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番外編シリーズ
番外編~グラッセ&鈴~
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初めまして。かな。私はグラッセ。年は三十代前半。鈴達とともにトッププレイヤーの一角に名を連ねている。話は耀一君の家に泊まってからおよそ一週間後のことだ。私はいつも通り仕事に行ってから帰ってきたところだった。フリー・ライフにログインすると、鈴が既にログインしていた。早速罵倒の嵐。何をしたのかさっぱり覚えていない。耀一君と洞窟に行ってから毎日だ。ログインしなかったら殴り込む!だなんて言われたらログインするしかない。しかも私の予想なのだが、鈴は隣の部屋に住んでいる女性の可能性がある。ゴキブリが洞窟の奥にいたとき物凄い悲鳴が聞こえたからな。しかも、「ゲームの中のボスが気持ち悪い」だなんて言っていた。もし隣の人なら本当に殴り込みに来てしまう。しかも彼女は私がフリー・ライフをやっていることを知っていてキャラも見せたことがある。確実に隣の晩御飯に突っ込んでくる(実際に食べに来るわけではないが)。鈴が隣の女性なら終わりだ。
さて、話を戻そう。ログインすると早速罵倒されて、仲間のランスが慰めに来る。実際はそこまで辛くはないが、慰められるとやはりくる。この日はとある渓谷に来ていた。ある程度探索していると鈴が「少しリアルの方で出てくる」と言い、私はランスとともに待っていることになった。その時だ。隣の部屋の玄関のドアが開いた。私は偶然を装い、外に出てみた。
「やあ、鈴子さん。珍しいですね」
彼女の方は私がグラッセだと知っているので驚いたようだ。慌てた様子で「あ、道永さん。どうしたんですか?」と聞いてきた。私の方も魔が指したのか「やっぱり鈴子さんってフリー・ライフの鈴ですか?」だなんて言ってしまったのだ。しかも彼女は子嘘がばれてしまうと途端に口が回らなくなる。今回もそうなっていたので、私の予想は当たっていたようだ。どうせなら外れていて欲しかったところだが…
「あ、え!?な、何を仰っているのですか?わ、私は鈴ではないですよ、鈴です」
全くもって意味のわからないことを言っている。鈴ではなく鈴?フリー・ライフでは同名プレイヤーが出ないように徹底されている。つまり彼女は鈴。
その後何も無かったかのように戻ると、「グラッセ、そこに座りなさい」などと言い出した。恐らく座ったら半殺しにされるだろう。しかし、今までの癖か命令されるとその通りにしてしまう。元自衛官や警察官なんかはこれには抗えない。もちろん踏まれて蹴られて罵倒された。しかも「グラッセ、貴方の家に殴り込みに行きます」なんて言い出した。そして…リアルで来客を知らせるチャイムが鳴る。恐る恐る見てみると隣に住んでる鈴子(鈴)さん。「殴り込みに来ました」なんて言っている。私は思わず謝っていた。ずっと謝っていると哀れに思ったのか「殴ったりしませんから」と言い出した。私は安心し、最後に一回謝った。鈴子さんから代わりに色々と相談を聞いてほしいと言われ、二つ返事で引き受けた。話は恋愛関係だったので、苦戦したが。
その後、鈴子さんはめでたく相手と実り、ゴールイン。
こうして私の最近起こった珍問題は解決?した。鈴子さんはスピード結婚だったが、相手は昔から知っていて、しかもすぐ近くに住んでいる人だったので問題は無いだろう。良かった良かった。まぁ、言ってしまうと結婚相手とは隣に住んでる私だったのだがな…。いつの間にか好きになっていたらしい。ちなみに昔から知っているというのは彼女とは中学三年からの付き合いだからだ。人生というのはどう転がるかわからんものだ…
さて、話を戻そう。ログインすると早速罵倒されて、仲間のランスが慰めに来る。実際はそこまで辛くはないが、慰められるとやはりくる。この日はとある渓谷に来ていた。ある程度探索していると鈴が「少しリアルの方で出てくる」と言い、私はランスとともに待っていることになった。その時だ。隣の部屋の玄関のドアが開いた。私は偶然を装い、外に出てみた。
「やあ、鈴子さん。珍しいですね」
彼女の方は私がグラッセだと知っているので驚いたようだ。慌てた様子で「あ、道永さん。どうしたんですか?」と聞いてきた。私の方も魔が指したのか「やっぱり鈴子さんってフリー・ライフの鈴ですか?」だなんて言ってしまったのだ。しかも彼女は子嘘がばれてしまうと途端に口が回らなくなる。今回もそうなっていたので、私の予想は当たっていたようだ。どうせなら外れていて欲しかったところだが…
「あ、え!?な、何を仰っているのですか?わ、私は鈴ではないですよ、鈴です」
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