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218 網は常備
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チヨ子は窓から腕を伸ばし、気持ち強めにトリガーを押して整髪スプレーを噴射する。続けて少し離してシガーソケットをかざした。ガスのにおいが一瞬するが、走行中の車が受ける風に乗ってすぐに掻き消えていく。
まるで車から投げ捨てるような軌道を描きながら、ぽぽぽっと音を立てて火の尾が引いた。
「う、うわあ……」
滋行が隣でドン引きしている。国彦は後部座席で興奮気味だ。
「やべぇー! なんだそれ!」
「動画で見た」
「危なくないのか」
「ちょっと熱いけど、ドローンの目くらましにいいんだってさ。熱のセンサ? とかいうやつ誤魔化すの」
国彦が後部座席から前のめりになって中央へ頭を挟んでくる。チヨ子は助手席側の窓から乗り出していた身体を引っ込め、すとんと席へ座り直した。
「あ、ベルトベルト……」
念のためシートベルトを締める。
「律儀に締め直すのかよ」
「さっきみたいに急ブレーキされたら困るし。ずっとハンドル握ってるんでしょ? 信号無視するなら当たり前じゃん」
信号機が能動的に通行する車へ「赤か青か」といった交通情報を送信し、自動運転をスムーズに動かすシステムが一般化して早二十年。エレクトラフィックライトと通称がついているが、チヨ子のようなハタチ未満の若年層にとっては「信号機とはそういうもの」という認識だった。特段名前を付けて呼ぶことはない。
「う、まぁ確かに……だってな、誘導なんて従ってたら教授に追いつけないだろ」
「次の信号とその次の信号、車はなんだって?」
「青、赤」
「一つ目通り過ぎたら迂回ルート?」
「だな」
「あ、ねぇ安倍さん。足、早い?」
「自信はあるぜ」
「靴紐、締め直した方がいいかも。アタシヒールだから無理!」
国彦が後部座席へ引っ込み、靴の紐を締め直し始めた。
「任せとけ! 絶対追いつく!」
<ヨウタロさん、どう?>
緊急事態で苗字を思い出せないチヨ子は、周囲から聞こえる名称で陽太郎を呼んだ。宮野と金井が側にいるはずの陽太郎は、リアルでの仕事と並行しながら行っていた動画のラベリング作業を中断してコチラの手伝いをしてくれている。まだ電車内で、既に東京には入ったらしい。
<そうだなぁ、斜め右に行こうとしてるっぽいから次の信号は右折がいい。対向車は?>
<なし>
<そのペースで行けば数分しないうちに追いつくぞ。ドローンはどうだ?>
「さっきの火でセンサが麻痺ってるっぽい。耐水はあっても耐炎って珍しいんだって言ってたの思い出してさ」
「なるほど。火炎放射してくるドローンは別として、汎用型相手なら良いアイディアだ」
「かっ、かえんほーしゃ!? そんなのあるわけ……えっ?」
国彦と滋行は無言のまま、それぞれ運転と靴紐直しに集中している。チヨ子は難なく察することが出来た。教授と話していた言葉の中の、外国の名前を思い出す。
「グリンピースだっけ? どんだけ危ないの相手にしてきたの? 怖っ」
「おっ、俺らだって初陣だったんだよ!」
「豆じゃなくてグリーンランドな……正直もう二度とあんな目には合わないだろうって思ってたんだけどなー」
国彦がやけくそに笑っている。手元にはポータブルPCが握られていて、ジャック穴から生えるコードは二又だ。一方はこめかみへ。もう一方は手でぐるぐると巻き取る程途方もなく長いコードで、その先には何も刺さっていない。
「日本であんなことしようってんなら、コッチだって迎え撃ってやる!」
車は信号を一つ越えてから右折した。
<次、自転車屋を左。すぐの狭い交差点を右>
「了解」
<大通り青で行けるか>
「飛ばす」
