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効かない拷問
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「ねぇ。もういいだろう?ボクは穢れ堕ちとは真っ赤な他人の無関係なんだってー。」
ボクは、もう何回言ったかわからない台詞をみずはに告げた。
普段のボクなら、3回同じことを聞いてくるような相手は、お仕置きをしてすぐさまその場を後にするところだけど、今日はそういうわけにはいかない。
短気を起こしたせいでおかしなことになってしまってるけど、ま、そのうちどうにかなるでしょ。
そんな風に考えながら、ボクは門番のギザギザ君から甘んじて拷問を受けていた。
何かボクに恨みでもあるのか、ギザギザ君は親の仇を相手にしているみたいに、張り切ってボクに拷問してきた。
でも残念。
ボクはマゾじゃないから、痛いのは大嫌いだし、それにどうせ拷問されるなら海神にして欲しいに決まっているんだ。
そんなわけで、一切防御力を弱めることなくノーダメージのまま、鞭で叩かれたり、杭で刺されたり、火であぶられたり、色々されてみたけどもういい加減飽きてきた。
それに、ギザギザ君もそろそろ気が済んだみたいだ。
目を見開いて固まってしまったしね。
拷問に使った器具も、大半はボクの身体に弾かれて壊れちゃったし。
そろそろ海神のところへ戻りたいな。
そんな風に考えていると、ちょうど海神が動き出す気配がした。
彼が来るなら、少しだけ待つか・・・・・・。
そう思ったボクは、ギザギザ君に向かって、足を踏み出した。
「で、今度はどんな拷問?ボクの爪や皮をはいでみるかい?少し、時間ができたんだ。付き合ってあげるよ。」
そう言って微笑みかけると、ギザギザ君は小さく悲鳴を上げ、後ずさってしまった。
「なんだよ、つれないなぁ。まさか、遠慮してるのかい?なんなら、ボクが君にサービスしてあげようか。」
ボクはほんの少し妖気を放ち、ギザギザ君を威圧した。
「もうその辺でやめておけ。」
ドアの向こうから、海神の声が聞こえた。
ボクは満面の笑みで彼を迎える。
「待ってたよ。聞いて・・・・みんな酷いんだ。穢れ堕ちとボクとは関係ないって言ってるのに、誰もボクの話を聞こうとしない。」
ボクがそう言うと、海神は美しい眉根をひそめボクを冷ややかに見つめた。
「仕方あるまい。お前はここのものに顔を知られていない。約定もなくふいに訪れて、このようなことが起これば疑われても文句は言えまい。」
「そっか。君が言うのなら、そうなんだろう。仕方ないね。」
ボクは手足に厳重にぶら下げられていた枷を丁寧にむしりとると、巻き付いていた重りと鎖のセットをひしゃげた枷とともに、みずはに返した。
「ボク、海神に仕官しにきたんだ。」
海神は頭を抱え、みずはは驚いて目を白黒させた。
ギザギザ君は・・・・白目をむいてすっかりオブジェになってる。
ボクは海神の手を取った。
「そばにいさせてよ。ボクは、君のために生きていたい・・・・・。」
そう言って、彼の手に口づける。
海神は驚いたように目を見開き、すぐに嫌そうに顔をそむけてしまった。
「好きにしろ・・・・・。」
海神は、吐き捨てるように言って、部屋を後にした。
よほど嫌だったのだろう。
ボクの手に触れていた指先には力がこめられていた。
苦いな・・・・・・。
ボクは心の中でボヤき、奥歯を噛みしめた。
包み隠さずむき出しの言葉を伝えれば、そのたびに、海神が遠くなっていくように感じる。
身体と精神をどれだけ甘く溶かしても、海神の心は水面に映る月のようにどこまでも美しく、穢れた手で触れることを許してはくれないのだ。
ボクは呆然としているみずはに向かい、両手を広げ肩をすくめてみせてから、海神の後を追った。
ボクは、もう何回言ったかわからない台詞をみずはに告げた。
普段のボクなら、3回同じことを聞いてくるような相手は、お仕置きをしてすぐさまその場を後にするところだけど、今日はそういうわけにはいかない。
短気を起こしたせいでおかしなことになってしまってるけど、ま、そのうちどうにかなるでしょ。
そんな風に考えながら、ボクは門番のギザギザ君から甘んじて拷問を受けていた。
何かボクに恨みでもあるのか、ギザギザ君は親の仇を相手にしているみたいに、張り切ってボクに拷問してきた。
でも残念。
ボクはマゾじゃないから、痛いのは大嫌いだし、それにどうせ拷問されるなら海神にして欲しいに決まっているんだ。
そんなわけで、一切防御力を弱めることなくノーダメージのまま、鞭で叩かれたり、杭で刺されたり、火であぶられたり、色々されてみたけどもういい加減飽きてきた。
それに、ギザギザ君もそろそろ気が済んだみたいだ。
目を見開いて固まってしまったしね。
拷問に使った器具も、大半はボクの身体に弾かれて壊れちゃったし。
そろそろ海神のところへ戻りたいな。
そんな風に考えていると、ちょうど海神が動き出す気配がした。
彼が来るなら、少しだけ待つか・・・・・・。
そう思ったボクは、ギザギザ君に向かって、足を踏み出した。
「で、今度はどんな拷問?ボクの爪や皮をはいでみるかい?少し、時間ができたんだ。付き合ってあげるよ。」
そう言って微笑みかけると、ギザギザ君は小さく悲鳴を上げ、後ずさってしまった。
「なんだよ、つれないなぁ。まさか、遠慮してるのかい?なんなら、ボクが君にサービスしてあげようか。」
ボクはほんの少し妖気を放ち、ギザギザ君を威圧した。
「もうその辺でやめておけ。」
ドアの向こうから、海神の声が聞こえた。
ボクは満面の笑みで彼を迎える。
「待ってたよ。聞いて・・・・みんな酷いんだ。穢れ堕ちとボクとは関係ないって言ってるのに、誰もボクの話を聞こうとしない。」
ボクがそう言うと、海神は美しい眉根をひそめボクを冷ややかに見つめた。
「仕方あるまい。お前はここのものに顔を知られていない。約定もなくふいに訪れて、このようなことが起これば疑われても文句は言えまい。」
「そっか。君が言うのなら、そうなんだろう。仕方ないね。」
ボクは手足に厳重にぶら下げられていた枷を丁寧にむしりとると、巻き付いていた重りと鎖のセットをひしゃげた枷とともに、みずはに返した。
「ボク、海神に仕官しにきたんだ。」
海神は頭を抱え、みずはは驚いて目を白黒させた。
ギザギザ君は・・・・白目をむいてすっかりオブジェになってる。
ボクは海神の手を取った。
「そばにいさせてよ。ボクは、君のために生きていたい・・・・・。」
そう言って、彼の手に口づける。
海神は驚いたように目を見開き、すぐに嫌そうに顔をそむけてしまった。
「好きにしろ・・・・・。」
海神は、吐き捨てるように言って、部屋を後にした。
よほど嫌だったのだろう。
ボクの手に触れていた指先には力がこめられていた。
苦いな・・・・・・。
ボクは心の中でボヤき、奥歯を噛みしめた。
包み隠さずむき出しの言葉を伝えれば、そのたびに、海神が遠くなっていくように感じる。
身体と精神をどれだけ甘く溶かしても、海神の心は水面に映る月のようにどこまでも美しく、穢れた手で触れることを許してはくれないのだ。
ボクは呆然としているみずはに向かい、両手を広げ肩をすくめてみせてから、海神の後を追った。
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