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変化 2
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海神が水神殿に暮らすようになって間もないころの話だ・・・・・。
離れて住まうようになっても、海神は日に一度は必ず白妙の元を訪れていた。
その日・・・・・。
いつものように彼呼迷軌を訪れた海神の口から、なんの前触れもなく、聞きなれない言葉が飛び出した。
「白妙・・・・・。私は、お前のことが好きだ。」
海神の真剣な声音に、つかの間言葉につまってしまったが、白妙はさほど動揺することもなく、さらりと答えを返した。
「ありがとう。・・・・私もお前を、愛おしく思っているよ。」
そう言っていつものように彼の頭を撫でようと伸ばした白妙の手を、海神は強くつかんだ。
生まれながらに妖力の高い海神だったが、力の強さもまた、他に類を見ないほど強かった。
掴まれた腕を動かそうにも、岩の隙間に手を差し込んでいるのではないかというほどの固さで動きを封じられ、白妙にはどうすることもできない。
海神をみれば、今まで見たことのない張り詰めた表情で、瞳を熱くギラつかせ、腕を掴んだまま、真っすぐ白妙の瞳を射抜いてくる。
「白妙。・・・・私が言っているのはそういう意味のことではない。つがいとして生きていくことを望んでいるという意味だ。」
突然ぶつけられた慕情の言葉に、白妙はついに動揺した・・・・・。
蒼の元から神妖界へ、幼い海神を連れ帰ったころ。
海神は、それまで洞窟で過ごした日々の思い出を、毎日のように白妙と話したがっていた。
そしてそのたびに、自分の贈った組紐はどうしたのだと確認してきたのだ。
もちろん、思い出も組紐も白妙が持っているわけがない。
思い出については「昔を語るより、今すべきことに時を割くべきだ」と言ってはぐらかし、組紐のことは「無くさぬよう、信頼できる者に預けてある」と口から出まかせを言ってごまかした。
だが、何度そう言いきかせてみても、しばらく経つとまた海神は、耐えきれないという様子で身体を絡みつかせてきては、「もう、あの時のように遊んではくれないのか」とせがんでくる。
誰にも懐かない海神が、自分にだけみせてくれる甘えた姿が嬉しくて、そのまま好きにさせてきたが、白妙は同時にたまらなく寂しくも思っていた・・・・・。
海神が求めている『白妙』は、私ではない・・・・・。
海神が自分に甘える時・・・・・。
必ず、蒼からもらった組紐をしまってある懐に、大事そうに手をあてていることに、白妙は気づいていたのだ。
そんなこととは夢にも思わない海神は、それからというものの、顔を合わせれば白妙に甘い言葉を紡ぎ、熱い視線を投げてくるようになった。
恥じらうこともなく、ただただ真っすぐぶつけられる不器用な愛の言葉に、白妙は心底困り果ててしまっていた。
「恨むぞ・・・・・蒼。」
双凶と称され恐れられる存在となった蒼という妖鬼に、白妙は今更ながら小さく恨み言を吐いた。
離れて住まうようになっても、海神は日に一度は必ず白妙の元を訪れていた。
その日・・・・・。
いつものように彼呼迷軌を訪れた海神の口から、なんの前触れもなく、聞きなれない言葉が飛び出した。
「白妙・・・・・。私は、お前のことが好きだ。」
海神の真剣な声音に、つかの間言葉につまってしまったが、白妙はさほど動揺することもなく、さらりと答えを返した。
「ありがとう。・・・・私もお前を、愛おしく思っているよ。」
そう言っていつものように彼の頭を撫でようと伸ばした白妙の手を、海神は強くつかんだ。
生まれながらに妖力の高い海神だったが、力の強さもまた、他に類を見ないほど強かった。
掴まれた腕を動かそうにも、岩の隙間に手を差し込んでいるのではないかというほどの固さで動きを封じられ、白妙にはどうすることもできない。
海神をみれば、今まで見たことのない張り詰めた表情で、瞳を熱くギラつかせ、腕を掴んだまま、真っすぐ白妙の瞳を射抜いてくる。
「白妙。・・・・私が言っているのはそういう意味のことではない。つがいとして生きていくことを望んでいるという意味だ。」
突然ぶつけられた慕情の言葉に、白妙はついに動揺した・・・・・。
蒼の元から神妖界へ、幼い海神を連れ帰ったころ。
海神は、それまで洞窟で過ごした日々の思い出を、毎日のように白妙と話したがっていた。
そしてそのたびに、自分の贈った組紐はどうしたのだと確認してきたのだ。
もちろん、思い出も組紐も白妙が持っているわけがない。
思い出については「昔を語るより、今すべきことに時を割くべきだ」と言ってはぐらかし、組紐のことは「無くさぬよう、信頼できる者に預けてある」と口から出まかせを言ってごまかした。
だが、何度そう言いきかせてみても、しばらく経つとまた海神は、耐えきれないという様子で身体を絡みつかせてきては、「もう、あの時のように遊んではくれないのか」とせがんでくる。
誰にも懐かない海神が、自分にだけみせてくれる甘えた姿が嬉しくて、そのまま好きにさせてきたが、白妙は同時にたまらなく寂しくも思っていた・・・・・。
海神が求めている『白妙』は、私ではない・・・・・。
海神が自分に甘える時・・・・・。
必ず、蒼からもらった組紐をしまってある懐に、大事そうに手をあてていることに、白妙は気づいていたのだ。
そんなこととは夢にも思わない海神は、それからというものの、顔を合わせれば白妙に甘い言葉を紡ぎ、熱い視線を投げてくるようになった。
恥じらうこともなく、ただただ真っすぐぶつけられる不器用な愛の言葉に、白妙は心底困り果ててしまっていた。
「恨むぞ・・・・・蒼。」
双凶と称され恐れられる存在となった蒼という妖鬼に、白妙は今更ながら小さく恨み言を吐いた。
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