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1 女子高生の楽しいおじさんライフ
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リアルではとんと見なくなった粉雪も、この幻想的な仮想世界では気軽に見に行ける。音が全て吸収されているような静けさと、視界にチラチラ入ってくる優しい綿毛のような雪が、ここを雪原の広がる南東の雪湖エリアだと教えていた。
フルダイブVRMMOの中でも少し人気の落ちぶれたfrozen-killing-online、通称フロキリ。この世界の名物こそ、フィールドの八割で雪が降るミドガルドの美しい景色だ。
新雪を踏む軽やかな音が、ひっきりなしに響く。情緒もなにもない。美しい景色と相まって、音を立てる二人の男の様子は異様だった。歩きづらいであろうに、ほぼ駆け足で進んでいる。二人の足音のはずなのに、軍隊の行進のような喧しさだ。
雪を踏む靴は、頑固な岩のように強固さを主張していた。爪先は特に分厚く、また金属の艶が全体を重く感じさせる。実際重いのだろう。ふわりとした雪原は深く膝のあたりまで踏み込まれていた。
足から上を、重厚な鎧が覆っている。形は統一されておらず、片方はスッキリとした肩周りにマントを棚引かせ、胸当てに華美な装飾のある貴族のような鎧をまとっていた。
もう一方の男は、肩や腕周りに防御を集めたような形をした、いかにも実用的な傭兵の鎧であった。だが細部に目を凝らすと、無駄の無い工夫が凝らされている。それは排気口であったり、隠しナイフであったりした。
共通しているのは、そのどちらも一級品だと分かる上質さ。無骨ながらも洗練されている、艶やかでいて下品さの無い、そして装着者の動きを邪魔しないフォルムをしていた。
二人のうち、後ろを歩くのは、鈍く光る黒銀の鎧を装備した大剣使いであった。剣もまた黒く、白銀の雪の世界でよく目立つ。何より目を引くのは、碧海色に光る宝石が中央に輝いていることだった。時折陽炎の向こうのように揺らめき光るそれは、底冷えする圧を感じさせる。
「さあて、と」
ふと最前方を進む男が立ち止まり、そう呟いた。男はその背に巨大なハンマーを背負っている。高貴な金色に輝くそれは、刺さると痛そうなトゲの装飾を美しく施され、実用的には思えなかった。
「今日こそあのニワトリトカゲを倒してやろうぜ!」
ハンマーの男が振り返りながら声を挙げる。笑いかたや下がった目尻から年齢の割には軽そうな印象を与える男だ。だが、強い意識、気概のある目をしていた。
もちろんデジタルのポリゴンで出来たアバターだ。だが大剣を担ぐ男は、彼が見た目と違いしっかりものであることを知っている。そう思えるのだ。
黒く銀に輝く大剣の男は、長年の付き合いで彼をそう感じ取っていた。
「あぁ」
長年の相棒に短い返事を返した。ハンマーの男も、彼をよく知っている。無口で表情が変わらない、物静かな大男だ。だが彼が思いやり溢れるいい男だと知っている。棒立ちする初心者プレイヤーの手を引いて、無言のままチュートリアルに同行するような、不器用だが優しい男だと。そのアバターのなりで損をしていることも、腕の立つアタッカーであることも。
だがこれだけは知らなかった。
「頼むぜ相棒!」
大剣を持つアバターの主が、自分より二回りも年下の少女であることを。
仕事終わりに合流していると思っていた相棒が、学校と部活動を済ませて合流している女子高生であることを。
「おまえもな、相棒」
彼女は言うつもりもなかった。
エインシエント=コカトリス、というボスモンスターを狩るために、二人は一週間前から準備をしていた。その名の通り、鶏と蛇が合わさったような姿をしたモンスターである。
もともとこのモンスターは大人数討伐用に設置されたもので、プレイヤー二人で倒せるように作られていない。回復職、遠距離である弓、銃使い。そして壁役と打撃、斬撃が何枚か必要になるのが大人数討伐クエストである。
しかしゲーマーは無限の新境地を開拓したい生き物である。
したがって、そのセオリーとやらを無視し、無謀なプレイを楽しむのだ。
「エンゲージっ!」
