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繭 2
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繭の中は、空ではなかった・・・・・。
その中に納められていたものを目にした私は、今まで陥ったことがないほどのひどい混乱の中に放り込まれていた。
衣を震わせるほど強く鼓動が打つ。
破裂しそうな熱が身体の奥を渦巻いて、抑えられない・・・・。
名を欲しいと言っていたのに、結ばれたあの日以来、そのことを口にしなくなった蒼・・・・・。
時折、何か言いたげにこちらを見つめたり、開きかけた口を閉じ、苦しそうな笑顔をみせる蒼・・・・・。
心も身体もピタリと合わさり、この上なく満たされ結ばれていると感じるのに、そんな蒼の姿に、私は小さな不安をぬぐえずに過ごしていた。
問うても答えてくれないことは分かっている。
蒼は自分を飾らない・・・偽らない。
あけすけにいつだって思いついたまま、真実の言葉を自分に告げてくれる。
そんな蒼が口をつぐんでいるということは、どうあっても口に出す気がないということなのだ。
その答えが、この繭の中身なのだとしたら・・・・。
深く考えるほど、全てのことがスッキリとした形で、一つの真実へと繋がっていく。
私は蒼の優しさに、息が止まるほどの苦しさを覚えた。
**************************
温かな湯に沈められる感覚に、私は身を捩った。
「海神・・・・起きて。」
「・・・うん。」
頭上から包み込むように降ってくる蒼の甘い声に、私は薄く目を開いた。
「複製を作るのは、化身と違って精神力を異常なほど使う。君は今回、大分疲れているはずだ。無理はしないで。このまま眠ってしまっていいよ。・・・傍にいるから。」
「・・・うん。」
泥のような睡魔に襲われながら、それでも蒼に自分から触れたくて、私は力の入らない腕を彼のうなじに絡め、首をのけぞらせて唇を重ねた。
滝口から吐き出される温かな湯の音と、薄く立ち上る湯気が、弛緩した意識をさらに朦朧とさせていく。
今にも眠りに陥ってしまいそうな私に合わせてくれているのか、蒼はいつものように激しく口づけたりせず、ただ穏やかに受けている。
強烈な睡魔に引きずり込まれそうになりながら、私は力なく蒼の胸に身を預けると、そこにピタリと耳をつけ、彼の鼓動を聴いた。
規則的に響く力強い音に、心地よく耳を傾けていると、蒼が静かに口を開いた。
「ねぇ・・・。一つ、聞いてもいい?」
「・・・・うん。」
「君はさっき、なぜボクに・・・あんな嘘を?」
私は蒼の問いかけに、まどろみの中で手探りするように、答えを探した。
蒼が言っているのは、私が最初に果ててしまった時の事だろう。
あの時の私は、繭に納められているものの真実を知り、気が狂いそうな程、蒼に飢えていた・・・・。
「なぜ、だろう。・・・・不安・・・だったのかもしれない・・・。一人と、言われたのが・・・。・・・もう・・・・離さない・・・で欲し・・・く・・て」
自分の口から紡ぎ出される言葉の意味を理解している間もないほどの、重い眠りにのしかかられ、無理矢理意識を沈められていく中、私はきつく抱きしめてくる蒼を、満ち足りた幸せの中、遠く感じていた・・・・・。
その中に納められていたものを目にした私は、今まで陥ったことがないほどのひどい混乱の中に放り込まれていた。
衣を震わせるほど強く鼓動が打つ。
破裂しそうな熱が身体の奥を渦巻いて、抑えられない・・・・。
名を欲しいと言っていたのに、結ばれたあの日以来、そのことを口にしなくなった蒼・・・・・。
時折、何か言いたげにこちらを見つめたり、開きかけた口を閉じ、苦しそうな笑顔をみせる蒼・・・・・。
心も身体もピタリと合わさり、この上なく満たされ結ばれていると感じるのに、そんな蒼の姿に、私は小さな不安をぬぐえずに過ごしていた。
問うても答えてくれないことは分かっている。
蒼は自分を飾らない・・・偽らない。
あけすけにいつだって思いついたまま、真実の言葉を自分に告げてくれる。
そんな蒼が口をつぐんでいるということは、どうあっても口に出す気がないということなのだ。
その答えが、この繭の中身なのだとしたら・・・・。
深く考えるほど、全てのことがスッキリとした形で、一つの真実へと繋がっていく。
私は蒼の優しさに、息が止まるほどの苦しさを覚えた。
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温かな湯に沈められる感覚に、私は身を捩った。
「海神・・・・起きて。」
「・・・うん。」
頭上から包み込むように降ってくる蒼の甘い声に、私は薄く目を開いた。
「複製を作るのは、化身と違って精神力を異常なほど使う。君は今回、大分疲れているはずだ。無理はしないで。このまま眠ってしまっていいよ。・・・傍にいるから。」
「・・・うん。」
泥のような睡魔に襲われながら、それでも蒼に自分から触れたくて、私は力の入らない腕を彼のうなじに絡め、首をのけぞらせて唇を重ねた。
滝口から吐き出される温かな湯の音と、薄く立ち上る湯気が、弛緩した意識をさらに朦朧とさせていく。
今にも眠りに陥ってしまいそうな私に合わせてくれているのか、蒼はいつものように激しく口づけたりせず、ただ穏やかに受けている。
強烈な睡魔に引きずり込まれそうになりながら、私は力なく蒼の胸に身を預けると、そこにピタリと耳をつけ、彼の鼓動を聴いた。
規則的に響く力強い音に、心地よく耳を傾けていると、蒼が静かに口を開いた。
「ねぇ・・・。一つ、聞いてもいい?」
「・・・・うん。」
「君はさっき、なぜボクに・・・あんな嘘を?」
私は蒼の問いかけに、まどろみの中で手探りするように、答えを探した。
蒼が言っているのは、私が最初に果ててしまった時の事だろう。
あの時の私は、繭に納められているものの真実を知り、気が狂いそうな程、蒼に飢えていた・・・・。
「なぜ、だろう。・・・・不安・・・だったのかもしれない・・・。一人と、言われたのが・・・。・・・もう・・・・離さない・・・で欲し・・・く・・て」
自分の口から紡ぎ出される言葉の意味を理解している間もないほどの、重い眠りにのしかかられ、無理矢理意識を沈められていく中、私はきつく抱きしめてくる蒼を、満ち足りた幸せの中、遠く感じていた・・・・・。
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