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屋台散策 6
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「この旨さは極悪すぎだろ。」
「だな・・・・・。」
あまりのおいしさに衝撃を受けた俺と勝がそんな会話を交わしていると、光弘がせっせと何かを網に乗せたり、ひっくり返したり、うちわでパタパタあおいだりしている。
「光弘、なにしてんだ?」
「・・・ハマグリ。と、魚?焼いてるみたいだ。」
光弘が「これこれ。」といった感じで指さした先には、魚や貝がどっさり用意されていた。
いつの間にかコップに入った冷たいお茶と、炊きたてのご飯まで配られている。
「2人がエビに心を奪われている間に、光弘と私で焼いてたんだ。そろそろハマグリが口を開けそうだぞ。」
都古の言葉に合わせるかのように、ハマグリがパックリと大きく口を開いた。
光弘がこまめにひっくり返していたらしく、ちゃんと身が下の貝にくっついている。
一緒に焼いている鮭やブリから滴り落ちる脂が炭の上に当たり、ジュッジュッと煙を上げていた。
「いやだわ!これまた、めちゃくちゃ美味しそうなご馳走がきたわ。真也さん、どうしましょ!米よ、米まであるじゃないのぉ。」
「ほんとね!勝さん、どうしましょ・・・・・って。・・・・やめれ、勝。」
俺は勝のおふざけモードを笑って流し、光弘と都古の手伝い・・・・といっても、皿を用意するくらいだが・・・・を始めた。
待ちきれないとばかりに、炊きたてのツヤツヤしたご飯に、こんがり焼きたての貝や魚を乗せて、みんなでかきこむ。
ハマグリの貝に残った汁をご飯にかけると、だしのうまみで箸が止まらなくなりそうに美味い。
「うんめぇ!光弘、焼きの天才じゃね?飯が無限で食えそうだわ。それに、この飯もすげえうまいんだけど!」
「そうであろう。米はこの国の宝。その味の神髄は水と言っても過言ではない。我ら水妖が手塩にかけて育てた米。褒めてもらえたこと、素直に嬉しい。皆も喜ぶ。」
勝の言葉に、みずはが興奮気味に答えた。
勝が気づいているか怪しいが、一緒に用意されていたお茶も凄くうまい。
甘味と旨味が強いんだ。
変な渋さもなく、お茶の心地良い薫りだけが鼻に抜けていく。
それに、最初にもらった飲み物がいまだに冷たく冷えたままなのも不思議だった。
俺がそのことを尋ねると、みずは驚いたようだった。
「まさか、人の子が気づくとは思わなんだ・・・・・。飲み物もこの茶も、中身が冷たいままであれるよう、うすらいという神妖が術を施してくれたのだ。茶もうすらいに特別な氷を用意してもらい、湯や水ではなく氷で入れたもの。よく気づいたな。」
俺の家では一日に何度もお茶を飲むからな。
ここまで味が違うとやっぱり気になるんだ。
最後にだしの効いた海鮮茶漬けまでご馳走になり、美味い食事を心行くまで堪能した俺たちは、みずはに礼を言って外に出た。
暖簾をくぐり外に出た俺の耳に、後ろを歩く光弘へ、みずはが小声で礼を言っているのが聞こえてきた。
「光弘。さきほどは助かった。そなたがいなければ、取り返しのつかないことになっていた。心より礼を言う。」
暖簾のすきまから、光弘が困った顔をして首を横に振っているのが見えた。
「しかし、光弘。お前・・・・人とは思えぬほどに強いな。それに・・・・」
みずはが何か言いかけたところで、間の悪い男である勝が俺の横をすり抜け暖簾を押し上げた。
「 おーい。行かねーのかよ?」
みずはは、開きかけていた口を閉ざした。
「まあよい。私が言わずともすぐに知れるだろう。」
首をかしげる光弘を残し、みずはは外へ出てきてしまった。
最後に光弘が外に出ると、俺たちはもう一度、そろってみずはに礼を言った。
その言葉に、みずは花の蕾がほころぶような笑顔を見せると、パシャッという水の音と共に消えてしまった。
