40代(男)アバターで無双する少女

かのよ

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269 二人なら/抱きしめ合えば、怖くない

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「暴れるな」
 背後から榎本にきつく抱きしめられている。だがみずきは振りほどこうと必死にもがいた。がっしりとした肩幅の榎本に両肩を抱え込まれ、ばたつく足も榎本の長い足に覆われる。
「ダメだ、榎本、やだっ!」
「いいんだ、ガルド」
「う、ううっ」
 みずきも薄々思っていた。だが考えてはいけないと首を振る。
 世界できっと、今一番被害者と加害者に詳しいガルドたちが「命の順位をつける」ことだけはダメだ。みずきは首を振るが、榎本が低い声で続ける。
「出来ることは限られてるんだ、ガルド。俺もお前も腕は短いんだから、届く範囲でやるしかない」
「でも! だけど……諦めたら終わりだ……」
「分かってるよ」
 分かっている。みずきも、榎本がすすんで諦めようなどとは思っていないことぐらい分かっている。
「ガルド、お前も本当は……お前が頭良くて、大人っぽくて、真面目で……しっかりもんだってのは分かってんだよ。だからこそ一番弱いスネんところも、分かってる」
「すね?」
「お前のその、鉄砲玉みたいなところだ」
 以前なら「そんなことない」と反論したが、包帯の存在感がみずきに突き刺さる。撃った後のことは考えない無鉄砲さは、今のみずきには自覚があった。
「あと、その子どもっぽい楽観視と秘密主義なところ。お前アレか。親に怒られるからって点数の悪いテスト隠して捨てるタイプだろ」
「ぐ」
 みずきは振り乱していた腕を止め、自分の足を抱え、卵のように丸くなった。
「いいんだ、そこは。若いからな。お前は人生これからまだまだ長い。俺らは半分まで来てる。残りの長さも想像つく。命は平等じゃないんだ、ガルド。一番若いお前が一番大事で、俺らもアイツらも、覚悟は出来てる」
「でも、知ってるのは自分だけだったから……」
「そうだな。だが今は俺も知った。今なら言えるだろ? 俺はアイツらに言う。みんなで抱えるんだ」
「でも、今外にいるのは二人だけだし」
「だから俺がいる。いいか、ガルド」
 耳元に榎本が口を寄せ、声量を落として続ける。
「俺が死にそうになっても、助けようとするな。お前は自分が生き残ることを優先させろ」
 首を振る。
「やだ」
「シビアだが、現実なんだよ。死ぬな、生きろ」
「やだ……やだ」
「いいか、ガルド。俺の聞け」
「う、ううっ」
 みずきはこれがいやだったのだ。涙が勝手にあふれ出す。
 話してしまえばきっと現実を突きつけられることも、上手くいかないことも分かっていた。今まで諭してくれる大人はいなかった。唯一の会話相手……Aの話は、とても非現実的だった。
 語尾がいつも「ね」で終わる人造風な声は、いつもどこか他人事に聞こえた。実現しなさそうな事ばかりで、シビアさが欠けていた。みずきを守ると言いながら保護者のようには振舞わなかったAは、みずきと同じように「大人から見ればまだまだ甘かった」のだ。
 榎本は淡々と死を仮定していく。
「俺を助けて、代わりにお前が死ぬのは絶対にダメだ」
「……うん」
「中に居るアイツら全員が助かるとしても、お前が代わりに助からない選択肢は突っぱねろ。ダメだ、俺が許さない」
「…………うん」
「ログアウト関連もそうだぞ。お前だけ中でアイツら全員外ってなったとしても、お前は戻ろうなんて思うな」
「う」
 それは頷けない。
 みずきは「ガルド」になれるあの世界が好きだ。それは榎本も以前同じ気持ちを共有したことがある。他の仲間が人質交換で救われるなら、別に戻っても良いのではないかと思ってしまう。目をつぶって嵐のような感情に耐えていると、榎本が返事を待たずに続けた。
「もし……もしも、な」
 きつく肩を掴んでいる榎本の手が強く握り直され、みずきの心臓ごとぎゅっと締める。
「お前と俺と、どっちも揃ってどうにもならない時は……一緒に死のう」
「……ん」
 頷く。怖いが、それだけはみずきも自信をもって頷ける。
 もし、例えば潜水艦がこのままどこにもつかなかったら。
 もしかしたら、例えば、着いた先にイーラーイ兵が待ち受けていたら。
 例えば、着いてすぐに四肢を拘束され引きずられ、意識のないまま人体実験に使われたら。
「そん時も、こうやってくっついてたら怖くないだろ?」
