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常世郷 3
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小男の後ろをついて歩き出した真也だったが、胸の内は全く落ち着かない。
都古の手の触れている場所だけが、酷く熱く脈を打っている。
布越しに伝わるその甘い熱は、真也を戸惑わせていた。
「真也?大丈夫か。」
真也の動揺を感じ、都古が声をかける。
ピクリと指先を震わせ、真也は一つ深く息をついた。
はしゃぎそうになる心臓を、どうやら少しばかり落ち着かせることに成功し、真也は傍らの都古に、努めて明るい視線を送る。
「平気。こんな場所、見た事も聞いたこともなかったから、驚いたんだ。ちょっと集中してただけだよ。ぼけっとしてて転んだりしたらカッコ悪すぎるし。それに、それじゃ・・・・・・ない。」
その時。
真也の言葉に被さるように、屋台の一つからひときわ大きな歓声が上がる。
「それに・・・なんて?」
都古が聞きなおすと、真也は都古の耳元に口を寄せた。
「それじゃお前を、守れない。」
都古の耳の先が燃えるように赤く染まっているのは、提灯の灯りのせいばかりではないだろう。
そんな二人の様子を面白そうに見つめていた勝は、光弘をぐっと引き寄せた。
光弘の肩のうえで、癒が切なく瞳を揺らす。
勝は苦く笑い、そんな癒の頭を酷く優しい手つきで撫でてやった。
「そんな顔するなって、癒。一緒にいてもいいだろ?俺だけ独りにしないでよ。寂しくなっちゃうじゃないか。」
勝の言葉に、癒の瞳がしっとりとした不思議な色を纏う。
ふわふわの小さな頭を、大きな勝の掌に一度だけグイッと強く摺り寄せると、癒は特に何を言うわけもなく、そのまま光弘の肩の上で丸くなってしまった。
勝はクスリと小さく笑う。
「サンキュ。癒。」
こうして、はぐれてしまわないよう、なんとなく二人ずつ組みになった一行は、中央を真っすぐ貫くように伸びた通りを、小男について歩き出した。
間もなくあることに気づいた蒼が、仮面越しに男に尋ねる。
「提灯の下に黒い飾り布を下げてあるね。なにか意味があるのかな。」
その言葉で真也たちも、はたと気づく。
ここの情景は、石段通りのものと酷似しているのだが、軒下につるされた煌びやかな提灯の下には黒い布が上品にはためいているのだ。
小男は蒼の言葉に嬉し気に目を細める。
「お気づきになりましたか。・・・これは我らにとっては護符のようなもの。ここ常世郷を我らにお与えくださった方への忠誠の証でもあります。」
光弘の肩の上で、癒の瞳がわずかに赤くきらめいた。
都古の手の触れている場所だけが、酷く熱く脈を打っている。
布越しに伝わるその甘い熱は、真也を戸惑わせていた。
「真也?大丈夫か。」
真也の動揺を感じ、都古が声をかける。
ピクリと指先を震わせ、真也は一つ深く息をついた。
はしゃぎそうになる心臓を、どうやら少しばかり落ち着かせることに成功し、真也は傍らの都古に、努めて明るい視線を送る。
「平気。こんな場所、見た事も聞いたこともなかったから、驚いたんだ。ちょっと集中してただけだよ。ぼけっとしてて転んだりしたらカッコ悪すぎるし。それに、それじゃ・・・・・・ない。」
その時。
真也の言葉に被さるように、屋台の一つからひときわ大きな歓声が上がる。
「それに・・・なんて?」
都古が聞きなおすと、真也は都古の耳元に口を寄せた。
「それじゃお前を、守れない。」
都古の耳の先が燃えるように赤く染まっているのは、提灯の灯りのせいばかりではないだろう。
そんな二人の様子を面白そうに見つめていた勝は、光弘をぐっと引き寄せた。
光弘の肩のうえで、癒が切なく瞳を揺らす。
勝は苦く笑い、そんな癒の頭を酷く優しい手つきで撫でてやった。
「そんな顔するなって、癒。一緒にいてもいいだろ?俺だけ独りにしないでよ。寂しくなっちゃうじゃないか。」
勝の言葉に、癒の瞳がしっとりとした不思議な色を纏う。
ふわふわの小さな頭を、大きな勝の掌に一度だけグイッと強く摺り寄せると、癒は特に何を言うわけもなく、そのまま光弘の肩の上で丸くなってしまった。
勝はクスリと小さく笑う。
「サンキュ。癒。」
こうして、はぐれてしまわないよう、なんとなく二人ずつ組みになった一行は、中央を真っすぐ貫くように伸びた通りを、小男について歩き出した。
間もなくあることに気づいた蒼が、仮面越しに男に尋ねる。
「提灯の下に黒い飾り布を下げてあるね。なにか意味があるのかな。」
その言葉で真也たちも、はたと気づく。
ここの情景は、石段通りのものと酷似しているのだが、軒下につるされた煌びやかな提灯の下には黒い布が上品にはためいているのだ。
小男は蒼の言葉に嬉し気に目を細める。
「お気づきになりましたか。・・・これは我らにとっては護符のようなもの。ここ常世郷を我らにお与えくださった方への忠誠の証でもあります。」
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