まず打撃攻撃職のハンマーが接敵する。大剣は視界に入らないよう位置取りしつつ、敵後方に回り込む。気づかれないよう、ハンマーは派手に立ち回り、属性攻撃を蓄積させてゆく。浅いヒットでも構わない。ダメージを喰らわないよう、安全第一な立ち回りが求められる。
この世界でのハンマーの特徴は、属性を敵に蓄積させてゆくことだ。この男のハンマーはランク・ダブルエスの毒沼蛙王フログロ=グスを素材にしたもので、その名の通り毒を蓄積させる。敵であるニワトリモンスターも毒属性だが、毒無効は持っていない。よって毒が効いてゆく。
「毒ったぞー!」
浅いヒットでもクリティカルでも、属性ダメージは変動がない。回避優先で浅い攻撃を繰り返し、数分もたたずに毒状態に追い込んだ。
何度も挑んだ敵である。序盤の攻撃パターンは把握しており、ここまでは無傷だ。
敵の溜め攻撃モーション。脳天への一定ダメージでキャンセルができる。
ハンマー男がチャージからの先制攻撃。心地の良いヒット音。敵の攻撃モーションが止まり怯みになる。
「設置完了、エンゲージ」
気づかれないよう動いていた大剣が敵後方に設置罠を3つ配備し終え、敵にチャージからの攻撃を深めに与えた。クリティカル。いままで敵に気づかれなかったのは、ハンマーの立ち回りの上手さもあるものの、「隠密の巻物」というアイテムを使用していたからだ。認識判定を半減させるアイテムだが、攻撃モーションをするだけで効果が切れてしまう。
低く耳障りな敵ボイスが響く。強力な範囲攻撃の前兆だ。通常大人数討伐では、支援職の防御スキルなどで凌ぐ。だがたった二人、どちらも近衛で防御スキルなど持っていない。そうなると方法はただ一つ。
タイミングを見計らい、モーションを発動する。VR世界では脳で体を動かす電気信号がコントローラだ。いかに瞬時に判断し、正確なモーションをイメージできるかが腕の見せ所である。二人は的確に仮想の体を操作できた。
爽快感のあるサウンドエフェクトが鳴り、アバター全体が青白く発光する。光の尾を引きながら、ボディが高速で任意の方向へ滑り込む。
ジャストタイムでの回避行動、【見切り】スキルである。
支援が見込めない少人数プレイでの必須スキルであり、その成功判定はシビアである。このVRMMO、フロキリの見切り判定の厳しさたるや、古参プレイヤーでも成功率は6割を切る。その厳しい見切りを、この二人は完全に習得していたのであった。
戦闘系ギルドでひたすらに高難易度のクエストをこなしてきた二人は、古参プレイヤーを越える技術を手にしていた。
一定ダメージを与えると、モンスターは個体差があるものの怯みを見せる。このエインシエント=コカトリスの特徴は、怯み時の後ずさりであった。
圧倒的なハンマーの攻撃が続く。大剣の肉を断つ鋭い攻撃が続く。エインシエント=コカトリスが悲鳴を一泣き。ハンマーの攻撃を喰らい一歩二歩下がるニワトリは、そのまま大剣が設置した罠を踏み、飛び出たトゲに貫かれた。罠は全部で3つ。そのうちの2つにかかった。
「ラッシュ!」
「よし!」
すかさず二人が一斉に連続攻撃のモーションに移行する。罠はダメージを与えるとともに、数秒動きを拘束するアイテムだ。この数秒は大きい。反撃されることなく、クリーンヒットを飛ばして行く。
いい調子だ。これはいけそうだ。二人にはその確信があった。それは勘が大部分を占める経験則だった。
「おおお、喰らった!」
ニワトリのHPがおおよそ半分まできたところで、やっと敵の攻撃がハンマーの男に当たった。ダメージを喰らった男が後ろに吹き飛ばされる。いかに完璧に見切れるとしても、敵の攻撃の予測の上での話である。また、攻撃モーション中に見切る場合は、回避できるエリアに制限が出る。様々な要素が組み合わさることで、彼らは完全に攻撃を回避することができない。敗北を帰している大きな理由の一つだった。
当たりはほどほどに深く、男のHPゲージが4割持って行かれる。3回も当たると即死、一人が倒れるともう一人は数分も持たないのがいつもの流れであった。
「下がって回復しとけ」
大剣の男はそう言うと、右手で担いだ大剣を大きく振りかぶる。モーションが翻る。赤と黒の稲妻が剣を取り巻き、収縮音が鳴り始める。
