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5章

両親の思い

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「えいま、私は知ってるの!本当は、人を傷つけたくない。
 殺したくないってことを!!」
「え・・・?」
 えいまの動きが、一瞬止まった。えいまの両親が言っていたことが、本当なんだと
 舞花は、確信する。でも、そんなこと知らない二人は違った。
「舞花?なに言ってるの?」
「嘘を言っちゃいけないんだぞ。舞花」
 え、乃愛ちゃん、風真君違うの!これは、ほんとのことなのっ!
 そう思った舞花は、自分でもわからないくらいの素早さで、二人に伝えていた。
「違うの。乃愛ちゃん、風真君、私は知ってるの!」 
 いつもとは、違う舞花の迫力に二人は、唖然としてしまった。
 あ、あれ?舞花って、あんな感じだったっけ?
 舞花が、いつもと違う・・・。  
 そんな中、舞花はえいまに必死に伝えようとしていた。
 亡くなったえいまの、両親の思いを受け止めて。
「えいま、人殺しをしてもお母さんや、お父さんは嬉しくないよ。
 その犯人だって、見つからないよ」
「な、なんでそのことを・・・」
 言葉に詰まる、えいまを見た、乃愛と風真。舞花が真実を、言っていることを
 理解したようだ。それにしても、なぜ舞花が知っているのかと気になってしまう。
 が、これは舞花とえいまの話だと思い、二人して口をつぐんだ。 
「えいまのお母さんやお父さんが、悲しんでるよ」
「じゃ、じゃあ、どうすれば俺の両親は、悲しまないでいてくれるんだ?」
 すがるような思いで、えいまは舞花に聞いた。さっきまでの、殺気はどこかに
 行ってしまっている。そんな、えいまに舞花は温かい口調で言った。
「それはね____」
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