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宵闇の再来 2
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白妙の刀が宵闇の首を薙ぎ払う雷光となって一直線に走ると、宵闇はそれをかすめるように、わずかに身体をのけぞらせてかわす。
白妙の猛追は緩むことなく、縦横無尽に刃を走らせながら、宵闇の胸を目掛け鋭く突き入れ、すかさず手首を返すと、横一線に刃を走らせた。
宵闇は舞い踊っているようにさえ見える優雅な動きで、襲い来る全ての剣先を避け切ると、横一線に向かい来る最後の一撃を、自らの刀の鞘で受けた。
息のかかる距離でそのまましばらく競り合った末、お互い弾かれたように間合いをとる。
ゆっくりと闇色の刀を引き抜き、鞘を投げ捨てると、宵闇は眼光を鋭くした。
「お前・・・・本気か。」
この宵闇を野放しにはできない。
穢れ堕ちた神妖は、欲望に果てしなく忠実で、次々と貪欲に食らいつき、自ら留まることはできないのだ。
白妙には、分かっていた。
本来の宵闇であれば、こんな風に荒み切った悪夢のごとき現実を、絶対に求めたりはしないと・・・・。
宵闇は、自らの過ごした世界を決して見限ったりはしない。
あの優しかった宵闇を失った今、例え相手が穢れ堕ちた彼自身だとしても、自分が折れてしまうわけにはいかないのだ。
黒の妖鬼によって壊された宵闇の魂があげる悲痛な叫び声が、遠くから聴こえてくる気がした。
「私は、この世界を守らなければならない。・・・・お前は、殺し過ぎる。神妖界の守護として、私はお前を・・・祓う。」
「そうか・・・・。」
宵闇は、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「海神だけではない。・・・この世界も、お前の心を縛っているのだな。」
そう言って一気に遠間へ逃れ、その場を去ろうとする宵闇の腕を、白妙は鞭へと変形させた武器で、即座に絡め取った。
「どこへ行く。」
「この世界の生みの親である、命逢の大樹を破壊し、神妖どもを皆殺しにしてやる。もちろん、お前の大切な海神もだ。・・・そうなれば、もはやお前を縛るものは何もない。・・・・・お前は、俺を選ぶしかなくなる。」
白妙は、宵闇の答えに戦慄した。
「させない・・・・・。」
溢れそうになる涙をこらえながら、白妙は瞬時に武器を刀へと変形させ、覚悟を決めた。
そのまま宵闇を勢いよく引き寄せる。
白妙の腕の内に引き寄せられた宵闇は、驚愕して目を見開いた。
胸倉を強く掴み引き寄せる、白くなめらかな手。
唇に重ねられた・・・しっとりとした柔らかな温もり。
身の内を貫いていく、焼けるような激しい痛み・・・・。
力を失った指から抜け落ちた闇色の光を放つ刀が、足元へ落ち地に突き刺さった・・・・・。
白妙は、宵闇に重ねた唇を、ゆっくりと離した。
「宵闇・・・・私も、お前を死ぬほど愛しているのに。・・・・なぜ、こんなことになった。」
宵闇の腹に深々と突き刺された刀は背を突き抜けていた。
流れ出した彼の温もりが、柄を握る白妙の、雪のように白い手を、ひたひたとぬるく侵していく。
「白妙・・・・。やはり・・・・俺と共に逝っては、くれないんだな。」
「・・・・・すまない。私はまだ・・・」
「・・・いいよ。・・・・お前はきっと、それでいい。」
そう言って苦痛に顔を歪めながら浮かべられた宵闇の微笑みの中に、白妙は、以前の彼の欠片を見た。
内臓が打ち震えるほどの恐ろしさと苦しみに襲われ、白妙はこらえきれず、刀を引き抜こうと手に力を込める。