滋行は陽太郎の支援を受けて順調に走っているらしい。チヨ子は上を覗き込もうと首を捻るが、建物や風に邪魔されよく見えない。スマホは脳波コン用のオンラインデバイスとして使っていて、カメラを起動するような余裕はない。
何か代替案はないかとカバンを探ると、大きな板のような感触が指先に触れた。
「あ、そーだ」
取り出したメイク用の三面鏡を開き、窓から上へ向けて広げる。様々な方向を反射させると空を重点的に探した。映り込みの角度を調整して、他になにも飛んでいないか調べる。
「もう追ってこないのかな……音はするけど」
ドローンの大きな音は先ほどより小さくなったが、まだ一機はどこか近くを飛んでいるはずだ。しかし火の目眩しなど効くのか眉唾だったが、想像以上に音は小さい。
その時、鏡の中に黒い点がすっと滑り込んできた。
目を凝らさなくても、小学生ですら知っている丸みを帯びたフォルムが分かる。目を凝らせば白黒の中にクッキリとした赤の、目が覚めるような警戒カラーが目に飛び込んできた。チヨ子はひやりとしながら、上ずった声で二人へ伝える。
「うっわ、パブリックシギントっ! すぐそこにいる!」
「まじ? やっべ」
運転手の滋行が背筋を伸ばした。
積極的に速度超過を取り締まることは出来ないが、過去にオービスやNシステムと呼ばれた交通安全システムを全て備えているのがパブリックシギントシステムだ。電柱より高い空をドローンと同じように内蔵プロペラで飛んでいる。
挙動が普段よりグラグラとしていて、こちらを監視しているようにも見える。自動運転を切って違法な加速をする危険運転車両だと思われているようだった。
「狙われてるっぽいけど」
「へ、逆にいいタイミングだ! そのパブシギ乗っ取ってやる!」
「クニ、国彦……お前無茶言うな。日本の警察が実力を結集させて作ってる防犯ドローンだぞ?」
「出来るって。<ギャンさんにコール・ルームに招待>」
国彦が音声認識で操作すると、グループチャットルームにアイコンが一つ増えた。その間にもコードとPCを繋ぐジャック近くにあるつまみをグリグリと動かしている。
<見てたぞ~。安心しろォ、もう人員送ってっからぁ~>
<うわ、なんで>
<あ? 逆にオツカイなんてヒヨッコだけで出来るなんざ思ってねぇってーの>
ぐにゃりと力の抜ける声だ。
<え、誰>
<先輩。超凄腕ハッカー>
<チミらは教授そのまま追跡な。あ、黒ネンド汚染機体は回収してーなー>
<りょ、了解……後で戻ります>
<ま、ケーサツに任せてもいーんだけどよぉ。どうせ捨て垢特攻機さね>
癖のある喋り方で管を巻く男の声がするものの、チヨ子には興味を持つような余裕はない。空中を忍者のように飛ぶ静かなドローン・パブリックシギントを監視するのに忙しい。滋行は一転して交通ルールを守った安全運転を心掛けているようだが、自動運転を切って人の手で運転しているだけで要注意車両扱いだ。
「おい、シゲ! 速度落ちてんぞ!」
「いやだって前科とかつけたくないんだけど!」
<え、追っかけてくれや。GPS信号? あんなのどうにでもいじれるんだぜぇ?>
<ちょっとミルキィちゃんを投げ捨てるってこと!?>
<偽装工作なんて教授的には歯磨きより簡単だってこった、嬢ちゃん。捨てるだけじゃなくて、ナァ>
鼻息が荒くなる。右と背後も荒っぽく言葉を交わしていた。
「言ったってアレ、一応警察だぞ!」
「でも機械だ。何とかなる」
「人の目でモニタしてるだろ」
「見られる前に切ればいいさ。先輩を信じようぜ」
国彦がチャット欄にアスキーアートで土下座する人間を描いた。ショートカットキーでも設定しているのだろうか。今必要なのかとチヨ子はイラついた。
<てなわけで! 何とかお願いしますって、ギャンさん! 俺らの上空にいるパプリックシギントドローン、ちょっとオフラインに出来ない?>
<そりゃー簡単だけど、お前さんら民間人のくせにやりすぎだぞ>
<ギャンさんだって民間人じゃん>