男の背丈を超えた大剣が、まるでレイピアのような動きで敵を斬りつけてゆく。重いはずの大剣が、まるで木枝のように振るわれてゆく。
男が愛用するスキル、「落陽」だ。18連撃の末、男の剣は半円型の軌道を描く。赤と黒の光がしばらく留まり、揺らぎ、まるで夕日のようであった。
大剣の男が敵に攻撃を与えている間、ハンマーの男は後方で回復アイテムを使用していた。左手で腰の袋の口を引っ張る。アイテムボックスを開封するジェスチャである。
するとアイテムのアイコンが眼前に横一列で現れる。現実世界のスマホと同様、アプリを選ぶ感覚でスクロール&タップする。桃のアイコンだ。すぐに効果が現れるが、アイコンはグレーになりカウントダウンが始まる。180から始まるその数字は、「アイテムがまたアクティブになるまでの時間」だ。
このゲーム内では、アイテムにはリキャストタイムがある。グレードの高いアイテムであればあるほど、リキャストタイムが長く設定されている。男はゲーム内のショップで購入出来る回復アイテムで最上級のグレード、ランクエスの「蓬莱の桃」を使用した。アイテムが再度使用できるようになるまで3分かかる。だがこのアイテムでないと、HPを完全回復などできないのである。
ニワトリともトカゲとも取れるモンスターは、まだ技を喰らった衝撃で怯み状態だった。これ幸いと、接敵しチャージを開始する。狙うは脳天・トサカの部分だ。打撃系武器は頭や足を狙い状態異常を誘うのが効果的であり、数秒かかるチャージを行うことでクリティカルの可能性が跳ね上がる。
「ほい」
力を込めた動作にも関わらず、声にハリがない。VRならではの、脳で体を動かしているからこその、適当な声。動作そのものは筋肉が唸り迫真に迫る、此処一番の渾身のモーションだ。
右肩に担いだハンマーから、紫と黒の粘着物質が噴き出している。マグマのように沸き立つそれは、時折空気中で弾け凶悪さに拍車をかけている。金に輝く華美なハンマーとは到底似つかわしくないエフェクトである。ストレートに毒を思わせるハンマーを、猛烈な勢いで横方向にスイング。鳥とは思えない低音の悲鳴、続けざまの下からのアッパー、男の体がハンマーとともにふわりと浮き上がった。
滞空。瞬間。
「めり込めぇ!」
全体重を掛け、毒を振り撒きながら、凶悪な武器を頭上からぶちこむ。衝撃に耐えかねたコカトリスが床にくちばしを突っ込みながら沈んで行く。
「まだだ!」
前回、ここで手を緩め胴体に斬り込んだのが敗因だった。大剣を振るう男が攻勢に入れ替わり、地面にくちばしを差したニワトリに追い討ちをかける。
身動きの取れない頭に、斬るのではなく押し込むように剣を叩き込んだ。
あとの戦闘は一方的であった。頭が地面にめり込んだモンスターをアタッカー二人掛かりでタコ殴りしたのである。起き上がるたびにダウンを狙い、反撃の隙を与えない。一度全範囲攻撃をされたものの、難なく見切りで回避した。
敵の体が爆発するエフェクトが起き、軽快なクエストクリアの音楽が響く。
「よっしゃあ!」
ドロップアイテムを手に、喜ぶ二人。辺りに散らばっている戦利品は、決して苦労に見会うほどレアリティの高いものではない。だが、通常6名以上で狩るモンスターだ。報酬アイテムの取り分の量は、通常を遥かに越えるものであった。
「いつも通り、酒場で分けるぞ」
「そうだな。おいガルド、テメェ今日こそ飲め!奢るって!」
指を指されつつ飲酒を勧められた大剣の男、ガルドは首を振った。
「悪いな榎本、遠慮しておく」
榎本と呼ばれたハンマーの男はオーバーなほど残念そうな顔で「相変わらずだなおい!」と呆れる。
プレイ歴4年のこの榎本とガルドのコンビは、ブームを過ぎ閑散とし始めたこのゲームのなかでそこそこ名の知れた戦闘系プレイヤーであった。
ガルドというアバターを作る時、宿主である佐野みずきは迷わず中年の男キャラを選択した。ヒューマンやエルフ、ドワーフ、巨人、妖精などそれは様々な種族も選べたが、迷わずヒューマンにした。みずきの希望は、「おっさん社会に馴染める容姿」。綺麗な容姿より、おっさんに共感してもらうことを選んだ。
そもそもおっさんになりたい訳ではなかった。ただ、女子高生特有のノリについていけないストレスを解消したいというのが、みずきがVRMMOを始めた切っ掛けだ。そのためにどうするか逆算で弾き出した答えこそ、「女子高生と正反対の生態を持つ集団に入る」ことだった。
