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第6章

3話~久しぶりの機巧騎士~

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 ゴロウ達と初めてダンジョンに潜ってから三日後。三人ともある程度慣れたようなので少し奥に進んでみる。場所は例の綺麗な水の辺りだ。ここならいざとなれば機巧騎士に稽古をつけてもらえる。ほんのちょっとの距離だしな。
「それじゃ、今日からはここで狩りをしようと思う。この辺りなら安全圏が何ヵ所かあるし、今の三人なら迷わなければ余裕で来れるしな」
三人というのはゴロウら初心者組だ。ちなみにルートは最初の十字路で傷の入っている柱がある方へ行き、次のT字路で左へ。道なりに進んでいると右手に水門がある場所があるので、水門脇の小道へ入り、そのまままっすぐ進むと綺麗な水の沸いている場所に来る。このルートさえ覚えておけば初心者だけでも比較的安全に狩りが出来るのだ。
「なあ、耀一。パーティ内なら経験値は皆に入るんだろ?だったら俺達三人と耀一の方の三人で分かれて狩りをする方が効率は良くないか?」
確かにそうだな。三人ならばなんとかなるだろうし……ということでここからは分かれて狩りをすることになった。俺とメイ、シノンの三人で右の通路へ。ゴロウ、カナ、ミユが左の通路へと向かった。

 右の通路は大して敵が出てこず、出てきても俺だけで対処出来るような数しか出てこなかった。ゴロウ達は大量に遭遇しているようでかなりのスピードで経験値が貯まっているようだ。ん?何で分かれてるのに分かったか?パーティメンバーなら経験値、レベルなどの一部表記が自動で表示される。それを見ただけなんだよ。あ、でも面白い表記があって、なんか親密度とかあるんだよね。これは今回のアップデートで追加されたらしくって、この親密度が一定以上になるとゲーム内での結婚や義理の兄弟姉妹になったり出来るようになるらしい。ただ、なれるかどうかは本人同士で確認しないといけないから一部のゲームのように無理矢理くっつく、なんてことは出来ない。ま、そんなにしつこかったら嫌われるだろうからそんなことはないか。ちなみに、結婚や義兄弟の契りみたいなものはプレイヤー同士ではなく、NPCとも可能らしく、女性エルフに求婚してる男性プレイヤーもいるとかなんとか。
 それは置いておくとして、こっちは未だに五匹以上の団体が来ないんだよな。ゴロウ達の方は普通に出てそうだけど。ていうか、こっちってよく考えたら門?の方じゃないか?確か最初の十字路のところで柱が左にあったから……うん、そうだ。ま、機巧騎士に会いに行くのもいいかな。メイも気づいたのか「こちらはあそこに着くんでしたっけ~?」と言っている。
 それから数分後、やっぱり門?を見つけた。メイとシノンに確認を取ってから入る。
「汝ら…と、耀一殿か。どうしたのだ?」
「ああ。こっちに来たから寄っとこうかみたいな感じさ」
機巧騎士はどこかがっかりしながら「そうか」と言っている。何をがっかりしてるんだろうか。ていうか、機巧騎士に性別は無いだろう…多分。だからそんなはずはないよな。
「ついでだし、少し稽古でも、と思ったんだが、どうかな?」
「よかろう。久しぶりに本気で闘いたいからな。では、少し待って欲しい」
機巧騎士がそういうのでこちらはOKを出し、待つ。その間に、メイとシノンの二人と作戦を立てる。
「メイは戦ったことがあるからわかると思うが、普通のボスなんかより厄介なやつだ。知能が高いからな。気を付けないと弱い部分から突いてくる可能性がある。特にシノンは狙われても大丈夫なように立ち回ってくれ」
テイマーは基本ペット依存のため、自身の能力はあまり高くない。ただ、テイマー限定でペットと融合?するスキルがあるらしく、それを使用するとプレイヤー能力+ペット能力に+αで能力値が上昇する。
【了解。ミーがいれば大丈夫だとは思うけれど、注意しておく】
「さて。基本は俺が前に出る。メイは支援魔法をかけてくれ。火力としてはミーちゃんが出ることになるが、それでいいか?」
この言葉に二人とも頷き、作戦会議は終了した。機巧騎士はそれから三分後に戻ってきた。さあ、始まるな。
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