<やれるなら早くやってよ。アタシだって忙しいんだけど>
チヨ子は必死に三面鏡の内の一枚をコントロールし、光がドローンへ当たるよう努力していた。つくばの中央エリアからどんどん外れていっているため、建物が明らかに低くなってきている。
<忙しい?>
<ヘへーん! カメラに太陽光当てるとバグるのも知ってんの、ウチ。ねぇねがウガウガ言ってた。スペクトなんとかが形を取るのむずくて、エラーなるって>
一生懸命鏡を使って太陽光をドローンのカメラアイ部分へ当てているが、効果があるかは理系ですらないチヨ子には分からない。だが追尾されているものの今すぐ突っ込んでくる様子はなく、むしろのようにブレた動きを維持している。
<お嬢ちゃん上手いぞ~。そのままガンバレ。それ、スペクトラム拡散っつってなァ>
<ギャンさん>
国彦が喋りたげな男を制した。
<おっとスマン! っひゃひゃ! いいぞー、クニ。そのままキレのあるツッコミで有線接続だ。あ、車のナンバープレートデータが入ってるチップな、送信が普通にIP無線なんだわ。レンタカーなら大抵電源が助手席側の右ひざの脇ンとこにあっからよォ、コード引っこ抜いとくといいぞ>
チヨ子は右手を鏡から放そうとするが、すぐにぐらりとブレて光の当たり方が変わる。すると急に上空の警察製ドローンがガクンと高度を下げてきた。慌ててしっかり両手で持ち直すと狙った場所へ光が定まり、ドローンの動きがまた挙動不審に戻る。電柱にぶつかりかけ、速度を落とし、また加速して追いついてくる。
「シゲさぁん、まじ無理手離せない。抜いてー」
「おおお、俺!? ふ、太もも触っても怒るなよ!?」
「早くー」
こめかみがキンキンうるさいのに眉をしかめながら、チヨ子は隣のウブな運転手を急かした。片手ハンドルになって滋行がチヨ子の右太もも右側を探る。どうしてもちょいちょい手の甲がチヨ子の太ももに当たり、制服のスカートが擦れた。
気にするほどの接触でもないが、流行は「あわわ」と慌ててIP無線の線を探っている。
「あ、あった! これだぁっ!」
泣きそうな声にチヨ子は思わずクスッと笑った。
<有線!? 無理無理!>
腕の先へ集中したいというのに、響く電子の文章が目まぐるしく意識を散らす。
<ちょ、ギャンさん! 有線コード差し込むったって空飛んでんだよ!? 無理だ! 落としてくれよ!>
<ンなの無理だって。石でもなんでも当てれば自動で緊急着陸すっから。ホレ、早う><シゲ代われ!>
<やだ>
<お前の方が上手いだろ!? 野球!>
<今関係ないだろそれ。お前に運転できるなら代わるぞ>
<やってやるから! 運転するから交代!>
<冗談だよ、仮免くん>
<くっ、くそーっ!>
どうでもいいとチヨ子はイライラしながら聞く。先輩だと紹介された男が注意するかと期待したが、続いたメッセージにため息をついた。
<他にドローン飛んでるなら『味方機』つくった方が良いだろうなァ。つっても、ケーサツに見られて前科一犯ってのが一番やべーぞー>
「うわー!」
滋行が悲鳴を上げた。
「早く早く!」
「石!? 車止めてくれよ、拾えないぞ」
「んなことしたら教授に追いつかないだろ!」
「どうすりゃいいんだよばかー!」
チヨ子は強く足でダッシュボード下を蹴り上げた。鈍く大きな音が車内に響く。
「あー! うっせえーっ!」
一回大きく叫ぶと、露出している手首を動かさないようにしたまま顔を近づけて口を開く。そこそこ太めのバングルを着けており、軽く留まっているだけの金具を歯で噛んで外した。金属のパーツが一本の紐のようになる。
「はぐ、ふんっ!」
唇をすぼめて咥え、顔を振って車の中に投げ入れる。じゃらっと音が続き国彦が慌てて受け取った。
「え!? なに!? 時計!?」
「違う、バングル! 元カレに貰ったやつだから要らないし。羽狙ってよ? 投げれば引っかかるでしょ!」
<お、いいねぇ~紐っぽいのでブレード絡めるのいいねぇ~>
