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1章

宗教

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 そこら辺にいたスケルトンにクリスが声を掛けると、スケルトンは頷き、走って行った。

 相変わらずスケルトンって走るの遅いよね。
 まだ進化してないスケルトンだったから当然なのかもしれないけど。

 進化したスケルトンだって遅く感じるのに、進化前のスケルトンなんて赤子の歩みだ。


 城からぞろぞろと、私のテイムモンスターであるスケルトンたちが飛び出していく。

 二十体ほどだろうか。
 どれもまだ進化をしてない個体で、つい最近テイムしたばかりの新入りだ。

 全員がその手に槍を持っている。

 彼らはそのまま結界の外まで出て、冒険者たちの心臓に槍を突き刺して回っている。

 死んだかどうかの確認と、死んでいなかったら確実に止めを刺すということだろう。


「今回は逃がさないで良かったの?」


 前回の冒険者たちはわざと逃がしていたので聞いてみる。

 前回はスケルトンしかいないと思われて、弱い冒険者がLV上げに来るのが嫌だったんだよね?

 だからわざと、骨の巨人もいるよって宣伝するために見逃した。

 今回は骨の巨人十体も出したんだから、情報を持ち帰らせれば誰も来なくなるんじゃない?

 驚異度が高すぎると分かれば、今度は強いのが来る?

 あの冒険者も十分強かったんじゃない?

 それで敵わないとなると、もっと数を揃えてくる?

 それは厄介だね。
 数は力だもんね。

 この世界、数の脅威がどのくらい活きるのか知らないけどね。

 どちらにしろ脅威は伝わる?
 この人数が帰って来なかったら全滅したと分かる?

 追い払うにも驚異度は見せつけなければならないから、どちらにしろ同じなら殺しといた方が良い?

 後で数を揃えてやってくる時の数を減らせる?

 そうだね。

 敵として再登場するのに、理由もないのにわざと逃がすとか、漫画の悪役ぐらいだよね。

 より強くなった相手と戦いたい、とかいう戦闘狂でもないしさ。

 やれる時にやる。
 これ大事ね。

 良い流れの時に点を取らないと負けるって、サッカーの解説でも聞いたことがあるしね。


「結界を攻撃して城を狙わなければ、放置しても良かったのだがな」


 それね。

 別に殺すこと自体は目的でもないしね。

 スケルトンと、骨の巨人の一体や二体倒して満足してくれたら、そのまま放置でも良かったんだよね。

 なのに彼らの狙いは城だったからね。

 結界突破されて城まで入って来られたら、私もどうなるか分かんないし。

 ここは私の家で、結界は塀みたいなものだからね。

 家の塀を見ず知らずの不審者が爆弾で壊そうとしてたら、殺されても文句は言えないよね。

 日本なら殺されるまではいかないかもしれないけど、外国だったら当然だし。


 あ、スケルトンが帰ってきた。

 おかえりー。
 何持ってるの?

 所持品?
 冒険者たちの?

 うわぁ、いっぱいあるね。
 服まであるけど、全部剥いだの?
 死者の尊厳とかないんだね。

 他人の穿いた下着とか、触りたくない。
 女物の下着もあるけど、冒険者の中には女の人もいたんだね。

 双眼鏡使ってても、ここからだと遠くて性別までは分かんなかったから。

 結構強かったから、お宝とかも持ってたかな?

 この武器なんて、スケルトンたちが持ってるのより良さ気じゃない?

 クリスが付与して魔法武器にしてあるから、スケルトンたちの持ってるのも相当だと思うけど。

 指輪?
 その指輪がお宝なの?

 クリスがなんか、ゴテゴテした趣味の悪い金色の指輪に興味を抱いたようだ。

 複数あるからペアリングかと思ったけど、四つもあったから違うね。

 聖光教会?
 なにそれ?
 めっちゃありそうな宗教名。

 とりあえず宗教出したくて、フィクションで適当に付けた宗教の名前みたいだね。

 その指輪は神官の証なの?
 つまりその、聖光教会っていうのが、今回の襲撃に絡んでたってこと?

 アンデッドを不浄のものとして敵対視する宗教なの?

 それじゃあ驚異度云々以前に、いつかここに攻めて来たかもね。

 教会主導の軍が派遣されてくる?
 なにそれ怖い。

 教会ってそんな権力持ってるの?
 下手すれば王よりも強い権力?
 やっぱ宗教って怖いね。

 勝てるの?
 夜逃げする?

 勝てるか分からないけど、早急に戦力を整える?

 確かにね。

 ただでお城あげるのは癪だもんね。

 じゃあ今日から、戦力増強頑張るぞー。
 聖光教会をやっつけるぞー。

 おー!
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