女子高生の似合う服など分からない。流行の歌も、アイドルも、アニメも知らない。レジャーランドに行ってもベンチに座っていたい。父とともに小料理屋に行くのが趣味で、一期一会で出会うおじ様との会話のために、新聞を読むのが日課だった。酒だけは年齢上口をつけなかったが、つまみは好きだった。ゴルフも嗜んだし、新しいものより古い映画を好んだ。
「みずきってさぁ、女子高生の皮を被ったおっさんだよね」
同級生の女子にそういわれ、自分が女子高生ではなくおっさんだと知った。汚いとか性癖とか、仕草の話ではない。趣味や考え方の部分がおっさんなのだという。同年代の輪の中にいて、疎外感を感じる理由にやっと気がついた。
だからこそ、みずきは今のガルドというキャラクターを居心地よく感じていた。
「エインシエント=コカトリスを二人で!まずその発想が信じられないだろ?」
ヴァーチャルの中とはいえ、酒系統のドリンクはアルコールと同じ効果をもつ。榎本はウイスキーのロックをちびちびなめながら、自分たちの成果を楽しげに振り返っていた。
対するガルドの手にはレモン果汁とレモングラスの入った炭酸水が握られている。脂っこいつまみによく合う、意外と人気のあるドリンクだ。
酒場は常連客とAIのNPCで賑わいを見せている。高度な雑談能力を持つ村人NPCは、プレイヤーに異世界での日常感を引き立たせるエッセンスの役目を担っていた。有名プレイヤーの冒険談、新しいダンジョンの噂など、外界の話は全くしないよう設計されている。
照明であるランタンが、暖かな光で酒場を照らす。ファンタジーらしい機械の無い素朴な店内は、焦茶のオーク材で覆われている。手配書やギルメン募集の張り紙が貼られ剥がざれを繰り返し、壁にあとをつけており、酒と煙草、スパイシーな香水と仄かな花の香りがした。
二人が根城にしている地域にしか咲かない真っ青な椿、そこから名前を取ったこの「青椿亭」はガルドや榎本が足しげく通っている有名酒場だ。各エリアに向かうハブである中央エリアに建っている。高レベルプレイヤー向けとして、ちょっと高級な商品を扱っており、木彫りの看板には椿とジョッキに入ったエールが描かれている。名物だ。年中雪が降るこの地域では、季節を問わず青椿が美しく咲き誇る。その青椿を店内に飾っているため、優しい花の香りが漂っていた。
「あぁ」
「で、だ。ここしばらくの目標を倒したとなりゃあ、次を考えなきゃならねーだろ?」
「そうだな」
無口なガルドに代わり、話を榎本が進行させるのはいつものことであった。あぁ、とそうだな、を繰り返すが、声のトーンで違いが出る。
VR内で設定した声色の通りに出てくるが、完全にはデジタル処理しきれない本人の声がにじみ出る。ガルドの声には、時折吐息のような、線の細い声が混じる。鈴のような音色だ。ガルドの設定したボイスはかなり低めであり、そのままだと聞き取りづらいはずが、ガルドの声だけはよく通った。榎本は、ガルドのリアルの声を「男にしては高い、インドア系な喋り方なんだろうな」と想像していた。
その認識は的外れではない。実際には「女の子にしては低い声で」喋る、大層内向的な人間がガルドをロールプレイしているのだ。
「何がいい?南の孤島エリアとかどうだ?リアルでも雪が降ってんだから、逆に降らないとことかよー」
「あぁ」
「よし決定」
嫌な時ははっきりそう表現するガルドを知っている榎本は、彼の返事が肯定・同意であると判断した。その後、この地方でよく食べられているという白身魚とジャガイモのフライ盛り合わせをつまみながら、次のターゲットについて、時折、ギルドに持ち上がっているある話題について話しあった。
このある話題というのは、目下ガルドにとって悩みの種なのであるが、それを隠している。無口ゆえ、特にそんなそぶりも見せずに話題は進んでいった。
肉厚な魚の柔らかさと、揚がった油の香りが口に広がる。飾らない味わいに舌鼓を打つ。榎本は塩を多目に振りかけるが、ガルドはケチャップを好んだ。皿を挟んで一方的に話す榎本、時折返事を返すガルドだが、二人はまさしく話し合っていた。この話し合いも、ガルドにとって楽しい時間の一つだ。