「榎本の方が怖がってる」
「当たり前だろ。お前が死ぬのだけは耐えられないんだよ」
 榎本はまるで、川に飛び込んだ後のように震えている。怪我をして川を流される子犬を助けたように、凍える小さな命を抱きしめて温め、必死に生かそうと守っているようにも見える。
 みずきはその、守られるばかりの子どものような自分が嫌だった。


 まどろみに紛れ、みずきは重たい瞼をあけた。
 みずきはいつのまにか眠っていたらしい。布団の中のような温かさと、覆いかぶさる掛物の重さに横浜の自分の部屋だと錯覚する。
 フロキリで繋がっている仲間にメッセージを送りながら、急いで朝食を食べなくては。今日はコーヒーがいい。プチトマトに塩を振って、オリーブオイルを少しかけて終わり。みずきはそこまで考え、ふと気付く。
 何故急いで起きなくちゃいけないのか。黒い視界の中でぼんやりしていると、急に今どこに居るのか思い出した。
「あ」
 目を開けると、汗のにおいがした。フルダイブ中は除去される、生き物の生っぽい匂いだ。
みずきが嗅ぎなれた自分の体育着のにおいに、少し荒っぽい別の汗が混ざっている。
「えのもと」
 日焼けしていて太い腕に挟まれているが、羽交い絞めにはされていない。むしろ枕にしていたらしい。しびれていないのだろうかとみずきはそっと腹筋に力を入れ、榎本の腕を解放した。そのままそっと、肩に乗せられた方の腕を持ち上げ脱出する。
「寝てた……」
 榎本も眠っている。みずきを抱き枕にしていたらしく、暖を取る熱源が離れてもぞもぞ動いている。あれから何時間経ったのか分からないが、背中が固まりバキバキになっている。外が何時なのかも分からないが、なぜかみずきの体内時計は朝だと思っているらしい。
 潜水艦に窓が無いことなど分かっているが、思わず壁を探して視線を巡らせる。
「……っは!?」
 みずきは驚きのあまり絶句した。
 確かに壁と屋根がある。床の素材はゴムのような何かが上から被さった鉄と絶縁体の床材で、潜水艦のものによく似ているが色が違う。
 綺麗な緑色だ。先ほどの黒っぽいものとは全然違う。
「え、え?」
 咄嗟に脳波コンを起こす。しばらく動かしていなかったUIがぎこちなく表示を変え、近くに接続可能なものが無いか探し始めた。同時に風景を見ながら榎本を庇うように腕を広げて背へ隠した。
 部屋はひどく狭い。天井も低く、ジャンプすれば届きそうだ。素足で床を軽く踏み鳴らすと、ゴムシートを挟んでいるため少し鈍いが、木やコンクリとは違う明らかに高い反響音がした。全て金属製だ。恐らく移動できるよう作られた箱もので、トラックの荷台の中はこんな感じかもしれない。
 みずきはトラックの中になど入ったことが無いため、憶測でそう決める。一点、眩しい場所を見つける。
「動いてはいない……誰も居ない……カメラも無い……」
 その上、通信の電波も無い。みずきはがっくりとする。外に出た瞬間がSOSを発するチャンスだったはずだ。みすみす逃した機会を惜しむ。
 誰だか分からないが、何者かに潜水艦から移されたらしい。
「武器は……」
 みずきのジャケットや榎本のスウェットは着させられたままだ。またフルダイブ機に繋げられるときに脱がされるのだろう。Aの側のオーナー・タツタは確かにみずきたちを守るだろうが、計画を注視するとは言っていない。
 中に戻るのはしょうがないが、みずきはまだ諦めたくなかった。
「う、んんん……」
 榎本が起き始めたが、まだ眠そうだ。ただの昼寝にしては覚醒が鈍い。どれくらい経ったのかとありもしない時計を探すと、壁と天井の間に一閃の明かりが見えた。
 鉄の壁にわざとスキマが開いているらしく、綺麗な薄長方形でくりぬかれていた。
 通気口の代わりだろう。向こうから日の光のような白一色に染まり、部屋の中に灯りを差し込んでいる。朝か昼か、そのどちらかだ。
 みずきは脳波コンで通信帯になにかないか必死に探る。二人をこの部屋に放り込んだスタッフは、テープやデバイスといったみずきの装備を外さなかった。舐められたものだ。こめかみに力が入る。みずきの電子戦用支援システムがアクティブになり、皮膚の感触を得て「ガルド」になっていく。
 屈強な筋肉がうなる。太い肩幅にずっしりと重い大剣が乗り、斬る相手を探す。敵はどこだ、閉じ込めたのは誰だと目を血走らせて、みずきはふと気付いた。
「あ……いけない、いけない」
 みずきは首を振って力を抜いた。ログアウトさせられてから好戦的になっている気がする。
「……無理はしない」