「また、のちほど会おう。」
驚く俺たちの耳に、みずはの愛らしい声だけが優しく響いた。
「だな・・・・・。」
あまりのおいしさに衝撃を受けた俺と勝がそんな会話を交わしていると、光弘がせっせと何かを網に乗せたり、ひっくり返したり、うちわでパタパタあおいだりしている。
「光弘、なにしてんだ?」
「・・・ハマグリ。と、魚?焼いてるみたいだ。」
光弘が「これこれ。」といった感じで指さした先には、魚や貝がどっさり用意されていた。
いつの間にかコップに入った冷たいお茶と、炊きたてのご飯まで配られている。
「2人がエビに心を奪われている間に、光弘と私で焼いてたんだ。そろそろハマグリが口を開けそうだぞ。」
都古の言葉に合わせるかのように、ハマグリがパックリと大きく口を開いた。
光弘がこまめにひっくり返していたらしく、ちゃんと身が下の貝にくっついている。
一緒に焼いている鮭やブリから滴り落ちる脂が炭の上に当たり、ジュッジュッと煙を上げていた。
「いやだわ!これまた、めちゃくちゃ美味しそうなご馳走がきたわ。真也さん、どうしましょ!米よ、米まであるじゃないのぉ。」
「ほんとね!勝さん、どうしましょ・・・・・って。・・・・やめれ、勝。」
俺は勝のおふざけモードを笑って流し、光弘と都古の手伝い・・・・といっても、皿を用意するくらいだが・・・・を始めた。
待ちきれないとばかりに、炊きたてのツヤツヤしたご飯に、こんがり焼きたての貝や魚を乗せて、みんなでかきこむ。
ハマグリの貝に残った汁をご飯にかけると、だしのうまみで箸が止まらなくなりそうに美味い。
「うんめぇ!光弘、焼きの天才じゃね?飯が無限で食えそうだわ。それに、この飯もすげえうまいんだけど!」
「そうであろう。米はこの国の宝。その味の神髄は水と言っても過言ではない。我ら水妖が手塩にかけて育てた米。褒めてもらえたこと、素直に嬉しい。皆も喜ぶ。」
勝の言葉に、みずはが興奮気味に答えた。
勝が気づいているか怪しいが、一緒に用意されていたお茶も凄くうまい。
甘味と旨味が強いんだ。
変な渋さもなく、お茶の心地良い薫りだけが鼻に抜けていく。
それに、最初にもらった飲み物がいまだに冷たく冷えたままなのも不思議だった。
俺がそのことを尋ねると、みずは驚いたようだった。
「まさか、人の子が気づくとは思わなんだ・・・・・。飲み物もこの茶も、中身が冷たいままであれるよう、うすらいという神妖が術を施してくれたのだ。茶もうすらいに特別な氷を用意してもらい、湯や水ではなく氷で入れたもの。よく気づいたな。」
俺の家では一日に何度もお茶を飲むからな。
ここまで味が違うとやっぱり気になるんだ。
最後にだしの効いた海鮮茶漬けまでご馳走になり、美味い食事を心行くまで堪能した俺たちは、みずはに礼を言って外に出た。
暖簾をくぐり外に出た俺の耳に、後ろを歩く光弘へ、みずはが小声で礼を言っているのが聞こえてきた。
「光弘。さきほどは助かった。そなたがいなければ、取り返しのつかないことになっていた。心より礼を言う。」
暖簾のすきまから、光弘が困った顔をして首を横に振っているのが見えた。
「しかし、光弘。お前・・・・人とは思えぬほどに強いな。それに・・・・」
みずはが何か言いかけたところで、間の悪い男である勝が俺の横をすり抜け暖簾を押し上げた。
「 おーい。行かねーのかよ?」
みずはは、開きかけていた口を閉ざした。
「まあよい。私が言わずともすぐに知れるだろう。」
首をかしげる光弘を残し、みずはは外へ出てきてしまった。
最後に光弘が外に出ると、俺たちはもう一度、そろってみずはに礼を言った。
その言葉に、みずは花の蕾がほころぶような笑顔を見せると、パシャッという水の音と共に消えてしまった。
「また、のちほど会おう。」
驚く俺たちの耳に、みずはの愛らしい声だけが優しく響いた。
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