「分かりやすく同意しないと聞いていないのと同じ」というリアルの会話が苦痛だった彼女にとって、彼との会話は気持ちの良いものだった。
フルダイブVRMMOの中でも少し人気の落ちぶれたfrozen-killing-online、通称フロキリ。この世界の名物こそ、フィールドの八割で雪が降るミドガルドの美しい景色だ。
新雪を踏む軽やかな音が、ひっきりなしに響く。情緒もなにもない。美しい景色と相まって、音を立てる二人の男の様子は異様だった。歩きづらいであろうに、ほぼ駆け足で進んでいる。二人の足音のはずなのに、軍隊の行進のような喧しさだ。
雪を踏む靴は、頑固な岩のように強固さを主張していた。爪先は特に分厚く、また金属の艶が全体を重く感じさせる。実際重いのだろう。ふわりとした雪原は深く膝のあたりまで踏み込まれていた。
足から上を、重厚な鎧が覆っている。形は統一されておらず、片方はスッキリとした肩周りにマントを棚引かせ、胸当てに華美な装飾のある貴族のような鎧をまとっていた。
もう一方の男は、肩や腕周りに防御を集めたような形をした、いかにも実用的な傭兵の鎧であった。だが細部に目を凝らすと、無駄の無い工夫が凝らされている。それは排気口であったり、隠しナイフであったりした。
共通しているのは、そのどちらも一級品だと分かる上質さ。無骨ながらも洗練されている、艶やかでいて下品さの無い、そして装着者の動きを邪魔しないフォルムをしていた。
二人のうち、後ろを歩くのは、鈍く光る黒銀の鎧を装備した大剣使いであった。剣もまた黒く、白銀の雪の世界でよく目立つ。何より目を引くのは、碧海色に光る宝石が中央に輝いていることだった。時折陽炎の向こうのように揺らめき光るそれは、底冷えする圧を感じさせる。
「さあて、と」
ふと最前方を進む男が立ち止まり、そう呟いた。男はその背に巨大なハンマーを背負っている。高貴な金色に輝くそれは、刺さると痛そうなトゲの装飾を美しく施され、実用的には思えなかった。
「今日こそあのニワトリトカゲを倒してやろうぜ!」
ハンマーの男が振り返りながら声を挙げる。笑いかたや下がった目尻から年齢の割には軽そうな印象を与える男だ。だが、強い意識、気概のある目をしていた。
もちろんデジタルのポリゴンで出来たアバターだ。だが大剣を担ぐ男は、彼が見た目と違いしっかりものであることを知っている。そう思えるのだ。
黒く銀に輝く大剣の男は、長年の付き合いで彼をそう感じ取っていた。
「あぁ」
長年の相棒に短い返事を返した。ハンマーの男も、彼をよく知っている。無口で表情が変わらない、物静かな大男だ。だが彼が思いやり溢れるいい男だと知っている。棒立ちする初心者プレイヤーの手を引いて、無言のままチュートリアルに同行するような、不器用だが優しい男だと。そのアバターのなりで損をしていることも、腕の立つアタッカーであることも。
だがこれだけは知らなかった。
「頼むぜ相棒!」
大剣を持つアバターの主が、自分より二回りも年下の少女であることを。
仕事終わりに合流していると思っていた相棒が、学校と部活動を済ませて合流している女子高生であることを。
「おまえもな、相棒」
彼女は言うつもりもなかった。
エインシエント=コカトリス、というボスモンスターを狩るために、二人は一週間前から準備をしていた。その名の通り、鶏と蛇が合わさったような姿をしたモンスターである。
もともとこのモンスターは大人数討伐用に設置されたもので、プレイヤー二人で倒せるように作られていない。回復職、遠距離である弓、銃使い。そして壁役と打撃、斬撃が何枚か必要になるのが大人数討伐クエストである。
しかしゲーマーは無限の新境地を開拓したい生き物である。
したがって、そのセオリーとやらを無視し、無謀なプレイを楽しむのだ。
「エンゲージっ!」
まず打撃攻撃職のハンマーが接敵する。大剣は視界に入らないよう位置取りしつつ、敵後方に回り込む。気づかれないよう、ハンマーは派手に立ち回り、属性攻撃を蓄積させてゆく。浅いヒットでも構わない。ダメージを喰らわないよう、安全第一な立ち回りが求められる。