<オッサンはなんだっけ、ハッキング? するんでしょ?>
<そっちは任せな。あ、オッサンのことはギャンって呼んでくれや、嬢ちゃん>
<アタシ林本! ギャンさん準備いい!? いくよ!>
ほぼ同時に後部座席へ振り向いて叫ぶ。
「安倍さん、準備いい!? 鏡外すからね!」
チヨ子は鏡ごと腕を窓から引っ込める。
「え」
「来るよ!」
鏡で反射させて当て続けた太陽光の効果はあったらしい。遠い上空に漂っていたドローンが動きを変えた。強い光がなくなり通常へと戻った視界を頼りに、滋行の運転するレンタカーへ勢いよく向かってきた。滑空してくる際の、ぶうんと大きな虫のようにも聞こえるプロペラ音が車内にまで響く。
「うわあああ!」
国彦はへその辺りまで窓から身体を出し、慌ててバングルを上へ放り投げた。視界の端をかすめた気配には気付けたが、チヨ子は鏡を引っ込めたせいで目視出来ない。
「どう!?」
チヨ子が訊ねた声とほぼ同時に、大きなものへ小さなものがぶつかったような金属音が聞こえた。
「……当たったけど当たっただけだー!」
「次!」
「お、おう!」
国彦は上半身を車内に戻し、後部座席の中を荒らすようにして使えそうなものを探し始めた。チヨ子は冷静に左腕のバングルを外し、身を乗り出す。一度目がぶつかったドローンは速度が落ちたのか、車の後方をゆっくり飛行し距離が開き始めていた。
「どーすんの? 壊すの?」
「こっ、壊したら器物破損になる! 俺が回収して味方機にするから、先に教授追いかけろ!」
「え、二人で行けってこと?」
「頼むぞシゲ」
「気をつけろよクニ。敵性ドローンもう一台、多分まだ生きてるぞ。あと『黒ネンド運搬機』もきっと来てる」
「分かってるって」
「……それいいね」
国彦が手に何か道具を持っているのがチヨ子にも見えた。
「これか? 便利だろ」
「アタシも今度買お」
丁度チャット上で陽太郎が<次の信号、右に>と言っている。曲がる直前には減速が必要だと無免許のチヨ子でも理解できている。自動運転の時とは比べ物にならないほど高速のままで、車は交差点へ入っていった。
ドアの上についている手すりを握り、振り落とされないようシートベルトに体重をかけてわざとロックさせ、カバンからキーホルダーを外して準備した。
ミルキィと似た茶色のクマが描かれたアクリルのキーホルダーだ。大きく、なかなか硬い。
「じゃ、行ってくる」
曲がる瞬間軽く踏まれたブレーキに合わせ、国彦が車体右側のドアを開けた。チヨ子はギリギリドローンが見える程度の高さまで窓から頭を出し、釣り糸を投げる要領でキーホルダーを適当に放り投げる。当たらなくても良い。牽制程度で良い。国彦が手に持っていた道具は長さに制限があるため、ドローンが低空飛行するようセンサに引っかかれば十分だ。
「っしゃ、ばっちこーい!」
右折する車の動きに合わせ、国彦は開け放たれたドアから転げ落ちるように飛び出した。チヨ子は遠心力で反対側に飛ばされそうになりながら、落ちた国彦が無事かどうか必死に目を開ける。
「ぐおっ」
黒いアスファルトに肩や膝をぶつけ、肘で止まりながら国彦が着地する。車はそのまま十字路を直進していくが、国彦は目で追うこともなく真っすぐ来た道を見据えた。宙に浮くもの目掛けて小さなものが降ってきている。
膝をついて勢いよく立ち上がった国彦の手には、ぐるぐると巻き取られたコードと先端のジャック端子、もう片方の手には安っぽいプラスチック製の棒が握られていた。
棒の先にはぐしゃぐしゃになっている緑色の網が丸い輪に沿うようにして付けられ、末尾はすぼまっている。虫取り網だ。伸縮する柄は細く、明らかに百円均一で購入しただろう質の悪さが目立つ。
国彦は走った。チヨ子の投げたキーホルダーは、パブリックシギント・ドローンの脳天に小気味良い音を立てて当たった。だがやはり当たるだけで落下する気配はない。滞空し、そのまま少しずつ高度が下がっている。
