双凶の妖鬼 蒼 ~再逢~

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不服な海神

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 ボクたちは、繋がりを解こうとはせず、荒い呼吸を整えながら、満ち足りたまどろみの中で気怠い身体を絡ませていた。

 どのくらいそうしていただろう。
 ようやく落ち着きを取り戻したボクは、自分の上に身体を預けている海神を一層きつく抱きしめ、なめらかな髪に唇を摺り寄せるようにして口づけた。
 
 「海神・・・・君は、全部正しい。間違っているのはボクだ・・・・・。君を大切にしたいと願っているのに、何度も繰り返し・・・・君を傷つけるばかりで・・・・。君の涙を見る度、ボクはふがいなくて、おかしくなりそうになる・・・・・。」

 海神を胸に抱きしめたまま艶やかな髪をなで、ボクがそう言うと、海神はふいに顔を上げた。

 「蒼・・・・お前は本当に、間違いだらけだ。」

 海神は少し怒ったような口調でそう言うと、うなじに手を回し、引き寄せるようにして唇を重ねてくる。

 恥じらうように少しだけ開いている海神の唇を二度柔らかくむと、ボクは首を傾け深く舌を絡ませながら、彼の熱い吐息ごと全てを飲み込み夢中で口づけた。

 行為の最中・・・・・。
 我を失ったボクの、強引で容赦のない抽挿は、海神を追い込み苦しめていたはずなんだ。
 今も紅く染まったままの目元や潤んでいる瞳が、それを証明している。

 それなのに海神は、「そんなことはない」と・・・「これでいいのだ」と、けなげにボクに唇を寄せてきてくれた。

 温かく染み渡る様に愛おしさが胸に迫り、ボクは吐息交じりのため息をついた。

 「・・・・・わかったよ。君の勝ちだ。もう言わない。これからは好きにする。・・・・可愛い海神、これでいい?」

 海神は、可愛いと言われたのが不服だったのか、恨めしそうにこちらを睨みながら、それでも素直にうなずいた。
 それがまた愛おしくて、ボクは海神の頭をなで、再び胸に抱いた。

 「君の言う通りにしないと、いい加減、ボクは本当に食べられてしまいそうだしね。」

 片方の眉を軽く上げ、血がにじみ赤く腫れた肩の歯型を見せると、海神は切なく眉をよせ何か言おうとする。
 ボクはすかさず、海神の唇を指でふさいだ。

 「謝るなよ。・・・君のつける傷なら、ボクは喜んで全て受け入れる。君がボクを殺すなら、ボクは決してあらがわない。君がボクのものであるように、ボクは君のものなんだ。」

 零れ落ちそうな程目を見開いている海神に、ボクは優しく口づけた。

 「・・・・・君だけが、ボクを好きにしていい。」

 海神の内壁が、いまだ含んだままのボクを切なく締め付けてくる。
 鎮まったばかりの欲望が熱を帯び、再びむくむくと頭を持ち上げてきた。

 「海神・・・・これは、君の自業自得だぞ。ボクは今日はもう、本当の本当に、このまま休もうと思っていたんだから。」

 海神の柔らかな頬を軽くつねり、口をとがらせてそう言うと、海神は幸せでしかたがないというような柔らかな笑みを浮かべ、抱き締めてくる。

 ボクは、クスリと笑い、再び海神と身体を重ね始めた。
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