 いままで張り詰めていた緊張がほぐれ、良い意味でみずきの心を諦めが埋めていく。今ここで何かしなければならないと思う強い焦りが落ち着いているのが分かる。
「……んあ?」
 隣でようやく寝ぼけた榎本が目を覚ました。みずきはいつのまにかバクバクと脈打つ心臓を静かに落ち着かせ、榎本の隣に座り直す。
「いつのまにか、どっかに連れて来られた」
「え? ん?」
「動いてないけど、何かの中」
「……えっ!?」
 飛び起きた榎本の後頭部は寝ぐせが酷く、あちこちに毛先が飛んでいる。
「潜水艦ん中じゃないのか! え、どうするガルド! 確実に誰かが俺らを運んだとしか思えないんだが!」
「誰でもいい。多分タツタの部下」
「たつた?」
「こっち側のオーナーの名前」
「……たつた? たつた、ねぇ……」
「竜田揚げ食べたい」
「あーそれか! 竜田揚げ、金井レシピにもないんだよなぁ」
 榎本は何か考え込んだ様子だったが、竜田揚げの話で満面の笑みになった。
「再ダイブするにしても、何か食ってからがいいよな」
「胃が受け付けないかも」
「吐いてもいいから食いたい」
 みずきは無言で頷く。そのスキマの無音に、何か人の声のようなものが聞こえた。
「っ!」
「唐揚げの方が好きだけどな」
「シッ!」
「ん?どうした」
 みずきは小声で「何か聞こえた!」と榎本を静かにさせた。榎本の顔が急にりりしくなる。
「女? 男?」
 すぐ立ち上がれるようにしゃがみ姿勢へ変わりながら、榎本がスリット窓へそっと近づく。ドアのようなものは見当たらない。どこから開くか分からない分、みずきは榎本の背中に回って反対側を向いた。
「……float,……」
「英語!」
「女だな」
 みずきは再び、デバイスから外へ向ける意識を強める。攻撃用データ塊を剣の形にして切っ先を構え、防戦をイメージした。
 パリィは得意だ。
「電子戦はやる。榎本はここにいて」
「は? 電子?」
「……来る!」
 半透明の「ガルド」が、先ほどはなかったデバイスの通信を目にした。誰かが誰かに話しかけている。音声か文章か分からないが、送受信の軌跡が光の尾のように見えた。
 その手前側の誰かが動く。
 少し遠かった光点が近寄って来た。
<誰だ>
 敵意はない。焦りもない。ガルドはただ、自分たちを潜水艦から箱に移した誰かの正体が知りたかった。物理の身体を持たないガルドが部屋の壁をすり抜ける。カメラやセンサーといった目の代わりが無い今、ガルドはなにも見えない。
 まるで真っ暗闇のような景色の中、南東の方角にいる誰かと、みずきたちが居る部屋のすぐ近くにいる誰かがやり取りをしている光だけが見えた。ガルドは何者かの手の中にあるスマホに触れ、軽く撫でる。
<浮上した コンテナ 輸送・運搬>
 ぶつ切りの文字が見えた。持ち主の個人情報らしきデータはなにも見えない。業務用の端末なのだろう、割り振られたDD-003というナンバーが見えるだけだ。
<運転できない 出来る人を待つ>
 端的だが分かりやすい単語だった。
「やっぱりコンテナだ」
「ここが?」
「そう。で、運転できる人がいないから、運転手が来るのを待ってる」
「コンテナ輸送出来るくらい大型トラックの運転? んなの素人にゃ無理だろうけどな」
「……このまま閉じ込めた状態で運ぶのを、断念するとすれば……」
「チャンスがあるとしたらそこだな!」
 話し声は続いている。
<ガントリークレーン スタンバイ>
「がんとりー、くれーん?」
「それってアレだ、よく港にあるでっかいやつ。キリンみたいな」
「港のクレーン? コンテナ動かすための?」
「あっ」
 榎本が顔を一気に青くした。
「まさか……持ち上げるのか?」
 上昇と落下の高低Gが苦手な榎本は、垂直に上がる場合のみの高所恐怖症だ。
「そんな高くまで上がらないと思……うわ」
「ひっ」
 ガタンと大きな音がした。
 通信での操作はしていないらしく、ガルドの目にも動きが見えない。大きなものがぶつかる激しい音と、カン高い金属が細かく当たる音、ロックのようなものを掛けるガチンガチンという音が続く。
「まじかよ……」
 金属が軋む鈍い音が、部屋の外全体から聞こえる。まるでジェットコースター落下三秒前の気分だ。
「うわぁーっ! マジかよォーっ!?」
「うわ」
 持ち上げられた。
 上昇するエレベーターの浮遊感に似た感覚に、ガルドと榎本は再び抱きしめ合った。
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