世界を消してしまった私

✽2章

7話

広大な海が広がるあの場所で、立ち去ってから、一年がたつ。
私は、今も歩き続けていた。へとへとになるまで歩いても、休んだ次の日には
また歩き出す。だって、そうしないと暇で暇でしょうがなかったから。
だけど、その間、私は誰とも出会っていない。世界を歩けば、誰かに会えるという
この希望は、捨ててしまった方がいいのだろうか。でも、この希望を捨ててしまうと
私が歩き続ける意味がなくなってしまう。
「はぁ・・・。なにもない・・・」
ギラギラと太陽の光を浴びる中、私は植物がない地にいた。
さっきから、ずっと植物がない。私は、自分の力を疑い始めていた。
もしかしたら＿＿＿植物を消してしまったのではないか。
そう改めて思うと、本当な気がする。
ああ。もう綺麗な花も見れなくなってしまったの？
これまで、動物がいなくなったこの世界で、私は美しい花をたくさん見てきた。
それが、私が世界を歩き続ける意味、だったのかもしれないとも思えてきた。
これでは、もう私は歩けない。見るものを失ってしまったのだから。
「でも、最後に世界がどうなるのか、見てみたい・・・」
私の希望＿＿願いは、これかもしれない。
一人ぼっちのこの孤独な世界での私の唯一の願い。
早く、願いますように。
私は青空を見上げて、心の中でそう呟いた。