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願望 6
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「すまない。翡翠の前で口にすべきことではなかった・・・。」
海神は珍しく言い淀むと、眉間にしわをよせ、視線をそらしてしまった。
「・・・とにかく。子が欲しいのならば翡翠はその間、不老不死の加護を外れる必要があるということを、念頭においておけ。」
「海神。・・・だとすれば、私もその間は、共に時をとどめず過ごしていたい。翡翠と同じ時の流れを生きたいのだ。」
久遠の言葉に、海神は嬉しそうに目を細める。
久遠は難しい顔をして腕を組むと、小さく息をついた。
「・・・だが、まだその時ではないと思う。・・・今の歳で時を止め、お前の元で鍛錬を続けたい。私の力はお前の足元にも及んでいない、このままでは力になるどころか、枷にしかなれないのだ。」
「だが、それでは・・・」
「一度止めてしまった時は、もう戻すことはできないのか?」
久遠の問いに、白妙がニヤリと笑う。
「いや。若返ることは叶わないが、止めていた時を再び動かすことはできる。」
「ならば、子を持つのは、私がお前たちの友なのだと胸を張れるようになってからだ。」
そこまで話をつけ、久遠は苦く笑った。
「・・・だが、祝言の話となれば話は別。・・・初めに言うべき一番大切なことが後回しになってしまったな・・・。」
久遠は呆然とした表情で立ち尽くしている翡翠に向き直ると、柔らかく微笑んだ。
「・・・・・・翡翠。すまなかった。あれから大分・・・時が過ぎてしまった。」
「・・・久遠。」
「翡翠。お前と・・・夫婦になりたい。」
久遠は袂から美しい翡翠の玉をあしらった銀の首飾りを取り出し、彼女の首にかけた。
「幼いころからずっとだ。・・・・お前のことが・・・なによりも愛おしくて、たまらない。」
真っすぐに自分を見つめる澄んだ久遠の瞳を、翡翠は潤んだ目で見返すと、はっきりとうなずいた。
久遠はたちまち瞳を熱く潤ませ、白妙と海神がいることなどすっかり頭の中から消え去ってしまったのか、もはや耐えきれない様子で、翡翠の形の良い桜色の唇にすかさず口づけた。
初めて重ねた翡翠の唇は、しっとりと柔らかく・・・熱を持っていて・・・。
久遠は焼けそうなほど熱を帯びた翡翠のうなじを、強く引き寄せる。
首を傾け、彼女のためらいがちに薄く開いた唇をこじあけながら、久遠は温かい彼女の口内に、深く甘く舌を絡ませていった・・・・・・。
「久遠といい、海神といい。ここの男どもは全く、恥じらうということを知らん。・・・見ているこちらの顔に熱が上る。」
白妙は苦笑しながらぐいと海神の袖を引いた。
冷たい表情に恥じらいの色を見せている彼の視線を、睦まじく抱きしめ合っている二人の姿から強引にそらしてやると、白妙は幸せそうに笑った。
海神は珍しく言い淀むと、眉間にしわをよせ、視線をそらしてしまった。
「・・・とにかく。子が欲しいのならば翡翠はその間、不老不死の加護を外れる必要があるということを、念頭においておけ。」
「海神。・・・だとすれば、私もその間は、共に時をとどめず過ごしていたい。翡翠と同じ時の流れを生きたいのだ。」
久遠の言葉に、海神は嬉しそうに目を細める。
久遠は難しい顔をして腕を組むと、小さく息をついた。
「・・・だが、まだその時ではないと思う。・・・今の歳で時を止め、お前の元で鍛錬を続けたい。私の力はお前の足元にも及んでいない、このままでは力になるどころか、枷にしかなれないのだ。」
「だが、それでは・・・」
「一度止めてしまった時は、もう戻すことはできないのか?」
久遠の問いに、白妙がニヤリと笑う。
「いや。若返ることは叶わないが、止めていた時を再び動かすことはできる。」
「ならば、子を持つのは、私がお前たちの友なのだと胸を張れるようになってからだ。」
そこまで話をつけ、久遠は苦く笑った。
「・・・だが、祝言の話となれば話は別。・・・初めに言うべき一番大切なことが後回しになってしまったな・・・。」
久遠は呆然とした表情で立ち尽くしている翡翠に向き直ると、柔らかく微笑んだ。
「・・・・・・翡翠。すまなかった。あれから大分・・・時が過ぎてしまった。」
「・・・久遠。」
「翡翠。お前と・・・夫婦になりたい。」
久遠は袂から美しい翡翠の玉をあしらった銀の首飾りを取り出し、彼女の首にかけた。
「幼いころからずっとだ。・・・・お前のことが・・・なによりも愛おしくて、たまらない。」
真っすぐに自分を見つめる澄んだ久遠の瞳を、翡翠は潤んだ目で見返すと、はっきりとうなずいた。
久遠はたちまち瞳を熱く潤ませ、白妙と海神がいることなどすっかり頭の中から消え去ってしまったのか、もはや耐えきれない様子で、翡翠の形の良い桜色の唇にすかさず口づけた。
初めて重ねた翡翠の唇は、しっとりと柔らかく・・・熱を持っていて・・・。
久遠は焼けそうなほど熱を帯びた翡翠のうなじを、強く引き寄せる。
首を傾け、彼女のためらいがちに薄く開いた唇をこじあけながら、久遠は温かい彼女の口内に、深く甘く舌を絡ませていった・・・・・・。
「久遠といい、海神といい。ここの男どもは全く、恥じらうということを知らん。・・・見ているこちらの顔に熱が上る。」
白妙は苦笑しながらぐいと海神の袖を引いた。
冷たい表情に恥じらいの色を見せている彼の視線を、睦まじく抱きしめ合っている二人の姿から強引にそらしてやると、白妙は幸せそうに笑った。
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