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2章 夏

勝てん

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「疲れた」
「え?」
「疲れたぁー。そうだよっ!疲れたんだ・・・」
疲れたと連呼する由衣に、雨華は怪訝な顔をする。
なんで疲れたんだろ・・・。そうだ、顕微鏡をずっと覗いてるからだ!
私たちは、顕微鏡を自分の座っている椅子と同じ椅子に乗せて見ている。だから、自
然に腰が曲がる姿勢になるのだ。
「あ、そういえば!スケッチできたよ!!」
急に違うことを言い出す由衣に、雨華は不思議な顔。そして、得意げにできた紙を見
せる。
「私もできた」
ドドーン!
一言そう言われ、由衣はびくっと驚いた。
ほぉぉぉ。この短時間でこんなにきれいに・・・。
雨華から紙を受け取り、由衣はまじまじと見ていた。自分が書いた絵と比べてみる。
「おおっ!!」
すごー!丁寧・・・。
自分も丁寧に書いたつもりだったが、それよりも遥かに雨華の方が上手だった。
負けてられん!
と、その言葉だけを頭に浮かべ、由衣は顕微鏡を覗いた。
「あ、なんかいる・・・!」
やっと、別の微生物を見つけ、顔をあげた時には、
「あ、書けた~」
雨華はそう言い、新たな紙を由衣に差し出した。由衣は、驚きで声が出せなかった。
ほんの少しの間だったのに、この細かさ。やっぱり、勝てない・・・。
すぐにやる気の炎が退き、由衣は微生物をスケッチし始めた。

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