そんな白妙の震える両手に、宵闇は静かに自らの手を重ねる・・・・。
白妙はビクリと身体を震わせ、涙をのみ込みながら彼を見つめた。
白妙の猛追は緩むことなく、縦横無尽に刃を走らせながら、宵闇の胸を目掛け鋭く突き入れ、すかさず手首を返すと、横一線に刃を走らせた。
宵闇は舞い踊っているようにさえ見える優雅な動きで、襲い来る全ての剣先を避け切ると、横一線に向かい来る最後の一撃を、自らの刀の鞘で受けた。
息のかかる距離でそのまましばらく競り合った末、お互い弾かれたように間合いをとる。
ゆっくりと闇色の刀を引き抜き、鞘を投げ捨てると、宵闇は眼光を鋭くした。
「お前・・・・本気か。」
この宵闇を野放しにはできない。
穢れ堕ちた神妖は、欲望に果てしなく忠実で、次々と貪欲に食らいつき、自ら留まることはできないのだ。
白妙には、分かっていた。
本来の宵闇であれば、こんな風に荒み切った悪夢のごとき現実を、絶対に求めたりはしないと・・・・。
宵闇は、自らの過ごした世界を決して見限ったりはしない。
あの優しかった宵闇を失った今、例え相手が穢れ堕ちた彼自身だとしても、自分が折れてしまうわけにはいかないのだ。
黒の妖鬼によって壊された宵闇の魂があげる悲痛な叫び声が、遠くから聴こえてくる気がした。
「私は、この世界を守らなければならない。・・・・お前は、殺し過ぎる。神妖界の守護として、私はお前を・・・祓う。」
「そうか・・・・。」
宵闇は、ニヤリと嫌な笑みを浮かべた。
「海神だけではない。・・・この世界も、お前の心を縛っているのだな。」
そう言って一気に遠間へ逃れ、その場を去ろうとする宵闇の腕を、白妙は鞭へと変形させた武器で、即座に絡め取った。
「どこへ行く。」
「この世界の生みの親である、命逢の大樹を破壊し、神妖どもを皆殺しにしてやる。もちろん、お前の大切な海神もだ。・・・そうなれば、もはやお前を縛るものは何もない。・・・・・お前は、俺を選ぶしかなくなる。」
白妙は、宵闇の答えに戦慄した。
「させない・・・・・。」
溢れそうになる涙をこらえながら、白妙は瞬時に武器を刀へと変形させ、覚悟を決めた。
そのまま宵闇を勢いよく引き寄せる。
白妙の腕の内に引き寄せられた宵闇は、驚愕して目を見開いた。
胸倉を強く掴み引き寄せる、白くなめらかな手。
唇に重ねられた・・・しっとりとした柔らかな温もり。
身の内を貫いていく、焼けるような激しい痛み・・・・。
力を失った指から抜け落ちた闇色の光を放つ刀が、足元へ落ち地に突き刺さった・・・・・。
白妙は、宵闇に重ねた唇を、ゆっくりと離した。
「宵闇・・・・私も、お前を死ぬほど愛しているのに。・・・・なぜ、こんなことになった。」
宵闇の腹に深々と突き刺された刀は背を突き抜けていた。
流れ出した彼の温もりが、柄を握る白妙の、雪のように白い手を、ひたひたとぬるく侵していく。
「白妙・・・・。やはり・・・・俺と共に逝っては、くれないんだな。」
「・・・・・すまない。私はまだ・・・」
「・・・いいよ。・・・・お前はきっと、それでいい。」
そう言って苦痛に顔を歪めながら浮かべられた宵闇の微笑みの中に、白妙は、以前の彼の欠片を見た。
内臓が打ち震えるほどの恐ろしさと苦しみに襲われ、白妙はこらえきれず、刀を引き抜こうと手に力を込める。
そんな白妙の震える両手に、宵闇は静かに自らの手を重ねる・・・・。
白妙はビクリと身体を震わせ、涙をのみ込みながら彼を見つめた。
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