双凶の妖鬼 蒼 ~再逢~

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再逢 1 ※

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 祈りの間で蒼と向かい合いながら「あの時白妙に贈った組紐はどうしたのだろうか」と、ふとそんな考えが脳裏をよぎる。

 出会った時から手放せずに抱きしめ続けてきた幼く淡い想いと、白妙と共に作った組紐を、私はあおに委ねた。
 そうするべきだと身体の奥底で何かが激しくざわめいていた。

 「君は、ずっとこれを・・・・・?」
 「ああ。白妙には一度もこの時の事には取り合ってもらえなかったのだから・・・私にとっては、大切な恩人との思い出の品でしかない。」
 「・・・・・・。」
 「私が白妙に想いを寄せていたことは、周知の事実。・・・・お前が気にしてはと思い、すぐに捨てようとしたのだが・・・・やはりなぜか、見せておくべきだと感じたんだ。」

 蒼は組紐を握ったままうつむいてしまった。
 艶やかな黒髪が流れ、彼の表情を隠してしまう。

 「・・・蒼。私は、もうお前と離れては生きていけない。・・・・・私を許せないなら、死ぬまで犯せ。お前の胸の中で最期を迎えられるなら、本望だ。」

 むき出しの心をぶつけながら、私は敷物ごときつく指をにぎり締めた。

 緊張で鼓動は早鐘を打っているのに、指先は氷のように冷たい。
 私は微かに震え続ける唇をかみしめた。
 あおは、ゆっくりと息を吐くと妖鬼へと姿を変えた。

 静かに顔を上げた蒼は私と視線がぶつかると、触れるのをためらうかのように、そっと唇を重ねてきた。

 ついばむように密やかだった口づけが、徐々に深く、狂おしいほどの熱を帯びていく。
 血が沸き立つほど激しく舌を絡め合いながら、私たちは長い口づけを交わした。

 惜しむように私の唇を柔らかくみながら、蒼はゆっくりと唇を離すと2つの額をそっと重ねた。

 「ねぇ・・・・・抱いていい?」

 蒼は目を伏せたまま、消え入りそうな声でささやいてくる。

 我を忘れそうになるほどの痺れるような熱が、一瞬で全身を走った。
 どうしようもなく熱い涙が込み上げてきて、私は蒼の美しい白銀の髪に指を刺し込むようにして引き寄せながら、彼に深く深く口づける。

 うなじに感じる唇も、手も、蒼の全てが喘ぐほどに熱を帯びていて、私は夢中で彼を感じていた。
 狂いそうなほど、蒼が欲しくてたまらない。

 もつれあうように肌を重ね合い、息苦しいほどの熱がどちらのものかすらわからなくなったころ、蒼は私を仰向けに寝かせた。
 
 足の間に身体を挿し入れた蒼は、柔らかく口づけを落とした。
 かすかな呼吸が私の頬を・・・・うなじをなでる。
 呪印へと唇を重ねると、蒼は顔を上げた。

 私の後ろへ熱の塊をあてがい、ゆっくりと・・・ひと息に腰を沈めはじめる・・・・。
 蒼が私を押し広げ、中に飲み込まれていく・・・・・。
 全てが繋がり合った瞬間。
 声にならない甘い吐息がこぼれ、私は蒼のうなじに腕を回しきつく彼を抱きしめた。

 こらえきれず、蒼の腰に両足を絡め、引き寄せると更に深く彼を含む。
 私を抱きしめている腕がピクリと震え、蒼はゆっくりと抽挿を始めた。

 「蒼・・・・愛している。」
 「うん。」
 「私を・・・お前の好きにしていい。」

 私がそう言うと、蒼は突然最奥まで一気に私を突き上げた。
 私は目を見開いた。
 あまりの深さに息が詰まる。
 内臓をかきまわされるように激しく何度も突き上げられ、私は喘ぐように息をしながら絡みつけた足で蒼をひきよせた。

 えぐる様に深く腰をしずめ、荒く呼吸をしながら、蒼はようやく動きをおさめ私を見つめた。
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