この世界でのハンマーの特徴は、属性を敵に蓄積させてゆくことだ。この男のハンマーはランク・ダブルエスの毒沼蛙王フログロ=グスを素材にしたもので、その名の通り毒を蓄積させる。敵であるニワトリモンスターも毒属性だが、毒無効は持っていない。よって毒が効いてゆく。
「毒ったぞー!」
浅いヒットでもクリティカルでも、属性ダメージは変動がない。回避優先で浅い攻撃を繰り返し、数分もたたずに毒状態に追い込んだ。
何度も挑んだ敵である。序盤の攻撃パターンは把握しており、ここまでは無傷だ。
敵の溜め攻撃モーション。脳天への一定ダメージでキャンセルができる。
ハンマー男がチャージからの先制攻撃。心地の良いヒット音。敵の攻撃モーションが止まり怯みになる。
「設置完了、エンゲージ」
気づかれないよう動いていた大剣が敵後方に設置罠を3つ配備し終え、敵にチャージからの攻撃を深めに与えた。クリティカル。いままで敵に気づかれなかったのは、ハンマーの立ち回りの上手さもあるものの、「隠密の巻物」というアイテムを使用していたからだ。認識判定を半減させるアイテムだが、攻撃モーションをするだけで効果が切れてしまう。
低く耳障りな敵ボイスが響く。強力な範囲攻撃の前兆だ。通常大人数討伐では、支援職の防御スキルなどで凌ぐ。だがたった二人、どちらも近衛で防御スキルなど持っていない。そうなると方法はただ一つ。
タイミングを見計らい、モーションを発動する。VR世界では脳で体を動かす電気信号がコントローラだ。いかに瞬時に判断し、正確なモーションをイメージできるかが腕の見せ所である。二人は的確に仮想の体を操作できた。
爽快感のあるサウンドエフェクトが鳴り、アバター全体が青白く発光する。光の尾を引きながら、ボディが高速で任意の方向へ滑り込む。
ジャストタイムでの回避行動、【見切り】スキルである。
支援が見込めない少人数プレイでの必須スキルであり、その成功判定はシビアである。このVRMMO、フロキリの見切り判定の厳しさたるや、古参プレイヤーでも成功率は6割を切る。その厳しい見切りを、この二人は完全に習得していたのであった。
戦闘系ギルドでひたすらに高難易度のクエストをこなしてきた二人は、古参プレイヤーを越える技術を手にしていた。
一定ダメージを与えると、モンスターは個体差があるものの怯みを見せる。このエインシエント=コカトリスの特徴は、怯み時の後ずさりであった。
圧倒的なハンマーの攻撃が続く。大剣の肉を断つ鋭い攻撃が続く。エインシエント=コカトリスが悲鳴を一泣き。ハンマーの攻撃を喰らい一歩二歩下がるニワトリは、そのまま大剣が設置した罠を踏み、飛び出たトゲに貫かれた。罠は全部で3つ。そのうちの2つにかかった。
「ラッシュ!」
「よし!」
すかさず二人が一斉に連続攻撃のモーションに移行する。罠はダメージを与えるとともに、数秒動きを拘束するアイテムだ。この数秒は大きい。反撃されることなく、クリーンヒットを飛ばして行く。
いい調子だ。これはいけそうだ。二人にはその確信があった。それは勘が大部分を占める経験則だった。
「おおお、喰らった!」
ニワトリのHPがおおよそ半分まできたところで、やっと敵の攻撃がハンマーの男に当たった。ダメージを喰らった男が後ろに吹き飛ばされる。いかに完璧に見切れるとしても、敵の攻撃の予測の上での話である。また、攻撃モーション中に見切る場合は、回避できるエリアに制限が出る。様々な要素が組み合わさることで、彼らは完全に攻撃を回避することができない。敗北を帰している大きな理由の一つだった。
当たりはほどほどに深く、男のHPゲージが4割持って行かれる。3回も当たると即死、一人が倒れるともう一人は数分も持たないのがいつもの流れであった。
「下がって回復しとけ」
大剣の男はそう言うと、右手で担いだ大剣を大きく振りかぶる。モーションが翻る。赤と黒の稲妻が剣を取り巻き、収縮音が鳴り始める。
男の背丈を超えた大剣が、まるでレイピアのような動きで敵を斬りつけてゆく。重いはずの大剣が、まるで木枝のように振るわれてゆく。
男が愛用するスキル、「落陽」だ。18連撃の末、男の剣は半円型の軌道を描く。赤と黒の光がしばらく留まり、揺らぎ、まるで夕日のようであった。
