双凶の妖鬼 蒼 ~再逢~

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ご苦労様、三毛 6 ※

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 「妖鬼が人の世界から姿を消した理由はこんなところだね」

 あおは腕をゆったりと組み、真っすぐに光弘みつひろの目を見つめた。

 「冥府での暮らしに不満がなければ、危険をおかしてまでわざわざ人の世へ出向く必要なんてない。人を食べると言ったって嗜好品のようなものだ。食べなくても死にはしないんだから、よほどの物好きでもなきゃ、そんな窮屈で危ない場所を住処に選ぶ者はいないだろう?」

 あおは腕をほどき、ごく真剣に自分の話に耳を傾けている光弘みつひろの柔らかな薄茶色の髪を手でくしゃくしゃに混ぜた。

 光弘みつひろはくすぐったそうに微笑み、首をすくめてうなずいている。

 「さ、夜も随分更けてしまった。今夜はもう休もう。そのお守りを下げていればここへの転移の術は自由に使える。家のことが心配なら、いつでも好きなように出入りしていい。何かあれば何でも三毛みけに言って」

 今にも噛みつかんばかりの鋭い視線を自分に向けているゆいをくすりと笑い、あお光弘みつひろから手を離すと海神わだつみを腕で包み込んだ。

 「無理はするなよ、光弘みつひろ。人は弱い。きみまで伏せることになれば、くろは今とは比べ物にならないほど酷い状態になってしまうだろうからね」

 言いながら、あおはゆっくりと扉を開け振り返る。

 「三毛みけ。後のことは全て君に任せた。頼むよ」

 三毛みけが深くうなずくのをとろける様な笑みで少し見つめてから、あお海神わだつみを連れ客室を後にした。

 落ち着いた様子で静かに扉を閉めたあおは、海神わだつみと一言も言葉を交わすことなく、強引に二人の寝室へと転移した。

 移動したのが寝室であると海神わだつみが確認する余裕すら与えず、寝台に乱暴に彼を押し倒し、薄く形の良い唇を深く奪う。

 あまりに強引な口づけに、海神わだつみあおの名を呼ぼうとしたが、熱にふさがれたその声は甘く鼻を抜け、より一層あおの欲情を煽っただけだった。

 「なぜ?」と問いかけたくてあおの胸を押した海神わだつみの両手も、しなやかなで力強い彼の腕に囚われ、あっけなく頭の上に押さえつけられてしまう。

 息をする間を与えないほど激しく口づけながら、あおは開いている方の手でするりと海神わだつみの衣を剥ぎ、熱を持った彼のものを前触れなく手の内へと握りこんだ。

 ひんやりと乾いた長い指で熱く昂った柱をやんわりと包み込まれ、海神わだつみはひくりと身をすくめた。

 「ねぇ。これはなに?」

 「あお・・・・・・」

 海神は恥ずかしさに耐え兼ね、あおの名を呼ぶのがやっとのようだ。
 首筋を瞬く間に桜色に染めあげながら、視線を伏せてしまった。

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