「届けェッ!」
虫取り網を空高く掲げて振った国彦は、目にもとまらぬ速さで網を四度往復させた後、五度目でようやくドローンを捕まえた。
まるで車から投げ捨てるような軌道を描きながら、ぽぽぽっと音を立てて火の尾が引いた。
「う、うわあ……」
滋行が隣でドン引きしている。国彦は後部座席で興奮気味だ。
「やべぇー! なんだそれ!」
「動画で見た」
「危なくないのか」
「ちょっと熱いけど、ドローンの目くらましにいいんだってさ。熱のセンサ? とかいうやつ誤魔化すの」
国彦が後部座席から前のめりになって中央へ頭を挟んでくる。チヨ子は助手席側の窓から乗り出していた身体を引っ込め、すとんと席へ座り直した。
「あ、ベルトベルト……」
念のためシートベルトを締める。
「律儀に締め直すのかよ」
「さっきみたいに急ブレーキされたら困るし。ずっとハンドル握ってるんでしょ? 信号無視するなら当たり前じゃん」
信号機が能動的に通行する車へ「赤か青か」といった交通情報を送信し、自動運転をスムーズに動かすシステムが一般化して早二十年。エレクトラフィックライトと通称がついているが、チヨ子のようなハタチ未満の若年層にとっては「信号機とはそういうもの」という認識だった。特段名前を付けて呼ぶことはない。
「う、まぁ確かに……だってな、誘導なんて従ってたら教授に追いつけないだろ」
「次の信号とその次の信号、車はなんだって?」
「青、赤」
「一つ目通り過ぎたら迂回ルート?」
「だな」
「あ、ねぇ安倍さん。足、早い?」
「自信はあるぜ」
「靴紐、締め直した方がいいかも。アタシヒールだから無理!」
国彦が後部座席へ引っ込み、靴の紐を締め直し始めた。
「任せとけ! 絶対追いつく!」
<ヨウタロさん、どう?>
緊急事態で苗字を思い出せないチヨ子は、周囲から聞こえる名称で陽太郎を呼んだ。宮野と金井が側にいるはずの陽太郎は、リアルでの仕事と並行しながら行っていた動画のラベリング作業を中断してコチラの手伝いをしてくれている。まだ電車内で、既に東京には入ったらしい。
<そうだなぁ、斜め右に行こうとしてるっぽいから次の信号は右折がいい。対向車は?>
<なし>
<そのペースで行けば数分しないうちに追いつくぞ。ドローンはどうだ?>
「さっきの火でセンサが麻痺ってるっぽい。耐水はあっても耐炎って珍しいんだって言ってたの思い出してさ」
「なるほど。火炎放射してくるドローンは別として、汎用型相手なら良いアイディアだ」
「かっ、かえんほーしゃ!? そんなのあるわけ……えっ?」
国彦と滋行は無言のまま、それぞれ運転と靴紐直しに集中している。チヨ子は難なく察することが出来た。教授と話していた言葉の中の、外国の名前を思い出す。
「グリンピースだっけ? どんだけ危ないの相手にしてきたの? 怖っ」
「おっ、俺らだって初陣だったんだよ!」
「豆じゃなくてグリーンランドな……正直もう二度とあんな目には合わないだろうって思ってたんだけどなー」
国彦がやけくそに笑っている。手元にはポータブルPCが握られていて、ジャック穴から生えるコードは二又だ。一方はこめかみへ。もう一方は手でぐるぐると巻き取る程途方もなく長いコードで、その先には何も刺さっていない。
「日本であんなことしようってんなら、コッチだって迎え撃ってやる!」
車は信号を一つ越えてから右折した。
<次、自転車屋を左。すぐの狭い交差点を右>
「了解」
<大通り青で行けるか>
「飛ばす」
滋行は陽太郎の支援を受けて順調に走っているらしい。チヨ子は上を覗き込もうと首を捻るが、建物や風に邪魔されよく見えない。スマホは脳波コン用のオンラインデバイスとして使っていて、カメラを起動するような余裕はない。
何か代替案はないかとカバンを探ると、大きな板のような感触が指先に触れた。
「あ、そーだ」
