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宵闇との対峙 5
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瞬きをするほどの極々わずかな時間。
切り裂かれた闇から光がはらりとこぼれた。
小さなその光の口は、どうやら強固な守りと回復の力をまとっているようで、瞬く間に酷くきれいに塞がってしまう。
蒼と海神は目を細め、このうえなく厳しい視線をその一か所に向けた。
「海神・・・。」
「うん・・・。」
二人の声とほとんど重なるように、都古の掠れた声が真也を小さく呼ぶ。
「都古も、気づいているようだ。」
海神の言葉どおりだろう。
都古は驚愕と不安とで極めて混乱し、目を大きく見開いている。
今としては幸いといえよう。
真也には都古のこの悲痛をにじませた呼び声は届かなかったようで、研ぎ澄まされた意識を途切れさせることなく、不気味な腕から放たれた雷光のような一撃を、間一髪のところで受け切ることに成功していた。
癒は真也の力を信じていたのだろう。
欠片も動じる様子を見せないでいる。
真也が体勢を整えている間に、彼らをかばうようゆったりと腕の前に立ちふさがると、鋭く言い放った。
「真也・・・みーくんを連れて、ここを出ろ。すぐだ。」
「姉さんっ!」
光弘の悲鳴のような呼び声は鬼気迫るものがあり、彼女の言葉を強く咎めている。
その言葉の強さに、少女は泣いてしまいそうな切ない微笑みを浮かべた。
片ほうの手を柔らかく光弘の目の上に乗せ、そっと言葉を紡ぐ。
『おやすみ』
少女の言霊に憑かれ、光弘はあっけなく足元から崩れ落ちていく。
その身体をしっかりと・・・ひどく脆いものを包み込むかのように抱き止めると、少女は真也と勝に腕の中の彼を託した。
「黒の元へ、みーくんを戻したい。・・・この領域から出れば、自然に身体へと引き戻される。ここから、出してやって。」
あけすけに言ってしまえば、宵闇や怪しげな腕の圧倒的な存在感に身体を強張らせている少年たちが、これ以上この場にとどまれば、確実に足手まといになる。
だが微笑ましいことに、この少年たちは決して愚かな者ではなさそうだが、勇気に満ちた頑固者の集まりのようではある。
少女と海神と蒼の三人を無残にも置き去りにし、自分たちだけがこの危険極まりない場をすっきり後にしてしまうことなど、頭で理解はできても、彼らの活き活きとした清らかな心が納得できないであろうことは、あまりにも明らかである。
それがわかっているため、癒は光弘の意識を奪った。
彼自身の動きを奪うとともに、光弘を彼らに託すことによって真也たちがこの場を去るために非常に都合が良くなるよう、『道』を敷いてみせたのだ。
蒼はすっかり感心し、海神の耳元へ甘くささやいた。
切り裂かれた闇から光がはらりとこぼれた。
小さなその光の口は、どうやら強固な守りと回復の力をまとっているようで、瞬く間に酷くきれいに塞がってしまう。
蒼と海神は目を細め、このうえなく厳しい視線をその一か所に向けた。
「海神・・・。」
「うん・・・。」
二人の声とほとんど重なるように、都古の掠れた声が真也を小さく呼ぶ。
「都古も、気づいているようだ。」
海神の言葉どおりだろう。
都古は驚愕と不安とで極めて混乱し、目を大きく見開いている。
今としては幸いといえよう。
真也には都古のこの悲痛をにじませた呼び声は届かなかったようで、研ぎ澄まされた意識を途切れさせることなく、不気味な腕から放たれた雷光のような一撃を、間一髪のところで受け切ることに成功していた。
癒は真也の力を信じていたのだろう。
欠片も動じる様子を見せないでいる。
真也が体勢を整えている間に、彼らをかばうようゆったりと腕の前に立ちふさがると、鋭く言い放った。
「真也・・・みーくんを連れて、ここを出ろ。すぐだ。」
「姉さんっ!」
光弘の悲鳴のような呼び声は鬼気迫るものがあり、彼女の言葉を強く咎めている。
その言葉の強さに、少女は泣いてしまいそうな切ない微笑みを浮かべた。
片ほうの手を柔らかく光弘の目の上に乗せ、そっと言葉を紡ぐ。
『おやすみ』
少女の言霊に憑かれ、光弘はあっけなく足元から崩れ落ちていく。
その身体をしっかりと・・・ひどく脆いものを包み込むかのように抱き止めると、少女は真也と勝に腕の中の彼を託した。
「黒の元へ、みーくんを戻したい。・・・この領域から出れば、自然に身体へと引き戻される。ここから、出してやって。」
あけすけに言ってしまえば、宵闇や怪しげな腕の圧倒的な存在感に身体を強張らせている少年たちが、これ以上この場にとどまれば、確実に足手まといになる。
だが微笑ましいことに、この少年たちは決して愚かな者ではなさそうだが、勇気に満ちた頑固者の集まりのようではある。
少女と海神と蒼の三人を無残にも置き去りにし、自分たちだけがこの危険極まりない場をすっきり後にしてしまうことなど、頭で理解はできても、彼らの活き活きとした清らかな心が納得できないであろうことは、あまりにも明らかである。
それがわかっているため、癒は光弘の意識を奪った。
彼自身の動きを奪うとともに、光弘を彼らに託すことによって真也たちがこの場を去るために非常に都合が良くなるよう、『道』を敷いてみせたのだ。
蒼はすっかり感心し、海神の耳元へ甘くささやいた。
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