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1章 春

折り紙

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「雨華ー!折り方忘れたー!!」
「えー?どこー?」
わあわあ言いながら、私は、雨華に今折っていたところまでを見せた。
あー、ここはね・・・と雨華が、教えてくれる。
「なるほどー。そうするのか・・・」
「がんばれ、がんばれ!」
雨華にそう励まされ、由衣はいっそうがんばって折った。
私が今しているのは、折り紙。私はいつも、平面の折り紙を折るのだが、
雨華が立体を折っているのを見て、興味をもったのだ。そこで、教えてもらって
いるのだが、なかなか折り方を覚えられない。
「うーん・・・。丸にならないよ?」
最後の仕上げの、折り紙を繋げるところで、由衣は苦戦していた。
丸いボールのようなものを作りたいのだが、なかなかぴったりとはまらない。
うーんうーんと唸っていると、先に作り終えた雨華が、手を伸ばした。
そして、そのまま由衣の持っていた、折り紙を取り上げ、丁寧に組み立てる。
その手際よさと、綺麗さに由衣は驚いた。そして、ものの数分で完成した。
「おおー!!雨華、ありがとうっ!!」
私は、雨華から、折り紙のボールを受け取り、手の上で転がす。
そんな私の様子を見ていた雨華が、一言こう言った。
「じゃあ、これを折るの手伝って」
雨華が言う方には、今作った紙の何倍もの紙が、積まれていた。
え、え、え・・・!?これだけの量を折れとっ!?
「い、いやー・・・。さすがにこれは、大変でしょ?」
私がそう言うと、雨華が間髪入れず、
「私が、組み立てるから」
と笑顔でそう言った。これには、由衣もなにも言えないのだった。
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