取り出したメイク用の三面鏡を開き、窓から上へ向けて広げる。様々な方向を反射させると空を重点的に探した。映り込みの角度を調整して、他になにも飛んでいないか調べる。
「もう追ってこないのかな……音はするけど」
ドローンの大きな音は先ほどより小さくなったが、まだ一機はどこか近くを飛んでいるはずだ。しかし火の目眩しなど効くのか眉唾だったが、想像以上に音は小さい。
その時、鏡の中に黒い点がすっと滑り込んできた。
目を凝らさなくても、小学生ですら知っている丸みを帯びたフォルムが分かる。目を凝らせば白黒の中にクッキリとした赤の、目が覚めるような警戒カラーが目に飛び込んできた。チヨ子はひやりとしながら、上ずった声で二人へ伝える。
「うっわ、パブリックシギントっ! すぐそこにいる!」
「まじ? やっべ」
運転手の滋行が背筋を伸ばした。
積極的に速度超過を取り締まることは出来ないが、過去にオービスやNシステムと呼ばれた交通安全システムを全て備えているのがパブリックシギントシステムだ。電柱より高い空をドローンと同じように内蔵プロペラで飛んでいる。
挙動が普段よりグラグラとしていて、こちらを監視しているようにも見える。自動運転を切って違法な加速をする危険運転車両だと思われているようだった。
「狙われてるっぽいけど」
「へ、逆にいいタイミングだ! そのパブシギ乗っ取ってやる!」
「クニ、国彦……お前無茶言うな。日本の警察が実力を結集させて作ってる防犯ドローンだぞ?」
「出来るって。<ギャンさんにコール・ルームに招待>」
国彦が音声認識で操作すると、グループチャットルームにアイコンが一つ増えた。その間にもコードとPCを繋ぐジャック近くにあるつまみをグリグリと動かしている。
<見てたぞ~。安心しろォ、もう人員送ってっからぁ~>
<うわ、なんで>
<あ? 逆にオツカイなんてヒヨッコだけで出来るなんざ思ってねぇってーの>
ぐにゃりと力の抜ける声だ。
<え、誰>
<先輩。超凄腕ハッカー>
<チミらは教授そのまま追跡な。あ、黒ネンド汚染機体は回収してーなー>
<りょ、了解……後で戻ります>
<ま、ケーサツに任せてもいーんだけどよぉ。どうせ捨て垢特攻機さね>
癖のある喋り方で管を巻く男の声がするものの、チヨ子には興味を持つような余裕はない。空中を忍者のように飛ぶ静かなドローン・パブリックシギントを監視するのに忙しい。滋行は一転して交通ルールを守った安全運転を心掛けているようだが、自動運転を切って人の手で運転しているだけで要注意車両扱いだ。
「おい、シゲ! 速度落ちてんぞ!」
「いやだって前科とかつけたくないんだけど!」
<え、追っかけてくれや。GPS信号? あんなのどうにでもいじれるんだぜぇ?>
<ちょっとミルキィちゃんを投げ捨てるってこと!?>
<偽装工作なんて教授的には歯磨きより簡単だってこった、嬢ちゃん。捨てるだけじゃなくて、ナァ>
鼻息が荒くなる。右と背後も荒っぽく言葉を交わしていた。
「言ったってアレ、一応警察だぞ!」
「でも機械だ。何とかなる」
「人の目でモニタしてるだろ」
「見られる前に切ればいいさ。先輩を信じようぜ」
国彦がチャット欄にアスキーアートで土下座する人間を描いた。ショートカットキーでも設定しているのだろうか。今必要なのかとチヨ子はイラついた。
<てなわけで! 何とかお願いしますって、ギャンさん! 俺らの上空にいるパプリックシギントドローン、ちょっとオフラインに出来ない?>
<そりゃー簡単だけど、お前さんら民間人のくせにやりすぎだぞ>
<ギャンさんだって民間人じゃん>
<やれるなら早くやってよ。アタシだって忙しいんだけど>
チヨ子は必死に三面鏡の内の一枚をコントロールし、光がドローンへ当たるよう努力していた。つくばの中央エリアからどんどん外れていっているため、建物が明らかに低くなってきている。
<忙しい?>
