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1章

LVが上がったよ!

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《LVが上がったよ!》


 びっくりしてキョロキョロする。
 でも周囲には誰もいなかった。

 この世界に来てから十日ほど、この世界での生活にも慣れてきた。

 朝起きたら顔を洗って歯磨きをして、用を済ませたら食事をとる。
 朝食をとったらダンジョンに潜ってレベリングして、昼食時に城に戻る。
 昼食をとったら魔法の勉強をして、それからちょっとの自由時間。

 自由時間には畑にいることが多い。
 野菜がにょきにょき生えているのが面白い。
 毎日少しずつ成長しているのだ。

 私は農業に興味はないけれど、世話はスケルトンたちが全部やってくれるので、育っていく過程を観察するだけだ。
 野菜の生育はこの世界の方が早い。

 そもそもそういう種類のものが多いのか、土が良いのか、育成促進効果があるというライトのせいか。
 今日カブみたいなサイズの大根が収穫出来た。

 二十日大根ならぬ十日大根だ。
 朝食のサラダに出てきたけれど、甘くて美味しかった。

 作物の収穫までの時間は種類によって違う。
 基本的には一か月から三か月ほどで出来るらしい。

 お米とかは二ヶ月ちょっとで出来るらしい。
 それまでは村で買ってきた小麦を使ってパンを作る。


 作るのはもちろんスケルトンたちなわけだけれど。


 そう言えばパンが柔らかくなった。
 初日とかは酵母菌がなかったらしい。

 酵母菌を育てるのに十日掛かって、やっと柔らかいパンが食べられるようになったのだ。
 食生活が充実していくのは嬉しい。

 そのために畑があるわけで、私は今日も畑をじっくりと眺めていた。

 この畑はかなり特殊だと思う。
 いろんな作物が植えられているのだ。

 普通の畑ならばいくつかの種類に限定して育てるのだろうけども、ここでは何十種類も育てられている。
 私の食をここだけで満たすためだ。

 まあ、同じ種類の野菜を何トンも作ったって、私一人じゃ食べきれないよね。

 種類が多いだけじゃなくて、区画によって季節も違う。
 夏の野菜と冬の野菜が同じ畑に植えられているのだ。

 魔道具のライトの不思議パワーで可能にしているらしいが、本当に不思議だ。
 おかげでもう少ししたら季節はずれの野菜でも食べられるようになる予定だ。

 まあ、畑のことは別に良いのだけれど、今日も今日とて畑の観察をしていたら、頭の中に突如、声が響いた。


 LVが上がったよ! という少年のような声だ。

 LVが上がったよ! というのだからLVが上がったんだろうと、ステータス画面を開いてみる。



『ユキナ
 人族LV2

 HP260/260
 MP260/260

 STR:105
 VIT:105
 MAG:105
 RES:105
 AGI:105
 DEX:105

 スキル
【テイム☆】』



 LVが上がっていた。
 HPとMPは10上がって、他は5ずつ上がっている。

 スケルトンよりは大分上昇幅が大きい。
 けど、こんなもんか、とも思う。

 LV1の時よりも5%くらい上がってるわけだけど、特に身体に変化は感じない。
 LVが上がったからといって唐突に身体が軽くなったような感覚はないし、魔力が溢れだしてくるということもない。

 5%くらいじゃそんなもんなのかもしれない。

 それにしても、なんでこのタイミングで上がったのだろう?
 畑を観察しているだけで経験値など入るのだろうか。

 よく分からなかったのでクリスの所に聞きに行く。
 クリスの部屋を訪れる。

 クリスの部屋は私の部屋から歩いて三分ほどの距離にある。
 城はかなり広いので、すぐ近くと言って良い。

 同じマンション内に住んでいる感覚だろうか?
 当初は最上階の、最初にクリスと会った部屋にいたらしいのだが、私にテイムされてお引越ししたそうだ。

 なんでも、あそこは王の間なので、私が使うべきなんだとか。
 私はそんなの気にしないし、自室以外は使う予定がないのだけれど、身分というのはしっかりしないといけないと言われた。

 もしも誰かお客さんが来た場合、玉座に座ってお出迎えする必要があるそうだ。


 うへぇ……。


 誰もお客さんが来ないようにと願ったのは言うまでもない。

 クリスは玉座の間を研究室にしていたらしいけれど、私にテイムされたせいで、私の部屋の近くにお引越し。

 用がある時にすぐに会いに行ける距離というのが助かる。
 この世界で頼れる人なんてクリスしかいないし。

 クリスの部屋の前にもスケルトンが立っていたので、今大丈夫かと聞くとこくりと頷いた。

 スケルトンは喋れないが、言葉は理解出来るので意思表示は出来るのだ。


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