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誘導 3
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白妙は目を伏せ、頭を下げた。
「・・・すまない。全ては私の責任だ。うかつにも蟲をいれられ、操られていたばかりか、こちらの情報まで漏らしていたなど・・・・・・。」
「やめろよ。ボクはそういうのは好きじゃない。・・・それに、ボクが君に考えて欲しいのは、そこじゃない。・・・黒のことさ。」
白妙の言葉に、蒼は面倒くさそうに首を横に振る。
蒼の妖鬼は面倒な話を好まない。
彼のいう面倒な話とは、過去の過ちをあれこれ上げ連ね責め立てたり、いつまでもこねくりまわし、当時のあらをほじくり返すことだ。
自らが負うべき責任は背負う。
だがそれ以外の過去は蒼にとって過ぎた情報のひとつでしかない。
体裁を保つため、過去の情報という無機物を整える暇と力があるのなら、たとえ無様でも望むものの為に現在をめいいっぱい使って思い切りあがくほうが、よほどせいせいすると考えているのだ。
「なぁ・・・。彼呼迷軌という場所は、ここに害をなすものや、邪な想いを抱くものの侵入を許さないんじゃなかったのか。」
突然の問いかけに、久遠は眉間にしわをよせ口を開いた。
「・・・蒼。お前、何が言いたい。」
「ボク?・・・ボクの言いたいこと・・・いや・・・聞きたいことは、一つだけだよ。・・・・・・黒がここへ来た時、奴はここへ無理やり侵入してきたのかどうかってことさ。ボクと海神には、黒は侵入者のようには見えたかったからね。」
蒼の言葉に、白妙はぴくりと身を震わせた。
「君たちは彼呼迷軌と深く繋がっているんだ。ボクや海神に伝わらない警告なんかも、彼呼迷軌から届くんじゃないかと思ってさ。・・・・・・で?どうなんだ。」
久遠と翡翠はようやく、蒼の言いたいことを理解していた。
「黒の妖鬼が、本当に白妙の思うような邪な存在であるなら、彼呼迷軌へ入ることなど到底かなわなかったはず・・・彼がここへたどり着いた意味を考えてみろ」と、蒼は遠回しにそう言っているのだ。
白妙の剣幕と、黒の妖鬼のあまりにも異質な気配に動揺し、今まですっかり見落としていたが、根本的な部分が抜け落ちていた。
久遠と翡翠は情けなさに、返す言葉が見つからない。
「なぁ。君たちは本当に気づいていないのか?・・・それとも、気づかないふりをしているだけ?」
蒼と海神は、黒を目にした瞬間、その違和感を感じていた。
だからあえて、棘の入った言葉で黒を煽り、彼の反応を確かめていたのだ。
黒は蒼と海神の心無い挑発にほんのわずかな苛立ちをみせることすらなく、あきれるほど一途に、光弘の身を案じているだけだった。
ひとつ、海神と蒼にとって誤算だったのは、黒を逆上させるためにあえてぶつけた彼らの言葉は、どうやら黒を酷く傷つけてしまったように見えたことだ。
そのことに海神は少なからず心を傷めていた。
「・・・ボクには関係のないことだから、余計なことを言うつもりはなかったけど。」
蒼は困ったような表情をして、腕の中の海神を見つめた。
「白妙。・・・君は黒をこのまま呪い続けるつもりなのか。」
「・・・すまない。全ては私の責任だ。うかつにも蟲をいれられ、操られていたばかりか、こちらの情報まで漏らしていたなど・・・・・・。」
「やめろよ。ボクはそういうのは好きじゃない。・・・それに、ボクが君に考えて欲しいのは、そこじゃない。・・・黒のことさ。」
白妙の言葉に、蒼は面倒くさそうに首を横に振る。
蒼の妖鬼は面倒な話を好まない。
彼のいう面倒な話とは、過去の過ちをあれこれ上げ連ね責め立てたり、いつまでもこねくりまわし、当時のあらをほじくり返すことだ。
自らが負うべき責任は背負う。
だがそれ以外の過去は蒼にとって過ぎた情報のひとつでしかない。
体裁を保つため、過去の情報という無機物を整える暇と力があるのなら、たとえ無様でも望むものの為に現在をめいいっぱい使って思い切りあがくほうが、よほどせいせいすると考えているのだ。
「なぁ・・・。彼呼迷軌という場所は、ここに害をなすものや、邪な想いを抱くものの侵入を許さないんじゃなかったのか。」
突然の問いかけに、久遠は眉間にしわをよせ口を開いた。
「・・・蒼。お前、何が言いたい。」
「ボク?・・・ボクの言いたいこと・・・いや・・・聞きたいことは、一つだけだよ。・・・・・・黒がここへ来た時、奴はここへ無理やり侵入してきたのかどうかってことさ。ボクと海神には、黒は侵入者のようには見えたかったからね。」
蒼の言葉に、白妙はぴくりと身を震わせた。
「君たちは彼呼迷軌と深く繋がっているんだ。ボクや海神に伝わらない警告なんかも、彼呼迷軌から届くんじゃないかと思ってさ。・・・・・・で?どうなんだ。」
久遠と翡翠はようやく、蒼の言いたいことを理解していた。
「黒の妖鬼が、本当に白妙の思うような邪な存在であるなら、彼呼迷軌へ入ることなど到底かなわなかったはず・・・彼がここへたどり着いた意味を考えてみろ」と、蒼は遠回しにそう言っているのだ。
白妙の剣幕と、黒の妖鬼のあまりにも異質な気配に動揺し、今まですっかり見落としていたが、根本的な部分が抜け落ちていた。
久遠と翡翠は情けなさに、返す言葉が見つからない。
「なぁ。君たちは本当に気づいていないのか?・・・それとも、気づかないふりをしているだけ?」
蒼と海神は、黒を目にした瞬間、その違和感を感じていた。
だからあえて、棘の入った言葉で黒を煽り、彼の反応を確かめていたのだ。
黒は蒼と海神の心無い挑発にほんのわずかな苛立ちをみせることすらなく、あきれるほど一途に、光弘の身を案じているだけだった。
ひとつ、海神と蒼にとって誤算だったのは、黒を逆上させるためにあえてぶつけた彼らの言葉は、どうやら黒を酷く傷つけてしまったように見えたことだ。
そのことに海神は少なからず心を傷めていた。
「・・・ボクには関係のないことだから、余計なことを言うつもりはなかったけど。」
蒼は困ったような表情をして、腕の中の海神を見つめた。
「白妙。・・・君は黒をこのまま呪い続けるつもりなのか。」
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