<ヘへーん! カメラに太陽光当てるとバグるのも知ってんの、ウチ。ねぇねがウガウガ言ってた。スペクトなんとかが形を取るのむずくて、エラーなるって>
一生懸命鏡を使って太陽光をドローンのカメラアイ部分へ当てているが、効果があるかは理系ですらないチヨ子には分からない。だが追尾されているものの今すぐ突っ込んでくる様子はなく、むしろのようにブレた動きを維持している。
<お嬢ちゃん上手いぞ~。そのままガンバレ。それ、スペクトラム拡散っつってなァ>
<ギャンさん>
国彦が喋りたげな男を制した。
<おっとスマン! っひゃひゃ! いいぞー、クニ。そのままキレのあるツッコミで有線接続だ。あ、車のナンバープレートデータが入ってるチップな、送信が普通にIP無線なんだわ。レンタカーなら大抵電源が助手席側の右ひざの脇ンとこにあっからよォ、コード引っこ抜いとくといいぞ>
チヨ子は右手を鏡から放そうとするが、すぐにぐらりとブレて光の当たり方が変わる。すると急に上空の警察製ドローンがガクンと高度を下げてきた。慌ててしっかり両手で持ち直すと狙った場所へ光が定まり、ドローンの動きがまた挙動不審に戻る。電柱にぶつかりかけ、速度を落とし、また加速して追いついてくる。
「シゲさぁん、まじ無理手離せない。抜いてー」
「おおお、俺!? ふ、太もも触っても怒るなよ!?」
「早くー」
こめかみがキンキンうるさいのに眉をしかめながら、チヨ子は隣のウブな運転手を急かした。片手ハンドルになって滋行がチヨ子の右太もも右側を探る。どうしてもちょいちょい手の甲がチヨ子の太ももに当たり、制服のスカートが擦れた。
気にするほどの接触でもないが、流行は「あわわ」と慌ててIP無線の線を探っている。
「あ、あった! これだぁっ!」
泣きそうな声にチヨ子は思わずクスッと笑った。
<有線!? 無理無理!>
腕の先へ集中したいというのに、響く電子の文章が目まぐるしく意識を散らす。
<ちょ、ギャンさん! 有線コード差し込むったって空飛んでんだよ!? 無理だ! 落としてくれよ!>
<ンなの無理だって。石でもなんでも当てれば自動で緊急着陸すっから。ホレ、早う><シゲ代われ!>
<やだ>
<お前の方が上手いだろ!? 野球!>
<今関係ないだろそれ。お前に運転できるなら代わるぞ>
<やってやるから! 運転するから交代!>
<冗談だよ、仮免くん>
<くっ、くそーっ!>
どうでもいいとチヨ子はイライラしながら聞く。先輩だと紹介された男が注意するかと期待したが、続いたメッセージにため息をついた。
<他にドローン飛んでるなら『味方機』つくった方が良いだろうなァ。つっても、ケーサツに見られて前科一犯ってのが一番やべーぞー>
「うわー!」
滋行が悲鳴を上げた。
「早く早く!」
「石!? 車止めてくれよ、拾えないぞ」
「んなことしたら教授に追いつかないだろ!」
「どうすりゃいいんだよばかー!」
チヨ子は強く足でダッシュボード下を蹴り上げた。鈍く大きな音が車内に響く。
「あー! うっせえーっ!」
一回大きく叫ぶと、露出している手首を動かさないようにしたまま顔を近づけて口を開く。そこそこ太めのバングルを着けており、軽く留まっているだけの金具を歯で噛んで外した。金属のパーツが一本の紐のようになる。
「はぐ、ふんっ!」
唇をすぼめて咥え、顔を振って車の中に投げ入れる。じゃらっと音が続き国彦が慌てて受け取った。
「え!? なに!? 時計!?」
「違う、バングル! 元カレに貰ったやつだから要らないし。羽狙ってよ? 投げれば引っかかるでしょ!」
<お、いいねぇ~紐っぽいのでブレード絡めるのいいねぇ~>
<オッサンはなんだっけ、ハッキング? するんでしょ?>
<そっちは任せな。あ、オッサンのことはギャンって呼んでくれや、嬢ちゃん>
<アタシ林本! ギャンさん準備いい!? いくよ!>
ほぼ同時に後部座席へ振り向いて叫ぶ。
「安倍さん、準備いい!? 鏡外すからね!」
