぎる話だと思う。

 比奈ちゃんは『熟女』と呼ぶには若々しすぎるから。

「じゃあ、する?」

 比奈ちゃんは僕へのご褒美を思いついたようだった。

「何を?」

 するという言葉から察するに、それはどうやら物ではなく行動なのだろうけれど、何をするのかは分からない。

「セックス」

「うん」

 僕は頷くと、飲んでいたビールを置いて、比奈ちゃんに迫る。
 ゆっくりとソファーに押し倒して、顔を近づける。

「君、慣れてるねえ。私は君ぐらいの時には処女だったよ」

「僕もまだ童貞かもしれない」

「うっそだぁ。そんなわけないよ」

「分からないと思うけどな」

「じゃあ、私は童貞狩りのおねい様だね」

 僕は比奈ちゃんにキスをする。

「でも、前に僕は振られたよね?」

「うん。別に今も付き合うつもりは無いよ」

「それは残念だな」

 もう一度キスをして、舌を絡める。
 正直に言うと、これが僕のファーストキスだったりするのだけど、それを言っても比奈ちゃんは信じてくれないかもしれない。

 僕は比奈ちゃんの服を脱がそうと試みる。
 一枚ずつ脱がせて、徐々に薄着になっていく比奈ちゃんはエロティックだ。

 最後に着ていたブラウスを脱がすと、可愛らしいブラジャーが現れる。

「意外だね。比奈ちゃんはもっと大胆なのを着けてるかと思ったんだけど」

「君の趣味には合わないかな?」

「そんな事は無いよ」

 ブラジャーの上から胸を触ってみる。
 比奈ちゃんの胸は僕の掌にすっぽりと収まる。弾力があるというよりもむしろ……。

「あ、今小さいとか思ったでしょ?」

「思ってないよ。僕は貧乳が好きだし。ロリコンだからね」

「ロリコンが三十三のおばさんを相手にはしないよ」

「幼稚体型」

「……ちょっとむかついた」

 比奈ちゃんのブラジャーを外そうと、僕は背中に手を差し込む。
 ホックを捜して外そうとするのだけれど、なかなか上手くいかない。

「下手くそだね、童貞君」

「上手いわけないよね。童貞なら」

「リビングでこんな事しててさ、響が帰ってきたらどうする?」

「比奈ちゃんは、そんな事考えて興奮してたのかな?」

「ううん。ただ、響の事を考えてただけ。家に帰ってきて、友達と母親が絡み合ってたらどんな気分になるかなあ、って」

「良い気分では無いね」

「君もそう思う?」

 いつまでも僕がホックを外しあぐねていると、玄関の方からガチャガチャという音が聞こえてくる。

「響が帰ってきたみたいだねえ」

 起き上がった比奈ちゃんは、一度僕を抱きしめると、そのまま服を着る。

 何事も無かったように服を整えると、テーブルに置かれていたビールの缶を片付けてしまう。

「残念だねえ。続きは、機会があったらだよ」

 お預けを喰らった形になったけれど、僕にしてみればそれほど残念でも無い。
 確かに最後までやりたかったけれど、比奈ちゃんとキスできたわけだし。

 まあ、本当言うとおっぱいぐらいは見たかったなあ、という気持ちが無くもないけれど。
 今からおっぱいだけ見せてと頼むのも無粋なので、僕は諦めてカステラを口にする。

 紅茶にはよく合うのだけれど、僕はあまり紅茶が好きではない。
 それこそ、ダージリンとアールグレイの違いも分からないほどに。

 キスをしたのだから口紅が付いてないだろうかと近くにあったティッシュで拭ってみるけれど、ティッシュに口紅は付かなかった。

 最近の口紅はキスをしても移らないのかもしれない。と言っても、昔の口紅がどの程度移るのかなんて知らないけれど。僕はファーストキスだったから。

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