堕天使

カモミール

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  神谷「う~ん…。「

 朱石「やばい。起こしちゃったか?」

 神谷「朱石…。眠い…。」

 朱石「は?今も寝てたじゃん。」

 神谷「ねる…。」

 朱石「…ったく。仕方ねーな。」

 朱石は、神谷をひょいと抱き上げ、自分のベッドに寝かせた。
 
 朱石「ほら、今日は俺のベッド貸してやるから寝ろ。」

 神谷「…おやすみぃ…。」




 リビングに戻ってきた朱石に、本当にお前の子供みたいだなと、中川が笑った。


 中川「さ、明日はオフだし、今夜は飲もう!」

 朱石「おう。中川と京也のおかげで、何か元気でたわ。」

 中川「だろー?だから一人で抱え込むなって事だよ。みんなで悩めばいい事なんだからさ。」


 朱石「うん。そうだな。」



 朝方まで飲み続けた2人は、リビングの床で雑魚寝。

 かろうじて、タオルケットを被ってはいたが。


 2人が寝静まったころ、神谷は朱石のベッドで泣いていた。

 実は、神谷はウトウトしていたものの、寝てはいなかった。
 中川と朱石の話し声が、子守歌のようで、遠くから聞こえてくるのが心地よくて、ウトウトしていたのだった。

 しかし、途中から話の内容が変わってきた。
 今更起きだす訳にもいかず、寝たふりをしていた。

 槙が俺のために体を売った!?
神谷にとって、とてもショックなことだった。


 槙が一人、日本を離れたのも、最近も具合が悪そうなのも、全部このせい?

 それでも槙は、変わらず俺を可愛がってくれる。
 自分がこんなにも傷ついても、俺を守るって言ってくれている…。

 涙が止まらなった。


 槙は、俺が傷ついているのを見たら悲しむ。
 俺は、槙の前では、いつも笑顔でいなければならない。

 神谷はこの時、そう決めた。







^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^^





 「おい…。2人とも、いつまで寝てんだよ…。」


 中川「う…ん…。」

 朱石「…なんだよ…休みなんだからいいじゃん…。」

 中川「俺たち、朝方まで飲んでたんだよ。」



 神谷「起きろ!いい天気だよ。どっか行こうよ!」

 朱石「あー、小学生がいるぅ…。」

 中川「寝かせろよ…。」

 神谷「なに、休みの日の親父みたいなこと言ってんだよ。起きてよ。」

 仕方なく2人が起きると、机の上には朝食が用意してあった。


 朱石「…京也が作ったのか?」

 神谷「うん。ちょっとキッチン借りた。」

 中川「すげー!本格的な日本の朝食!う~みそ汁が染みるう~!」

 朱石「あ、ちょっと目が覚めたかも。」

 中川「京也って、料理できるんだな?」

 神谷「へへっ!実は一人暮らしを始めてから、勉強したんだ。」



 机には、炊きたてのごはん、みそ汁、焼き魚、おひたし、卵焼きが綺麗に並べられていた。

 中川「うまっ!」

 朱石「京也すげえ!うまい。」

 神谷「また 作ってやるよ。」

 朱石「うん!うん!」


 3人は、朝食をとってから 神谷のリクエストで、海にドライブに出かけた。

 久しぶりのドライブで、朱石もリラックスできた。

 海沿いのレストランで昼食をとったり、お土産を買ったり…。

楽しい時間を過ごすことが出来た。



 朱石「京也、ありがとうな?」

 神谷「何が?」

 朱石「来て良かったよ。このところ、外に出てなかったわ。」

 神谷「また行こうよ、ね?」

 中川「たまにはいいな。こういうのも。」


 神谷「来週からは、3連続の東京公演あるから、今のうち沢山ストレス発散しなきゃね!」

 中川「そうだな。来週でラストかぁ。」

 神谷「ツアー終わったらまた3人で行こうよ。」

 朱石「そうだな。」




 車が朱石のマンションで着いた。
 朱石「どうする?寄ってく?」

 神谷「オレ、明日は仕事だから帰るよ。」

 中川「じゃ、俺も京也送って帰るわ。」

 朱石「「ん、じゃあな。今日はサンキュ。」

  朱石は車を降り、2人に手を振った。
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