チヨ子は鏡ごと腕を窓から引っ込める。
「え」
「来るよ!」
鏡で反射させて当て続けた太陽光の効果はあったらしい。遠い上空に漂っていたドローンが動きを変えた。強い光がなくなり通常へと戻った視界を頼りに、滋行の運転するレンタカーへ勢いよく向かってきた。滑空してくる際の、ぶうんと大きな虫のようにも聞こえるプロペラ音が車内にまで響く。
「うわあああ!」
国彦はへその辺りまで窓から身体を出し、慌ててバングルを上へ放り投げた。視界の端をかすめた気配には気付けたが、チヨ子は鏡を引っ込めたせいで目視出来ない。
「どう!?」
チヨ子が訊ねた声とほぼ同時に、大きなものへ小さなものがぶつかったような金属音が聞こえた。
「……当たったけど当たっただけだー!」
「次!」
「お、おう!」
国彦は上半身を車内に戻し、後部座席の中を荒らすようにして使えそうなものを探し始めた。チヨ子は冷静に左腕のバングルを外し、身を乗り出す。一度目がぶつかったドローンは速度が落ちたのか、車の後方をゆっくり飛行し距離が開き始めていた。
「どーすんの? 壊すの?」
「こっ、壊したら器物破損になる! 俺が回収して味方機にするから、先に教授追いかけろ!」
「え、二人で行けってこと?」
「頼むぞシゲ」
「気をつけろよクニ。敵性ドローンもう一台、多分まだ生きてるぞ。あと『黒ネンド運搬機』もきっと来てる」
「分かってるって」
「……それいいね」
国彦が手に何か道具を持っているのがチヨ子にも見えた。
「これか? 便利だろ」
「アタシも今度買お」
丁度チャット上で陽太郎が<次の信号、右に>と言っている。曲がる直前には減速が必要だと無免許のチヨ子でも理解できている。自動運転の時とは比べ物にならないほど高速のままで、車は交差点へ入っていった。
ドアの上についている手すりを握り、振り落とされないようシートベルトに体重をかけてわざとロックさせ、カバンからキーホルダーを外して準備した。
ミルキィと似た茶色のクマが描かれたアクリルのキーホルダーだ。大きく、なかなか硬い。
「じゃ、行ってくる」
曲がる瞬間軽く踏まれたブレーキに合わせ、国彦が車体右側のドアを開けた。チヨ子はギリギリドローンが見える程度の高さまで窓から頭を出し、釣り糸を投げる要領でキーホルダーを適当に放り投げる。当たらなくても良い。牽制程度で良い。国彦が手に持っていた道具は長さに制限があるため、ドローンが低空飛行するようセンサに引っかかれば十分だ。
「っしゃ、ばっちこーい!」
右折する車の動きに合わせ、国彦は開け放たれたドアから転げ落ちるように飛び出した。チヨ子は遠心力で反対側に飛ばされそうになりながら、落ちた国彦が無事かどうか必死に目を開ける。
「ぐおっ」
黒いアスファルトに肩や膝をぶつけ、肘で止まりながら国彦が着地する。車はそのまま十字路を直進していくが、国彦は目で追うこともなく真っすぐ来た道を見据えた。宙に浮くもの目掛けて小さなものが降ってきている。
膝をついて勢いよく立ち上がった国彦の手には、ぐるぐると巻き取られたコードと先端のジャック端子、もう片方の手には安っぽいプラスチック製の棒が握られていた。
棒の先にはぐしゃぐしゃになっている緑色の網が丸い輪に沿うようにして付けられ、末尾はすぼまっている。虫取り網だ。伸縮する柄は細く、明らかに百円均一で購入しただろう質の悪さが目立つ。
国彦は走った。チヨ子の投げたキーホルダーは、パブリックシギント・ドローンの脳天に小気味良い音を立てて当たった。だがやはり当たるだけで落下する気配はない。滞空し、そのまま少しずつ高度が下がっている。
「届けェッ!」
虫取り網を空高く掲げて振った国彦は、目にもとまらぬ速さで網を四度往復させた後、五度目でようやくドローンを捕まえた。
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