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第11章
2話~第一次防衛戦・急展開~
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そのころ、後方では…
「今のうちに負傷者が出たときのために薬や今戦っている者達のために食事を用意しておけ!最短で用意できるだけ用意しろ!こんなことが出来るのも今の内だけだと思っておけ!」
指揮官であるマヌガが指示を飛ばしていた。この指示を受けているのは、街に住む女子供。それから一部のプレイヤー。
マヌガはこのプレイヤー達を不思議に思っていたようで、このために今ここにいるんだなと理解したところだった。彼らは早い。彼らが「ポーション」と呼んでいる薬を瞬く間に作り上げていくからだ。中には数分で三十個や四十個も作る者たちがいたものだからまさにびっくりたまげた、というのが合っている状態だった。料理も個人で差があるものの、どれも店に出せれそうなほど彩りや盛り付け、香りが良いのだ。王城で食事をする者が言うのだから、味は保証されたようなものだろう。
「おい、今は時間のかかる料理をしてる場合じゃないぞ?」
「ん、ああ、この出汁取りが終わればすぐに出来る。これさえ作っとけば明日も持つからさ」
彼が不思議に思っていた男性二人が会話を交わしながら料理を作っていく。さらに作っている料理も見たことの無いものだが、彼らが作るのならばさぞかし美味しい料理になるのだろう、とマヌガは思っていた。
「指揮官さん、薬はこんなもんで良いかな?」
一人の男性がマヌガに声をかけ、薬がこれだけあれば良いかと聞いてくる。実際、文句ない量だったので頷き、「出来ることなら他の者達の作業を手伝ってほしい」とお願いをする。この男性は人が良いのか、言われた途端に近くで作業をしていた若い少年を手伝っている。
「…早く、こんな戦いは終わってほしいものだ…」
マヌガは一人呟いたつもりだったのだが、近くに来ていた女性に聞かれたようで、「確かに。早く終わってほしいわね」と相槌を打たれた。驚いたマヌガはその女性の顔を見ながら「ええ。出来ることなら私も前線で少しでも貢献したいものです」と答えておいた。すると女性は
「そんなことしなくても大丈夫よ。明日は私も戦うから。ここにいなきゃいけない人の分までね!」
と答え、その場を去っていった。このあとこの戦いは急展開を迎えるのだが…それを知るものはまだ誰もいない。
場所は戻り前線。
「こ、こんなにいるのかよ!?」「なに、あれ…」「ちょ、これそういったやつの描写軽減ってあっただろ!俺ONにしてたはずだぞ!?」
プレイヤー達が叫ぶのも仕方ない。だって、あんなやつらがいたらそう言いたくなる。
「なあ、耀一…」
「言うなよ、ゴロウ…俺も思ってる」
あのあと剣やくわ、斧を持った個体が出てきたが、強さは相変わらず。このままなら楽勝だな、なんて思ってたところに奴は現れた。複数のゾンビを体にひっつけ、無理矢理巨人となったかのような巨大なゾンビ結合体。その姿はグロテスクな描写軽減を行っていても来るものがあるようだ。まあ、俺もONにしてるクチなんだが、結合体のあちこちにゾンビの顔があるのだ。しかも手まで出てきている。これで本当に軽減されてんのか?ここだけ軽減されてませんみたいなどうでも良い設計はいらんぞ?
結合体が動き始めた。ズシンズシンと音を立てるのではなく、摺り足のように足を滑らせながら。さらに、一部のゾンビが矢を放とうとしている。やばい、と思ったときには既に遅く、矢は無慈悲にも放たれ、この世界の住人、プレイヤー問わず撃ち抜く。これにより前線組一列目の左右が大きな被害を受けた。中央は重装備や大剣使いが多かったため大したダメージは受けていないが、左右は機動力を重視しており、大剣使いや重装備プレイヤーはほとんどいなかったのだ。それが今回の結果に繋がってしまったのだろう。
と、そんな解析をする前に結合体の攻撃を受け止める必要が出てきた。右手にゾンビをただ数珠つなぎにしただけである鈍器と変わらないものを持っていたのだ。結合体はその鈍器を振り上げ…思いっきり降り下ろしてきた。
「今のうちに負傷者が出たときのために薬や今戦っている者達のために食事を用意しておけ!最短で用意できるだけ用意しろ!こんなことが出来るのも今の内だけだと思っておけ!」
指揮官であるマヌガが指示を飛ばしていた。この指示を受けているのは、街に住む女子供。それから一部のプレイヤー。
マヌガはこのプレイヤー達を不思議に思っていたようで、このために今ここにいるんだなと理解したところだった。彼らは早い。彼らが「ポーション」と呼んでいる薬を瞬く間に作り上げていくからだ。中には数分で三十個や四十個も作る者たちがいたものだからまさにびっくりたまげた、というのが合っている状態だった。料理も個人で差があるものの、どれも店に出せれそうなほど彩りや盛り付け、香りが良いのだ。王城で食事をする者が言うのだから、味は保証されたようなものだろう。
「おい、今は時間のかかる料理をしてる場合じゃないぞ?」
「ん、ああ、この出汁取りが終わればすぐに出来る。これさえ作っとけば明日も持つからさ」
彼が不思議に思っていた男性二人が会話を交わしながら料理を作っていく。さらに作っている料理も見たことの無いものだが、彼らが作るのならばさぞかし美味しい料理になるのだろう、とマヌガは思っていた。
「指揮官さん、薬はこんなもんで良いかな?」
一人の男性がマヌガに声をかけ、薬がこれだけあれば良いかと聞いてくる。実際、文句ない量だったので頷き、「出来ることなら他の者達の作業を手伝ってほしい」とお願いをする。この男性は人が良いのか、言われた途端に近くで作業をしていた若い少年を手伝っている。
「…早く、こんな戦いは終わってほしいものだ…」
マヌガは一人呟いたつもりだったのだが、近くに来ていた女性に聞かれたようで、「確かに。早く終わってほしいわね」と相槌を打たれた。驚いたマヌガはその女性の顔を見ながら「ええ。出来ることなら私も前線で少しでも貢献したいものです」と答えておいた。すると女性は
「そんなことしなくても大丈夫よ。明日は私も戦うから。ここにいなきゃいけない人の分までね!」
と答え、その場を去っていった。このあとこの戦いは急展開を迎えるのだが…それを知るものはまだ誰もいない。
場所は戻り前線。
「こ、こんなにいるのかよ!?」「なに、あれ…」「ちょ、これそういったやつの描写軽減ってあっただろ!俺ONにしてたはずだぞ!?」
プレイヤー達が叫ぶのも仕方ない。だって、あんなやつらがいたらそう言いたくなる。
「なあ、耀一…」
「言うなよ、ゴロウ…俺も思ってる」
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結合体が動き始めた。ズシンズシンと音を立てるのではなく、摺り足のように足を滑らせながら。さらに、一部のゾンビが矢を放とうとしている。やばい、と思ったときには既に遅く、矢は無慈悲にも放たれ、この世界の住人、プレイヤー問わず撃ち抜く。これにより前線組一列目の左右が大きな被害を受けた。中央は重装備や大剣使いが多かったため大したダメージは受けていないが、左右は機動力を重視しており、大剣使いや重装備プレイヤーはほとんどいなかったのだ。それが今回の結果に繋がってしまったのだろう。
と、そんな解析をする前に結合体の攻撃を受け止める必要が出てきた。右手にゾンビをただ数珠つなぎにしただけである鈍器と変わらないものを持っていたのだ。結合体はその鈍器を振り上げ…思いっきり降り下ろしてきた。
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