大剣の男が敵に攻撃を与えている間、ハンマーの男は後方で回復アイテムを使用していた。左手で腰の袋の口を引っ張る。アイテムボックスを開封するジェスチャである。
するとアイテムのアイコンが眼前に横一列で現れる。現実世界のスマホと同様、アプリを選ぶ感覚でスクロール&タップする。桃のアイコンだ。すぐに効果が現れるが、アイコンはグレーになりカウントダウンが始まる。180から始まるその数字は、「アイテムがまたアクティブになるまでの時間」だ。
このゲーム内では、アイテムにはリキャストタイムがある。グレードの高いアイテムであればあるほど、リキャストタイムが長く設定されている。男はゲーム内のショップで購入出来る回復アイテムで最上級のグレード、ランクエスの「蓬莱の桃」を使用した。アイテムが再度使用できるようになるまで3分かかる。だがこのアイテムでないと、HPを完全回復などできないのである。
ニワトリともトカゲとも取れるモンスターは、まだ技を喰らった衝撃で怯み状態だった。これ幸いと、接敵しチャージを開始する。狙うは脳天・トサカの部分だ。打撃系武器は頭や足を狙い状態異常を誘うのが効果的であり、数秒かかるチャージを行うことでクリティカルの可能性が跳ね上がる。
「ほい」
力を込めた動作にも関わらず、声にハリがない。VRならではの、脳で体を動かしているからこその、適当な声。動作そのものは筋肉が唸り迫真に迫る、此処一番の渾身のモーションだ。
右肩に担いだハンマーから、紫と黒の粘着物質が噴き出している。マグマのように沸き立つそれは、時折空気中で弾け凶悪さに拍車をかけている。金に輝く華美なハンマーとは到底似つかわしくないエフェクトである。ストレートに毒を思わせるハンマーを、猛烈な勢いで横方向にスイング。鳥とは思えない低音の悲鳴、続けざまの下からのアッパー、男の体がハンマーとともにふわりと浮き上がった。
滞空。瞬間。
「めり込めぇ!」
全体重を掛け、毒を振り撒きながら、凶悪な武器を頭上からぶちこむ。衝撃に耐えかねたコカトリスが床にくちばしを突っ込みながら沈んで行く。
「まだだ!」
前回、ここで手を緩め胴体に斬り込んだのが敗因だった。大剣を振るう男が攻勢に入れ替わり、地面にくちばしを差したニワトリに追い討ちをかける。
身動きの取れない頭に、斬るのではなく押し込むように剣を叩き込んだ。
あとの戦闘は一方的であった。頭が地面にめり込んだモンスターをアタッカー二人掛かりでタコ殴りしたのである。起き上がるたびにダウンを狙い、反撃の隙を与えない。一度全範囲攻撃をされたものの、難なく見切りで回避した。
敵の体が爆発するエフェクトが起き、軽快なクエストクリアの音楽が響く。
「よっしゃあ!」
ドロップアイテムを手に、喜ぶ二人。辺りに散らばっている戦利品は、決して苦労に見会うほどレアリティの高いものではない。だが、通常6名以上で狩るモンスターだ。報酬アイテムの取り分の量は、通常を遥かに越えるものであった。
「いつも通り、酒場で分けるぞ」
「そうだな。おいガルド、テメェ今日こそ飲め!奢るって!」
指を指されつつ飲酒を勧められた大剣の男、ガルドは首を振った。
「悪いな榎本、遠慮しておく」
榎本と呼ばれたハンマーの男はオーバーなほど残念そうな顔で「相変わらずだなおい!」と呆れる。
プレイ歴4年のこの榎本とガルドのコンビは、ブームを過ぎ閑散とし始めたこのゲームのなかでそこそこ名の知れた戦闘系プレイヤーであった。
ガルドというアバターを作る時、宿主である佐野みずきは迷わず中年の男キャラを選択した。ヒューマンやエルフ、ドワーフ、巨人、妖精などそれは様々な種族も選べたが、迷わずヒューマンにした。みずきの希望は、「おっさん社会に馴染める容姿」。綺麗な容姿より、おっさんに共感してもらうことを選んだ。
そもそもおっさんになりたい訳ではなかった。ただ、女子高生特有のノリについていけないストレスを解消したいというのが、みずきがVRMMOを始めた切っ掛けだ。そのためにどうするか逆算で弾き出した答えこそ、「女子高生と正反対の生態を持つ集団に入る」ことだった。
女子高生の似合う服など分からない。流行の歌も、アイドルも、アニメも知らない。レジャーランドに行ってもベンチに座っていたい。父とともに小料理屋に行くのが趣味で、一期一会で出会うおじ様との会話のために、新聞を読むのが日課だった。酒だけは年齢上口をつけなかったが、つまみは好きだった。ゴルフも嗜んだし、新しいものより古い映画を好んだ。
「みずきってさぁ、女子高生の皮を被ったおっさんだよね」
同級生の女子にそういわれ、自分が女子高生ではなくおっさんだと知った。汚いとか性癖とか、仕草の話ではない。趣味や考え方の部分がおっさんなのだという。同年代の輪の中にいて、疎外感を感じる理由にやっと気がついた。
だからこそ、みずきは今のガルドというキャラクターを居心地よく感じていた。
「エインシエント=コカトリスを二人で!まずその発想が信じられないだろ?」
ヴァーチャルの中とはいえ、酒系統のドリンクはアルコールと同じ効果をもつ。榎本はウイスキーのロックをちびちびなめながら、自分たちの成果を楽しげに振り返っていた。
対するガルドの手にはレモン果汁とレモングラスの入った炭酸水が握られている。脂っこいつまみによく合う、意外と人気のあるドリンクだ。
酒場は常連客とAIのNPCで賑わいを見せている。高度な雑談能力を持つ村人NPCは、プレイヤーに異世界での日常感を引き立たせるエッセンスの役目を担っていた。有名プレイヤーの冒険談、新しいダンジョンの噂など、外界の話は全くしないよう設計されている。
照明であるランタンが、暖かな光で酒場を照らす。ファンタジーらしい機械の無い素朴な店内は、焦茶のオーク材で覆われている。手配書やギルメン募集の張り紙が貼られ剥がざれを繰り返し、壁にあとをつけており、酒と煙草、スパイシーな香水と仄かな花の香りがした。
二人が根城にしている地域にしか咲かない真っ青な椿、そこから名前を取ったこの「青椿亭」はガルドや榎本が足しげく通っている有名酒場だ。各エリアに向かうハブである中央エリアに建っている。高レベルプレイヤー向けとして、ちょっと高級な商品を扱っており、木彫りの看板には椿とジョッキに入ったエールが描かれている。名物だ。年中雪が降るこの地域では、季節を問わず青椿が美しく咲き誇る。その青椿を店内に飾っているため、優しい花の香りが漂っていた。
「あぁ」
「で、だ。ここしばらくの目標を倒したとなりゃあ、次を考えなきゃならねーだろ?」
「そうだな」
無口なガルドに代わり、話を榎本が進行させるのはいつものことであった。あぁ、とそうだな、を繰り返すが、声のトーンで違いが出る。
VR内で設定した声色の通りに出てくるが、完全にはデジタル処理しきれない本人の声がにじみ出る。ガルドの声には、時折吐息のような、線の細い声が混じる。鈴のような音色だ。ガルドの設定したボイスはかなり低めであり、そのままだと聞き取りづらいはずが、ガルドの声だけはよく通った。榎本は、ガルドのリアルの声を「男にしては高い、インドア系な喋り方なんだろうな」と想像していた。
その認識は的外れではない。実際には「女の子にしては低い声で」喋る、大層内向的な人間がガルドをロールプレイしているのだ。
「何がいい?南の孤島エリアとかどうだ?リアルでも雪が降ってんだから、逆に降らないとことかよー」
「あぁ」
「よし決定」
嫌な時ははっきりそう表現するガルドを知っている榎本は、彼の返事が肯定・同意であると判断した。その後、この地方でよく食べられているという白身魚とジャガイモのフライ盛り合わせをつまみながら、次のターゲットについて、時折、ギルドに持ち上がっているある話題について話しあった。
このある話題というのは、目下ガルドにとって悩みの種なのであるが、それを隠している。無口ゆえ、特にそんなそぶりも見せずに話題は進んでいった。
肉厚な魚の柔らかさと、揚がった油の香りが口に広がる。飾らない味わいに舌鼓を打つ。榎本は塩を多目に振りかけるが、ガルドはケチャップを好んだ。皿を挟んで一方的に話す榎本、時折返事を返すガルドだが、二人はまさしく話し合っていた。この話し合いも、ガルドにとって楽しい時間の一つだ。
「分かりやすく同意しないと聞いていないのと同じ」というリアルの会話が苦痛だった彼女にとって、彼との会話は気持ちの良いものだった。
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